【概況】
1月15日はキング牧師生誕日で米国株式・債券市場は休場だったが、為替市場は先週の流れを継続してドル安が進んだ。
ドル円は先週末に111円を割り込み、週明けも続落基調で開始、16日未明には110.32円まで下げた。この結果、11月27日安値110.84円を割り込み、11月6日高値からの下落は二段下げ型へと発展した。
1月16日東京市場はやや戻しているものの、1月11日の反発が直前安値から0.59円幅、12日夜の反発が0.71円幅といずれも1円に届かず、戻り高値を切り下げて一段安となってきたため、今回の戻りも安値から0.50円から0.70円前後までの程度とすれば110.80円台序盤、111円前後までで行き詰まって一段安する可能性が懸念される。その場合は110円割れ、さらに昨年9月8日安値107.32円試しまで一挙に状況が悪化する可能性も懸念されるところだ。ただし、111円乗せ、維持へと進む場合はそれら二度の小反発のレベルを超えてくることになるので、1月8日からの下落一服感が出てくるかもしれない。
【ユーロ高、ドル指数下落続く】
ユーロドルは1月15日高値で1.2296ドルまで上昇、1月12日時点で既に昨年9月高値を超えてきていたが、この日も続伸となりダブル天井破りによる一段高へ入っている。昨年1月3日底からの上昇基調継続であり、9月から11月7日への調整を消化、三段上げの三段目に入っている印象だ。
ドイツの2018年長期国債増発問題がドイツ10年債利回りを上昇させ、ユーロ高を助長してきたが、1月11日に12月開催分のECB理事会議事要旨が公表され、金融政策姿勢を示すフォワードガイダンスの見直し等が議論されていたことにより、年内の量的金融緩和縮小、終了へのプロセスが意識されたことで一段高入りのきっかけとなった。
さらに先の総選挙結果から連立政権樹立が滞っていたドイツにおいて大連立政権樹立への合意が進んできたこと、ドイツが外貨準備に中国人民元を加えるとしたこと等もユーロ高ドル安を加速させてきた。材料が沸いてきていることもユーロ高の強みだが、概ね4年周期、8年周期、16年周期の長期的な底打ちサイクルにおいて2017年1月で大底をつけて上昇してきた印象が強いこと、ユーロの鏡ともなるドル指数が逆にそれらのサイクルで2017年1月3日に天井をつけて下落してきていることが、ここにきてユーロの先高観を拡大させていると思われる。
ドル指数は1月15日に90.28ポイントまで下落して昨年9月8日安値を割り込んだ。このため、2017年1月天井からの下落が三段下げの三段目に入ってきた印象だ。
資源通貨代表の豪ドルは12月8日安値からの上昇を継続して0.80ドルに迫っているが、まだ昨年9月高値0.8124ドル超えには至っていない。ドル円もまだ9月8日安値割れには至っていない。しかし、英ポンドは昨年9月高値を更新しており、ブレクジットショックによる2016年10月底以降の高値を更新している。これら通貨市場全般の長期的なリズムを見れば、ドル安の継続、ドル円の一段安リスク拡大という懸念が強まってくると考えるべきところかもしれない。
【60分足一目均衡表・RSI・サイクル分析】
60分足の一目均衡表では1月9日への下落から遅行スパン悪化、先行スパンからの転落状況が続いてきた。16日未明安値からやや戻しているため、110.50円以上で推移すれば遅行スパンは好転してくるが、先行スパンが110.90円から111.10円台にかけて待ち構えているため、遅行スパン好転の場合も先行スパンが抵抗帯となって戻りを抑えやすいとみる。110.50円以上を維持し、17日にかけて111円超えへ上昇してくる場合は先行スパン突破となるため、下げ一服感が出てくるかもしれないが、安値更新の場合はしばらく先行スパンを上抜き返すのが難しくなると思われる。
60分足の相対力指数は1月10日夜、12日未明、16日未明への安値更新に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行型を示しているので、いったん短期的な戻しに入る可能性があるが、1月8日以降の下落に対する大きな揺れ返し上昇へ入るには60ポイント超え、その後も50ポイント以上を維持する上昇が必要と思われる。40ポイント割れからは逆行崩れによる下落再開と一段安入りを警戒する。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、1月10日夜安値を前回のサイクルボトム、11日夕高値を同サイクルトップとして下落期に入った。今回の安値形成期は15日夜から17日夜にかけての間と想定されるので、早ければ16日未明安値で目先の底をつけて戻しに入る可能性があるが、111円超えへ進めない内は16日夜、17日の日中へ一段安する可能性が残る。
111円超え、維持へと戻す場合はひとまず目先の底をつけたリバウンド入りとするが、その場合の高値形成期は16日午後から18日にかけての間とし、戻り一巡から戻し幅の半値以上を削るところからの下げ再開を疑う。
以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)110.80円から111円前後までを戻り抵抗とし、111円超えから続伸入りできない内は110.50円割れからの下げ再開、一段安警戒とみる。
(2)16日未明安値割れの場合は110.00円試し、さらに109円台前半への下落を想定するが、109円台前半の水準は目先の突っ込み警戒、反発注意圏とみる。
(3)111円超え、維持へと戻す場合は短期サイクルの底をつけてもリバウンド入りとして111.20円から111.50円にかけてのゾーンを試すとみるが、12日夜高値111.69円を超えない限りは戻り高値切り下がり型からの一段安へと転じやすいとみる。戻り高値から0.50円以上の下落となる場合も下げ再開を疑う。(了)<9:50執筆>
【当面の主な予定】
1/16(火)
13:30 (日) 11月第3次産業活動指数 前月比 (10月 +0.3%、予想 +0.3%)
22:30 (米) 1月NY連銀製造業景況指数 (12月 18.00、予想 18.50)
1/17(水)
08:50 (日) 11月機械受注 前月比 (10月 +5.0%、予想 -1.2%)
08:50 (日) 11月機械受注 前年比 (10月 +2.3%、予想 -0.5%)
23:15 (米) 12月鉱工業生産 前月比 (11月 +0.2%、予想 +0.4%)
23:15 (米) 12月設備稼働率 (11月 77.1%、予想 77.3%)
24:00 (加) 加中銀政策金利発表 (現行 1.00%、予想 据え置き)
24:00 (米) 1月NAHB住宅市場指数 (12月 74、予想 72)
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
1/18(木)
06:00 (米)エバンズ・シカゴ連銀総裁、カプラン・ダラス連銀総裁、討論会
06:30 (米)メスター米クリーブランド連銀総裁、討論会
オーダー/ポジション状況
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