ドル円見通し 112円割れを再び回避で戻す(1/4)

12月12日高値113.75円に対して21日高値113.63円でダブルトップ型を形成している印象があるが、ダブルトップ完成目安となる両高値の谷間にある12月15日安値112.02円割れを

ドル円見通し 112円割れを再び回避で戻す(1/4)

【概況】

12月12日高値で113.75円をつけ、14日未明のFOMC利上げ等を前後した下落で15日には112.02円の安値をつけた。12月15日深夜の米税制改革法案成立見込み報道から米長期金利が上昇、日米長期金利差拡大が後押しした。しかしその上昇も一巡、21日高値113.63円では12日深夜高値に届かず、ダブルトップ型を形成して年末の下落に転じた。年明けも2日夜には112.05円まで続落したが、112円割れはひとまず回避、3日、4日午前と戻し気味の推移となっている。

【ユーロ高、資源通貨高】

12月21日以降のドル安円高は、ドイツの長期国債増発見通しによる独10年債利回りの上昇を背景としたユーロ高。12月25日に60ドル台へ急伸した原油高、それと同調した非鉄相場高による資源通貨高。これらがドル安感を助長したため、ドル円もドル売り圧力に押された印象だ。
年末にはECBのクーレ専任理事が中国の「財新」誌でのインタビューで「今年9月までの資産買い入れを再延長しない可能性が高い」との見方を示したことで独仏の長期金利が上昇、米長期金利も連鎖高したが独仏の金利上昇感が上回ってユーロは一段高となった。

豪ドル米ドルも4日早朝には0.784ドル台へ上昇、2か月半ぶりの高値をつけているが、年明けもNY原油が62ドルに迫る続伸となっていることから豪ドル始め資源通貨上昇基調がさらに継続しやすくなっている。これらはドル円にとっても大きな圧迫要因だが、1月2日深夜高値の後はややユーロが緩んだこと、4日未明のFOMC議事録公開が新たなドル売りのきっかけとならなかったこと、12月15日安値までほぼイッテコイとなり、12月6日安値111.99円も含めて112円前後での底固さ感、週末の米雇用統計を控えたポジション調整、株高でのリスクオン心理が112円台後半まで上昇させているという印象だ。

【ダブル天井型か、ボックス型横ばい持ち合いか】

12月12日高値113.75円に対して21日高値113.63円でダブルトップ型を形成している印象があるが、ダブルトップ完成目安となる両高値の谷間にある12月15日安値112.02円割れを回避したことで、まだダブルトップは完成となっていない。現状から113円台前半まで戻してくるようだと60分足、2時間足レベルではチャートの形状がダブルトップ型というよりは横這いのボックス型持ち合いに近づく。113円台へ戻せずに112円割れへと下げればダブルトップからの下落期入り、113円台へ乗せてもその後の下げで112円割れならボックス型持ち合いからの転落により、いずれの場合も下値目処は11月27日深夜安値110.84円前後まで切り下がり、さらに先行き一段安のリスクが高まると思われる。しかし113円台回復、維持へと進めばボックス型持ち合いからの上放れ=ダブルトップ破りによる一段高へ進む可能性も出てくる。そのあたりは週末5日夜の米雇用統計反応から見えてくるのではないかと思われる。

【FOMC議事録、週末の米雇用統計、】

4日未明に公開されたFOMC(12月12、13日会合)議事録要旨では、参加者の大半がトランプ政権の減税策による景気押し上げを見込み、金利引き上げの継続が妥当との見方を示していた。しかし9月会合以降、物価が伸び悩む中で利上げペースに関しては見方が分かれており、今回の会合でも様々な議論があったことが示された。一部のメンバーは減税に伴い景気が上振れしてインフレが過熱するリスクに警戒する必要があるとの見方を示し、逆に投票権を持つ9人のうちの2人、エバンズ・シカゴ連邦準備銀行総裁とカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁はインフレ低迷を理由として12月の利上げに反対票を投じた。
議事録公開後はさほど大きな反応は無かったが、それまで上昇してきたゴールド、ユーロがやや失速気味、ドル円が戻しており、新たなドル売り材料にはならなかったという印象だ。NYダウが史上最高値を更新したことでドルがやや巻き返した側面もあるかもしれない。

1月4日夜にはADP民間雇用報告があり、就業者数予想は前月と変わらずの19万人増とされている。5日の労働省雇用統計では非農業部門就業者数が18.9万人増と予想されており、前月の22.8万人増からはやや減速するとみられている。予想を大きく超える数字になる場合はドル高、予想に近ければ多少ドル高反応であってもその後にドル安、予想外に悪ければドル急落と思われる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では4日未明からの上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いてきた。このため、遅行スパン好転中は戻り高値を試しやすいとみる。先行スパン上限のある112.40円前後を支持線として上回る内は多少下げてももう一段高の可能性があるとみる。先行スパンに潜り込み、遅行スパン悪化と進む場合は弱気転換注意、先行スパン転落からは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は2日夜に20ポイント割れまで下落してから反騰、60ポイント台へ上昇している。50ポイントを上回るか、一時的に割り込んでも切り返す内は上昇継続余地ありとするが、50ポイント割れから続落の場合は下げ再開を疑う。

概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、2日深夜安値で直近のサイクルボトムをつけて上昇期に入ったと思われる。今回の高値形成期は12月28日深夜高値を基準として1月4日の日中から5日深夜、長引く場合は週明け朝にかけての間と想定される。既にサイクルトップをつけて下落に転じても不思議ない時間帯のため、112.40円割れからは下げ再開注意、112.25円割れからは新たな下落期入りと仮定して次の安値形成期となる5日夜から9日夜にかけての間への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)112.40円を当初の支持線、112.80円台を抵抗とみておく。
(2)112.40円台を維持する内は上昇余地ありとし、112.80円台への上昇を想定する。112.75円から113円に迫るところは戻り売りが出やすいと注意するが、112.75円以上を維持しているうちは113円を試す可能性ありとする。
(3)112.40円割れを弱気転換注意、112.25円割れからは下げ再開と仮定して112円試しを想定する。雇用統計前段階では112円に迫るところは買い戻されやすいとみるが、112.40円以下の推移が続く内は5日の日中に安値を試しやすいとみる。(了)<9:45執筆>

【当面の主な予定】

1月4日
11:45 (中) 12月 財新サービス業PMI 11月 51.9
11:30 (米) 12月 チャレンジャー人員削減数 前年比 11月 30.1%
22:15 (米) 12月 ADP民間雇用者数 前月比 11月 19.0万人、予想 18.5万人
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 前週 24.5万件
27:30 (米)ブラード米セントルイス連銀総裁、講演

1月5日
08:50 (日) 12月 マネタリーベース 前年同月比 11月 13.2%
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数(HICP、速報値)前年同月比 11月 1.5%、予想 1.5%  
22:30 (米) 12月 非農業部門雇用者数 前月比 11月 22.8万人、予想 18.5万人
22:30 (米) 12月 失業率 11月 4.1%、予想 4.0%
22:30 (米) 12月 平均時給 前月比 11月 0.2%、予想 0.3%
22:30 (米) 11月 貿易収支 10月 -487億ドル、予想 -474億ドル
24:00 (米) 11月 製造業新規受注 前月比 10月 -0.1%、予想 1.5%
24:00 (米) 12月 ISM非製造業景況指数 11月 57.4、予想 57.4
24:15 (米)ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
26:30 (米)メスター米クリーブランド連銀総裁、講演

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