ドル円 12日高値に迫るも届かず(週報12月第四週)

減税による景気押上げ期待からの株高見込みで米長期債が売られて利回りが上昇したとみるべきか、米国の債務拡大による先行き

ドル円 12日高値に迫るも届かず(週報12月第四週)

【概況】

12月12日深夜高値で113.75円まで上昇したところから14日未明の米連銀FOMCを前後して反落、15日には112.02円まで下げたが、米税制改革法案の年内成立見通しから15日深夜に反発、さらに米下院、上院での可決の流れから続伸、21日には113.63円の高値まで戻した。しかし法案成立後は伸びず、やや押され気味でクリスマス休暇に入った。

【米長期金利上昇続くか?】

12月15日深夜から21日にかけてドル円が上昇した背景は米長期金利の反発による日米長期金利差の拡大であった。
米10年債利回りは21日に2.50%を超えて9か月ぶりの高値水準となった。22日はやや低下したが高値圏を維持している。
米2年債利回りは1.895%へ上昇して9年ぶり高値水準となった。5年債利回りも2.25%を超えて2011年4月以来の水準にある。

米連銀が12月12-13日の会合で今年三度目の利上げを決定したが、2018年の利上げ見通しはメンバーの予想中央値が3回の利上げであり、2019年も2回から3回で緩やかな上昇程度となっている。米連銀の政策金利が実質ゼロに近い低水準から何度か引き上げられても米長期金利はなお高く、さらに低下しても不思議ないという状況が12月15日までは継続していた。

しかし、レーガン政権以来30年ぶりとなるトランプ大統領の選挙公約でもある大規模減税法案が成立濃厚となった段階から米中長期金利は反発した。減税による景気押上げ期待からの株高見込みで米長期債が売られて利回りが上昇したとみるべきか、米国の債務拡大による先行きの利上げペースが加速するリスクが高まったことでの利回り上昇なのか、いずれにしても一時的な反発なのか継続性があるのかを見定める必要があるところだ。
年末にかけて米10年債等の利回り上昇が続く場合はドル円には上昇圧力がかかり、12月12日高値超えへ進む可能性も出てくるかもしれない。逆に年末にかけて利回り低下ならドル円は上昇根拠を失うと思われる。

【11月6日を中心とした三尊の右肩で終わるか、突破から二段上昇へ進むか】

12月12日から反落した段階では、11月6日高値を頭、10月6日高値と12月12日高値を両肩とした三尊天井を形成する可能性が強まったが、三尊完成の目安である11月27日安値割れへは至らなかった。逆に12月15日深夜から反発したため、12月12日高値を上抜く場合は9月8日からの上昇基調の継続としてN字型の二段上昇で11月6日高値も突破してゆく可能性が出てくると思われる。ただし、11月6日高値を超えられないうちはダブル天井型形成からの反落となる可能性が残る。
いずれの可能性も持ち合わせているので、中勢レベルは12月12日高値を超えるか、12月15日安値を割り込むのかによって年末年始への流れも決まってくると思われる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では19日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いてきたが、21日夜からの下落で遅行スパンは悪化、先行スパンにもぐりこんでいる。両スパンが再び好転してくれば上昇再開の可能性が高まり、21日高値超えからは一段高へ進む可能性が出てくると思われる。しかし、先行スパンから転落し、その後も回復できない状況が続く場合は15日からの上昇に対する揺れ返しの下落へ向かう可能性を警戒する。

60分足の相対力指数は19日深夜高値から21日高値への上昇局面で指数のピークが切り下がる弱気逆行を示した。23日未明では40ポイント台序盤まで下げているが強気逆行は見られていないため、下落余地が残る印象だ。強気転換は60ポイント超えへの上昇を見せてからと考える。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、19日未明安値からの反騰で前回のサイクルトップとなる18日午前高値を上抜いたために強気サイクルに入っていたが、21日高値を直近のサイクルトップとして新たな弱気サイクルに入ったと思われる。このため21日高値を上抜き返せないうちは一段安余地が継続すると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)113.50円を超えられないうちは一段安警戒とみる。113.20円割れから先行スパンからの転落感が強まるため当初、113.00円から112.70円台への下落を想定する。また113.20円以下での推移が続くうちはさらに一段安で112.50円割れへ向かう可能性ありとみる。また26日へ続落の場合は27日から29日にかけての間へと安値形成期が伸びる可能性ありとし、15日安値112.02円試しを想定する。
(2)113.50円超え、維持へと進む場合は21日高値113.63円超えを試すとみる。高値更新の場合はそのまま12日深夜高値113.75円超えへ向かう可能性ありとし、12日深夜高値超えからは114円台序盤試しを想定する。ただし、26日から28日にかけての間に高値を付けやすいため、高値から0.35円以上の下落発生となる場合は新たな下落期入りを想定する。(了)<24日21:25執筆>

【当面の主な予定】

12月 25日
休 場  NZ、豪、香港、独、仏、伊、スイス、英、加、米、南ア、メキシコ等
14:00 (日) 10月景気動向指数 先行(CI)改定値 (速報値 106.1)

12月26日
休 場  NZ、豪、香港、独、仏、伊、スイス、英、加、南ア
08:30 (日) 11月全国消費者物価指数 生鮮食品除く・前年比 (10月 +0.8%、予想 +0.8%)
08:30 (日) 12月東京都区部消費者物価指数 生鮮食品除く・前年比 (11月 +0.6%、予想 +0.6%)
08:30 (日) 11月失業率 (10月 2.8%、予想 2.8%)
08:30 (日) 11月有効求人倍率 (10月 1.55倍、予想 1.56倍)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨公表(10月30-31日開催分)
13:15 (日) 黒田日銀総裁講演
23:00 (米) 10月S&P/ケースシラー住宅価格指数 前年比 (9月 6

12月27日
14:00 (日) 11月新設住宅着工件数 前年比 (10月 -4.8%、予想 -4.0%) 
24:00 (米) 12月消費者信頼感指数 (11月 129.5、予想 128.0)
24:00 (米) 11月中古住宅販売保留件数 前月比 (10月 +3.5%、予想 -0.8%)

12月28日
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合 主な意見の公表(12月20-21日開催分)
08:50 (日) 11月鉱工業生産・速報値 (10月 +0.5%、予想 +0.5%)
18:00 (欧) ECB経済報告
22:30 (米) 11月卸売在庫 前月比 (10月 -0.5%、予想 +0.3%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.5万件、予想 24.0万件)
23:45 (米) 12月シカゴ購買部協会景気指数 (11月 63.9、予想 62.0)

12月29日
11:00 (日) 東京株式市場大納会

12月31日
10:00 (中) 12月製造業PMI (11月 51.8)
10:00 (中) 12月非製造業PMI (11月 54.8)

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