クリスマス〜年末と方向感無し(週報12月第四週)

連邦税が21%に下がることによる効果は大きく、イエレン議長も12月FOMCで「個人消費と設備投資、両方を押し上げる効果がありそう」と述べていますし、

クリスマス〜年末と方向感無し(週報12月第四週)

今週の週間見通し

今週は時期的に材料が少ないため短めに。

先週のドル円は、木曜まで週を通してドル高円安の動きを辿りました。材料としては、税制改革法案がいよいよ可決ということによるものですが、材料自体は使い古されたネタではあるものの、1986年レーガン大統領以来の大きな税制改革ということで、来年に向けての期待も込めてのドル買いであったと言えるでしょう。

連邦税が21%に下がることによる効果は大きく、イエレン議長も12月FOMCで「個人消費と設備投資、両方を押し上げる効果がありそう」と述べていますし、様々な試算はありますが、10年間でGDPの成長率を5%近く押し上げる効果があるとの見方も出ています。しかし、2018年以降短期的な効果は大きそうですが、減税の財源は優遇税制の廃止程度で補えるものでは無く、連邦の赤字は10年間で倍増するとの試算が予算局からも出ています。

どの国でも同じですが、赤字を補うには赤字国債の発行となりますので、米国も今後米国債を増発することは間違いありません。国債増発で米国債が売られ利回りは上昇、つまり連邦としての利払いも増えていきますので、以前からあった双子の赤字(連邦債務と貿易赤字)が再びテーマとなってくる可能性があります。そうであるとすれば、これもまたレーガン大統領2期目の歴史を振り返ることが必要になってきます。

さて、上記テーマはおそらく2018年の大きなテーマの一つとなるはずですが、いまはまだご祝儀相場的に株高、ドル高という動きしか見えていません。どこかで、この動きに変調を来すことになるのではないかと思っていますが、おそらく年明けしばらくたってからのことだと思われます。皆さんも年末年始の間に2018年の大きなシナリオを描きながら、年始に出て来るであろうエコノミストやストラテジストの見通しをハズれる前提で参考にするとよいかもしれません。

さて、今週は月曜火曜は主要市場がほぼ休み、それ以降は東京が年末に向けて動きが鈍くなってきます。材料も少なくテクニカルや日柄だけで考えた方が良さそうなので、まずは日足チャートをご覧ください。

9月安値と11月安値を結んだサポート、11月高値と12月の先週高値を結んだレジスタンスの2本のラインでの収束状態にあるのが現在です。すでに12月12日の113.75で目先の高値をつけたと考えられる一方で、下値もまた112円水準が底堅い水準です。日柄的には今週明日までがドルの上値が重たくなる時間帯ですが参加者が少ないこともあり、動きが出にくい可能性もあります。今週は112.50レベルをサポートに、113.75レベルをレジスタンスとする一週間を見ておこうと思います。

今年も一年間お世話になりました。年明けの週報はカレンダー通り4日となります。それでは良い年をお迎えください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

12月25日(月)
**:** 東京を除いた主要市場は休場

12月26日(火)
**:** 東京、NYを除いた主要市場は休場
08:30 本邦11月CPI、12月東京区部CPI
08:30 本邦11月失業率、有効求人倍率
13:00 黒田日銀総裁講演
23:00 米国10月ケースシラー住宅価格指数
24;00 米国12月リッチモンド連銀製造業指数
24:30 米国12月ダラス連銀製造業活動指数

12月27日(水)
24:00 米国12月消費者信頼感指数
24:00 米国11月住宅販売保留件数指数
24:30 米国週間原油在庫

12月28日(木)
08:50 日銀会合(21日)主な意見公表
18:00 ECB月報
22:30 米国11月卸売在庫
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:45 米国12月シカゴ購買部協会景気指数

12月29日(金)
16:00 トルコ11月貿易収支
**:** 英国取引所短縮取引
21:00 南ア11月貿易収支
22:00 ドイツ12月CPI速報値
**:** 米国取引所短縮取引

前週の主要レート(週間レンジ)

       始値   高値   安値  終値

ドル円   112.72 113.63 112.31 113.25
ユーロ円  132.38 134.88 132.37 134.38
ユーロドル 1.1749 1.1902 1.1743 1.1863
日経平均 22770.44 22990.42 22728.06 22902.76

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

12月18日(月)
 週明けの東京市場では欧州通貨高に引っ張られてのドル安、NY市場の昼頃には112.31レベルの安値を付けました。NY後場以降は税制改革法案採決が予定されていることから買い戻しも入っての引けとなりましたが、ドル円は終日材料不足感が漂っていました。

12月19日(火)
 クリスマスモードで動意薄の展開がNY市場まで続きました。税制改革法案の可決も視野に入る中、強い経済指標がきっかけとなりドル高となり、NY後場には一時113.08レベルの高値をつけました。しかし、113円台ではドル売りオーダーも残っていて112円台後半へ小緩んでの引けとなりました。

12月20日(水)
 米国の税制改革法案期待で東京前場からじりじりとドルが買われる展開が続きました。予定通り同法案は議会を通過し来年1月から連邦法人税は21%で決まりましたが、NY市場では利食い売りも出ずドル円は一時113.47レベルをつけ、そのまま高値圏での引けとなりました。

12月21日(木)
東京市場前場には株安の動きから下押しする場面も見られましたが、その後は株価が堅調な動きへと転じたことから税制改革法案通過によるドル買いの動きを継続することとなりました。日銀会合は総裁会見も含めてサプライズは無く、ドル円は欧州市場の朝方に113.63レベルまで水準を切り上げました。しかし、税制改革期待でのドル買いは一巡した感もあり、海外市場では利食いの売りも出て朝方の水準に押しての引けとなりました。

12月22日(金)
ドル円はクリスマス前の週末ということから終日動意薄の展開となりました。113.35レベルを中心に上下とも10銭以内の値動きに留まり、静かな値動きのままで終わりました。

ディスクレーマー

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