今週の週間見通し
先週のドル円は、週前半を高値圏に水曜の上院補欠選で共和党敗北のニュースをきっかけにドル安・円高へと進路を変えました。FOMCの結果は予想通りではあったものの、直近のところで2018年の利上げペースが4回へ増えるとの一部の思惑はあったものの、9月と同じく3回との結果に利食い売りが出た格好となりました。
これまでにも何度も書いてきたことですが、FOMCメンバーの金利見通しを含めた金融政策はかなり安定したもので、そう簡単にブレることはありません。ブレているのは常にエコノミストを中心とした市場参加者です。今のイエレン議長体制になってからも中国株の急落時に外部要因による利上げ中断という動きはありましたが、それ以外は安定した政策を続けてきました。そうした中でエコノミストは利上げの前倒しだ、後退だと見通しがブレていたことは皆さんの記憶にも残っているはずです。
来年は新議長就任、副議長、理事の大幅入れ替え、そして例年の地区連銀持ち回りによるメンバー交代、とFOMCメンバーが大幅に入れ替わることとなりますが、それでも現在のイエレン議長路線を継続し、よほどの経済情勢の変化が見られない限り3回の利上げを行うという流れになるものと考えられます。米国の政策金利(FF)は、先週のFOMCで1.25〜1.50%の誘導レンジとなりましたので、1年後には緩やかな利上げペースを維持し2.00〜2.25%の誘導レンジと、米国にとっては金利正常化段階へと入ることとなります。
いっぽうで日銀ですが、先週金曜には一段の金融緩和を行うといった思惑も出ましたが、これまでの黒田総裁の発言した内容を考えると行き過ぎた低金利による弊害についても言及しているために、これ以上の緩和は考え難いところです。最大の理由は日銀の審議委員の入れ替えで、タカ派1減、超ハト派1増となったことから、委員の発言によっては政策委員会として共通の立場から離れた方向へと誤解されないよう、どちらかというとこれまでよりも更にフラットな発言を意識していると考えられます。
今週の日銀会合では現状維持がコンセンサスですが、21日の総裁会見では上記のことを意識して、緩和縮小とも取られかねないよう言葉選びに苦慮する様子が目に浮かびます。黒田総裁自身も任期終了まで残り4か月を切りました。目指した政策が実現できないままの任期終了は確実ですが、次期総裁候補として最有力候補のひとりでもあり、今後は次期総裁が誰になるのかも話題となってきそうです。
さて、今週は日銀会合以外では細かな経済指標の発表は続くものの目立ったイベントはありません。週明けのクリスマスに向け、徐々に欧米の参加者は休暇モードとなります。金曜は米国の取引所も短縮取引となりますし、週明け火曜(26日)までは動きが乏しくなると見ておいたほうが良いでしょう。
テクニカルにはどうでしょうか。9月の安値以降は大きな半値押し(赤のターゲット)など比較的キレイな動きを繰り返していますが、今回も11月高値と安値の78.6%戻し113.90が戻しの限界点(緑のターゲット)で、その手前で下げ方向へと転換しています。材料的に乏しい一週間ですから、現在の地合いはピンクのサポートと、ピンクのレジスタンスに挟まれた収束の局面にあると考えることができます。
今週のサポートは111円台後半から112円へと上昇、レジスタンスは113円台後半から半ばへと下降しています。また日柄的には今週半ばから来週前半にかけて再び円高方向へと動きやすい時間帯へと入ります。トータルして考えると、上記のレンジの中で、上値の重たい展開と考えることが最も妥当でしょう。今週は111.80レベルをサポートに、113.20レベルをレジスタンスと、112円台を中心とした動きを見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
12月18日(月)
08:50 本邦11月貿易収支
19:00 ユーロ圏11月CPI確報値
20:00 英国12月CBI製造業受注指数
24:00 米国12月NAHB住宅市場指数
12月19日(火)
09:00 NZ12月NBNZ企業信頼感
09:30 豪中銀理事会(5日)議事録公表
18:00 ドイツ12月ifo景況感指数
18:30 イタリア中銀総裁議会証言
19:00 ユーロ圏10月建設支出
22:30 米国11月住宅着工件数・建設許可件数
22:30 米国7〜9月期経常収支
30:45 NZ11月貿易収支
12月20日(水)
