まずはレンジブレークの有無と方向性を注視(12月第四週)

先週のドル/円相場は、ドル高・円安。しかし、大雑把に言えば113円±50銭程度のボックス相場で、それまでの形成レンジを抜けていくことはできなかった。

まずはレンジブレークの有無と方向性を注視(12月第四週)

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先週のドル/円相場は、ドル高・円安。しかし、大雑把に言えば113円±50銭程度のボックス相場で、それまでの形成レンジを抜けていくことはできなかった。クリスマス前ということもあり、動意も総じて乏しい。

ドル/円は先週末のNYクローズに近い112.65-70円レベルで寄り付いたものの、明確な方向性に欠ける。しばらくは112.30-80円といったレベルでの揉み合いに。
しかし、注目材料だった「米税制改革法案」が、取り敢えず米議会下院、続けて米上院でも可決したことが好感されると、ドルはレンジを上抜け113円台へ。その後も続伸し、一時は週高値の113.64円を記録している。ただ、前週記録したドルの戻り高値113.74円には届かず軟落すると、結局、週末NYは113.25-30円で取引を終え、越週となった。

一方、週間を通した主な材料のひとつは、前述した「米税制改革法案」に関する動きと、「北朝鮮情勢」。後者に関して、具体的な行動などはとくに観測されなかったが、聯合ニュースが報じた「北朝鮮兵士が、韓国に亡命」とのニュースや、朝鮮中央通信が報じた金・北朝鮮委員長による発言、「我が国は米国に核脅威を与えられる戦力国家になった」、朝日新聞による「北朝鮮、“炭疽菌ICBM(大陸間弾道ミサイル)”を実験か」と報じた内容などがマーケットで物議を醸していた。

また、ドル/円相場への影響は限られたが、ユーロ相場に影響を与えたものとして、実施されたスペイン・カタルーニャ州議会選で「分離賛成派が過半数を獲得見込み」との報道、南アフリカで行われた「事実上の次期大統領選」と言われる与党・アフリカ民族会議の「次期党首を選ぶ代表選挙」などが政権不安観測を誘い、ランド相場の荒っぽい変動に繋がっていた面は否めない。

<< 今週と来週(12月25日〜1月5日)の見通し >>

12月以降の値動きを見た場合、初日である1日を除くと、大雑把にレンジは112.00-113.80円といった感じで、変動幅は2円にも満たない。また、月初の1日を含めても月間の形成レンジは111.40-113.80円で、わずか2.4円の変動だ。
ちなみに、今年はドル/円の年間変動率が10%以下に留まる見通しで、変動相場制以降、過去2番目の小変動に留まることがほぼ確定している。また、価格変動を月ごとで見た場合、筆者の記録しているデータでは10月の変動幅2.76円が今年最小変動なのだが、前述したように、このままいけば足もとの12月が今年の月間最小変動記録を更新することになるだろう。週の初めは、クリスマスなどもあり小動きが続きそうだが、以降、レンジブレークを果たすことが出来るのか、出来るとすればどちらの方向になるのかが注視されている。

テクニカルには、一目均衡表においては、日足が久しぶりに先行帯の雲の上限(22日時点;113.15-20円)を超えるなど、リスクはドル高方向にバイアスがかかりそう。しかし、ドル高は思ったほど進行せず、12日に記録した12月高値の113.74円をいまだ超えられていない。ちなみに、12月高値に近い113.80-85円は、11月高値114.74円を起点とした下げ幅の76.4%戻しにあたるテクニカルポイント。まずは、それらレベルをめぐる攻防が注視されそうだ。
また、価格ではなく時間的な面に着目した場合、今年のドル/円はおよそ1ヵ月周期でドル安とドル高基調が入れ替わっている感がうかがえる。仮に、いまだにその傾向が続いているとすれば、前回安値110.84円を記録したのが11月27日であることから考えて、そろそろドル高基調が終わっても不思議ではない気もしないではない。

一方、材料的に見た場合、月内に関して10月のS&Pケースシラー住宅価格指数や12月のダラス連銀製造業指数など、そして年明けには12月の米雇用統計の発表が実施される見込みとなっている。目先はともかく、クリスマス休暇ならびに、本邦勢の正月明けあたりから参加者が徐々に戻りつつあるなか、発表される米経済指標の内容には大いに注意を払いたい。
また、それとは別に、個人的には需給要因が要注意である気がしている。具体的にいえば、今週に関してはポートフォリオ調整など「年末にらみの駆け込み手当て」、来週は名実ともに新たな四半期入りすることを受けた「本邦勢の新規外債投資」などが、相場のかく乱要因となる可能性も否定出来ない。

そんな今週と来週のドル/円予想レンジは、110.80-114.80円。ドル高・円安については、目先のドル高値であり、フィボナッチの抵抗も近い113.80円前後の攻防にまずは注視。抜ければ、心理的な意味合いの114円前後、11月高値の114.74円などを目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、今月4日以降、しっかりと割り込んだことのない112円レベルが引き続き強いサポートとなりそう。底堅いイメージはくすぶるものの、112円レベルを割り込むようだと11月安値の110.84円が視界内に。(了)

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