(概要)
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「FX羅針盤」の1月の年間相場見通し、第5弾はテクニカル分析に定評のある川合美智子さんのドル・ユーロの年間見通しです。川合さんには「FX羅針盤」ではあえて他では発表していないオセアニア通貨のテクニカル分析を毎週寄稿していただいていますが、東京銀行時代からの豊富な経験に基づく主要通貨のテクニカル分析でむしろ有名です。年初に限っては当サイトにも主要通貨の年間見通しの御寄稿をお願いしています。ドル円、ユーロドル、ユーロ円に分けての中長期分析を御堪能ください。(編集部)
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2016年11月、アメリカの大統領選は大方の予想に反してトランプ氏が大統領に当選、当初は期待先行でドル買い、株価上昇の動きが強まりましたが、政策実行力を疑問視する向きも多く、公約実行は前途多難かと思われました。しかし、政権発足から1年が経過、誕生前から回復基調にあったアメリカ経済は拡大基調がさらに鮮明となり、現在も大統領の支持率の低さと相反して景気は完全雇用に近い労働市場や好調な消費、企業業績に支えられて、拡大傾向にあります。低いインフレ率がFRBの金融政策を慎重にさせていますが、金融政策正常化はゆっくり且つ着実に進んでおり、こうした緩やかな金融引き締め策が金融市場にも好影響を与え、人々の消費活動も安定しています。また、昨年12月に上下両院を通過して実現した大型減税は企業の設備投資を促す効果や雇用拡大が期待されており、株式市場でもトランプ政権誕生直後から現在まで“トランプラリー”が継続しており、トランプ政権発足後NYダウは45%超、SP500指数も36%と驚異的な上昇を遂げています。アメリカの家計債務の大きさには不安があるものの、経済自体には力強さが感じられます。
一方、欧州も昨年の春先には景気の拡大基調がより鮮明となり、ECBは昨年10月の定例理事会で量的緩和の縮小に踏み切ることを決定、イギリスも昨年利上げを実施しています。日本でも国内の景況感が好転していることから、量的緩和縮小への思惑が浮上しており、将来のファンダメンタルズ格差や金利差縮小観測から、足元の為替市場ではドルの上値が重い展開となっています。一方で、日欧金融当局は量的緩和の縮小や、追加利上げに対して非常に慎重な姿勢を崩しておらず、特に日本は黒田日銀総裁が出口政策について真っ向から否定しています。市場の憶測とは異なり、米国主導の金融政策正常化の流れに今後も大きな変化が見られないでしょうから、ECBや日銀による量的緩和の縮小、停止の憶測は早晩落ち着きを取り戻すと見られます。一方で、世界景気が緩やかな拡大基調にある中、政変、大きな金融ショックなどがない限りは日欧の景況感も一段と改善すると見られ、長期的なユーロ高基調は継続するものと見られます。
政治面ではドイツの二大政党の大連立の成功の可否や、3月にはイタリア選挙やBrexitの離脱の条件や違約金などの交渉期限も到来しますので、短期的な相場の波乱要因として目が離せません。
(チャートから見た主要通貨の長期トレンド)
1.ドル/円相場
ドル/円の長期トレンドは四半期足で見る限り、95〜120円の大きなレンジ内に収まる可能性を示しています。2015年6月に付けた125.86を高値とする円高/ドル安トレンドに変化は認められませんが、122円超えで越月した場合は、長期トレンドがドル高/円安の流れに変化して130円超えトライの可能性が高まります。一方下値も、2016年6月に付けた99円台は100円±1円の超長期的な下値抵抗ポイントにあたっており、これには一旦跳ね返された形です。2012年9月の77円台の二番底と、2016円6月の99円台を結ぶ長期的なサポートラインの下値抵抗は108〜109円に位置していますが、108円を割り込んで越月した場合は新たな下値リスクが点灯して100円割れのリスク高まります。四半期チャートで見た長期トレンドは、108円割れの越月で95円方向への一段のドル下落へ。122円超えの越月で130円超えトライの動きが強まることを示唆しています。
一方週足で中期的な方向性を見ると、2015年6月の125.86を起点として上値を切り下げる流れには変化が認められず、この週足の上値抵抗は115円近辺にあります。また、2017年1月に付けた118.60を起点とするレジスタンスライン(赤)の上値抵抗が114.00近辺に位置しており、これらをしっかり上抜けて越週しない限り、ドルの上昇余地が限られる展開が予想されます。一方下値も、2016年8月の99.54を起点とする中期的なサポートラインの下値抵抗が110.00近辺にありますが、108円割れで越週した場合は102円方向への新たなドルの下落リスクが点灯します。
2.ユーロ/ドル相場
ユーロ/ドルは、2008年7月に付けた1.6040を高値とする長期的なユーロ安/ドル高基調には変化が認められず、この月足の上値抵抗は1.2750〜1.2850ゾーンにあります。長期トレンドは1.3000台超えで越月しない限り、下値リスクを残した状態にあります。一方で、2017年1月に付けた1.0341で長期的な底値を付けた可能性が高く、昨年1月より反転、上昇の流れに入っており、この月足の下値抵抗は1.12台にあります。1.1100割れで越月しない限り、中期トレンドはユーロ強気の流れを維持します。
一方、週足でもう少し近場のトレンドを見ると、2015年12月に付けた1.0524と2017年1月の1.0341で中期的なダブルボトムを確認、1.06台の足元を固めてしっかりとした上昇トレンドを形成しており、現在もこの流れを維持しています。この週足の短期的な下値抵抗は1.1800-10に、中期的な下値抵抗は1.12台半ばにあり、短・中期トレンドはユーロ強気の流れにあります。一方、週足ベースで見た短期的な上値抵抗は1.2450〜1.2550に、中期的な上値抵抗は1.2750〜1.2800にあります。31週、62週移動平均線1.1824と1.1298にあり、短・中期トレンドをサポートしています。
3.ユーロ/円相場
ユーロ/円は2008年8月に付けた169.48を高値とする超長期的なユーロ安/円高トレンドに変化が認められず、この月足の上値抵抗は140.00近辺にあります。一方で、2016年6月に付けたBrexit時の最安値109.57を起点として下値を切り上げる間に、2014年12月に付けた149.55を起点として上値を切り下げて来た流れからしっかりと上抜けており、短・中期トレンドはユーロ強気の流れにあります。この月足の下値抵抗は120.00近辺に位置しており、中期トレンドをサポートしています。以上から140円超えの越月で一段のユーロ上昇へ、逆に120円割れで越月した場合は115円方向への一段のユーロ下落に繋がり易くなります。31ヵ月移動平均線は126円台半に位置しており、中期トレンドを支えた状態にあります。
一方週足も、2014年12月に付けた149.55を起点として上値を切り下げる流れから上抜けた位置で推移しており、上値余地を探る動きが継続中ですが、138〜140円ゾーンに中・長期的な上値抵抗があり、このレベルには一旦ぶつかる可能性も高いポイントです。一方下値も133.50〜134.00ゾーンにやや強い下値抵抗が控えており、133円割れで越週しない限りは深い押しにも繋がり難い状態です。但し、132円割れの越週となった場合は、調整下げ局面入りの可能性が高くなり、最大で125円前後まで下値余地が拡がり易くなります。31週、62週移動平均線は132.14と126.90に位置しており、短・中期トレンドをサポートしています。
オーダー/ポジション状況
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