**:** 日銀金融政策決定会合(〜21日)
16:00 ドイツ11月PPI
18:00 ユーロ圏10月経常収支
21:00 メイ首相議会で質疑応答
24:00 米国11月中古住宅販売件数
24:30 米国週間原油在庫
30:45 NZ7〜9月期GDP
12月21日(木)
09:01 英国12月GFK消費者信頼感
**:** 日銀会合結果公表
15:30 黒田日銀総裁記者会見
16:45 フランス12月企業景況感指数
22:30 米国7〜9月期GDP確報値
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国12月フィラデルフィア連銀製造業指数
22:30 米国11月シカゴ連銀全米活動指数
23:00 米国10月住宅価格指数
24:00 ユーロ圏12月消費者信頼感速報値
24:00 米国11月景気先行指数
12月22日(金)
16:00 ドイツ1月GFK消費者信頼感
16:45 フランス7〜9月期GDP確報値
16:45 フランス11月PPI
18:30 英国7〜9月期GDP確報値
前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 113.54 113.75 112.03 112.62
ユーロ円 133.65 133.89 132.05 132.33
ユーロドル 1.1769 1.1863 1.1718 1.1751
日経平均 22894.30 22994.33 22478.32 22553.22
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
12月11日(月)
動意薄の一日となりました。ドル円は朝方こそ実需の買いにも支えられ113.68レベルと雇用統計後の高値を更新したものの、113円台後半では利食い売りも出たことからその後は113.24レベルまでじり安の流れとなってNY市場入りとなりました。NY市場では米金利の上昇も支えとなって東京寄り付き水準へ戻しての引け、方向感が無いままに一日を終わりました。
12月12日(火)
多少の上下はあったもののNY市場までは全くの動意薄の展開が続きました。NY市場に入り発表されたPPIが予想よりも強かったことから米金利上昇、ドル買いとなりNY市場前場には直近高値をわずかに更新し、113.75レベルをつけましたが、FOMCの結果公表を控えていることもあってすぐに反落、その後は113円台半ばでのもみあいのままの引けとなりました。
12月13日(水)
ドル円は3回に分けて下げる動きを見せました。東京の昼にアラバマ州上院補選で共和党候補が敗北したとのニュースに113円台半ばから113.12へと下げ、いったんは買いも見られて戻していたところに、米国CPIが発表。コア部分の数字が予想よりも弱かったことでFOMC前に112.95へと下落、ここでも再び買い戻しが入っていたところFOMCの結果発表が予想通りとなり112.46レベルの安値をつけました。これは直前にタカ派予想が増え2018年に4回の利上げを行うのではないかといった予想があったことと、材料出尽くしによる利食いで、引けにかけては若干戻してのクローズとなりました。
12月14日(木)
朝方に実需の買いで持ち上げられて以降はECB理事会もあることから小刻みな上下を繰り返す展開が続きました。欧州市場で一時112.88レベルまで水準を切り上げたものの、113円を手前に反落、ECB理事会では思ったよりもハト派の内容からユーロ円でも売りが入り、前日安値を下抜けると短期筋のストップオーダーも加わりドル円は112.07レベルまで下げた後に112円台半ばへと買い戻されての引けとなりました。
12月15日(金)
ドル円は日銀の追加緩和思惑も出て細かな上下はあったものの前日NY市場で下げた後ということもあり上値の重たい展開が続きました。欧州市場序盤には112.03レベルと前日安値をわずかに更新したものの、112円割れには買いも見られ後が続かず、その後はポンド売りの動きからじり高でのNY市場入り。メルケル首相がフェーズ2は一層厳しいとの発言を受けポンドが続落、ドル円もドル買いが進み112.74レベルまで高値を切り上げ、高値圏でもみあいのままクローズとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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