Xモード強まるなか、思わぬ変動に要注意(12月第三週)

先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週のザラ場ベースでは、一時直近のドル戻り高値を更新する局面もあったが続かず、

Xモード強まるなか、思わぬ変動に要注意(12月第三週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週のザラ場ベースでは、一時直近のドル戻り高値を更新する局面もあったが続かず、そののち反落に転じると、週末にかけては値を崩す展開をたどっている。

ドル/円は静かなスタート。先週末のNYクローズとほぼ同レベルである113.50円で寄り付いたのち、2日ほどは113円台の一進一退。そのなかで、ドルは113.74円を記録し、12月の高値・直近の戻り高値を更新する局面も観測されている。週の半ばに予定されていた米FOMCをにらみ、売買手控えムードが強かった。
しかし、高値記録後はじりじりと値を崩し、週末にかけては112円割れをうかがうレベルまでドルが軟化。さすがに、そのレベルでは買いも厚く下げ渋ったものの、結局、週末NYは112.60-65円で取引を終え、越週となった。

一方、週間を通した主な材料のひとつは、「米政権運営不安」。これはひとつの要因だけでなく、世界中から反発を食っている「エルサレムの首都承認」問題や、アラバマ州で実施された「上院補欠選挙における与党・共和党候補の敗北」、米ホワイトハウスが「マニゴールト米大統領補佐官、来年1月20日付で辞任」と発表したこと−−など複数ファクターが合わさり、ドルの足かせとなっていた感を否めない。

また、「北朝鮮情勢」も、折につけ話題に。ティラーソン米国務長官が12日に「北朝鮮とは前提条件なしで対話する用意がある」とのコメントしたものの、のちに否定的な見解が聞かれるなど発言が一貫せず。そうしたなか、朝鮮中央通信は北朝鮮・金委員長の発言として「世界最強の核保有国にする」、さらに同国外務省から「核開発は米に対抗する自衛措置」との見解も聞かれていた。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は下値正念場である112円レベルを先週割り込めず。NYクローズだけでなく、ザラ場ベースでも底堅く推移しており、今週もまずは同レベルをめぐる攻防に注意を払いたい。ちなみに、サポートされれば112-114円あるいは112-115円という相場が予想される反面、しっかり割り込んでしまうと110-112円といった具合にレンジが切り下がる可能性もある。
なお、クリスマスまで残り10日を切り、欧米勢を中心にマーケットは徐々に売買の手控えモードを強め始めている。参加者が減退するなか、基本的にはレンジ取引を予想しているが、「薄商い=荒っぽい価格変動」にも一応の注意が必要かもしれない。思わぬ円の急騰とぃった展開にも、警戒を払いたいところだ。

テクニカルには、ややドル安リスクをうかがわせているものの、前述したように「下値正念場」の112円を割り込めず、ドルの底堅さも。また、週足ベースの移動平均における長期52週線が位置する112.20円レベル、同・一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する112.45-50円などは、いずれも週末NYクローズベースで維持している。こうしたことを考えると、ドルの大崩れはなかなか予想しにくい。
ただし、それらレベルを断続的にブレークした場合、次のターゲットは日足・一目均衡表の雲の下限が位置する111円前後、あるいは11月安値の110.84円などとなりそうだ。

一方、材料的に見た場合、週初の12月NAHB住宅市場指数を皮切りに、連日米経済指標が発表される予定となっており、そちらは当然要注意。
ただ、個人的にはそれよりも21日に結果が公表される日銀金融政策決定会合、ならびに黒田日銀総裁の会見に注意を払いたい。微妙な緩和修正の地ならし準備警戒が円高と日本の株安要因として警戒される反面、改めて緩和長期化が強調されると、緩和出口への警戒感が後退し、改めて円安が支援される可能性もある。

そんな今週のドル/円予想レンジは、111.00-113.80円。ドル高・円安については、先週のドル高値であり、フィボナッチの観点で抵抗にあたる113.80円前後の攻防にまずは注視。抜ければ、心理的な意味合いの114円前後、11月高値の114.74円がターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、前述したように「重要な攻防の分岐点」であり、先週割り込めなかった112円レベルがかなり強いサポートか。引き続き底堅いイメージだが、割り込むようだと11月安値の110.84円も視界内に。(了)

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