ドル円 年末如何年明けの趨勢見込み(週報12月第三週)

今年も昨年12月同様に、ひとまずFOMC関連でのドル高材料は消化、揺れ返しの下落へ進む可能性がある。

ドル円  年末如何年明けの趨勢見込み(週報12月第三週)

【概況】

11月27日安値110.84円から上昇を開始し、12月4日高値113.08円から6日安値111.99円までいったん下げたが、その後の上昇で12月12日深夜には113.75円まで高値を切り上げた。しかし、13日の日中にはアラバマ州での上院補選で共和党候補が負けたこともきっかけに下落、さらに13日夜には14日未明の米FOMCを控えたポジション調整的な下落も入って113円を割り込み、14日未明のFOMC声明発表直後には112.46円まで続落した。

14日の日中はイベント通過後の下げ一服で小持合いとなっていたが、14日夜はECBが金融政策を現状維持としたことでユーロ円での円高が進んだこともあってドル円も下落、15日夕刻には112.02円の安値を付けた。
15日夜はユーロが続落、英ポンドが急落する中でユーロ円、ポンド円では円高が進んだが、米税制改革法案の年内成立期待が強まったことで株高となり、FOMCを前後した下落一服感もあって深夜には112.74円まで戻し、112.50円強の水準で週を終えた。
ちょうど、12月6日安値111.99円から上昇した分を解消する下げとなったが、12月6日安値が支持線となり、突込み警戒感も出たということだろう。

【FOMCは事実で売られる。去年12月と同様】

米連銀FOMCでは今年三度目の利上げが決定された。これは市場も確実視していた。FOMCメンバーによる2018年、2019年の利上げ回数中央値は3回で9月会合時と変わらず、金利水準予想も同様に据え置かれたため、特段の利上げ加速懸念は発生せず、予想でドル高、事実でドル安という典型的なイベント通過反応であった。
去年はトランプ・ショックからのトランプ・ラリーにより市場がかなり過熱状態に入ってドル円も急伸していたが、米FOMCが1年ぶりの利上げを決定、2017年の利上げ回数見込みを三回と示したことを以てドル高一巡とし、12月15日118.66円でドル円は天井を付けた。その後は1月3日に118.60円まで上昇してダブルトップを形成するなど高値圏を維持していたが、その後は下落期に入り、3月に戻りを入れたものの4月17日安値108.13円まで下落基調が続いた。

今年も昨年12月同様に、ひとまずFOMC関連でのドル高材料は消化、揺れ返しの下落へ進む可能性がある。もちろん、米税制改革法案の年内成立期待による株高を背景としてリスクオン心理が拡大すれば、FOMC云々によらずドル高再開という可能性もあるかもしれないが、仮に年内に成立すれば、税制改革法案年内成立期待というテーマも一服する。史上最高値を更新し続けてきたNYダウがひとたび下落に転じれば、ドル円にも大きな影響を与える可能性もある。またロシアゲート問題、北朝鮮問題、中東情勢への懸念等もある。まだ方向性が決定付けられる状況ではないかもしれないが、去年は12月15日高値でドル円は天井を付けたことのトラウマ、去年は12月まで高値を更新したが今年は今のところ11月6日高値を上抜けずに12月12日高値で戻り一巡してしまった可能性への懸念、3月以降に114円台までの戻りを何度も入れてもこの抵抗帯を突破できずに下落を繰り返してきたことへの警戒感、こうした要素がドル円の頭を押さえてくるのではないかと思われる。

【戻り三尊天井型か、ダブル天井破り型か】

12月12日高値を上抜けば、11月27日安値からの上昇継続であり、11月6日高値とダブル天井を形成して下落に転じるか、ダブル天井破りからさらに一段高へ進む可能性が開けると思う。その場合は11月27日からの二段上げ型上昇となり、上値目途は3月10日高値115.50円前後試し、さらに続伸の場合は3月以降の戻り天井を抑えてきた抵抗帯突破となり、9月8日から11月6日への上昇波動を基準としたN字型二段上昇として118.24円前後まで上値計算値が切り上がる=昨年12月15日天井試しまで伸び代が拡大してゆく可能性も出てくるかもしれない。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

(1)まず、12月15日安値を割り込まずに113円以上へ切り返し、12日深夜高値へ迫れるのか、15日安値を割り込むのかにより流れも決まってくると思われる。

(2)113.00円超え、その後も112.75円以上を維持する場合は12日深夜高値へ迫る可能性があるが、113円から113.50円のゾーンはいったん戻り売りにつかまりやすいとみる。ただし、113円以上を維持し始める場合は高値更新へ向かう可能性が高まるとみる。
(3)112.50円以下での推移が続く場合は15日安値割れへ向かいやすくなるとみる。15日安値割れの場合は12日深夜高値からの下落が二段下げ目に入るため、111円台前半のゾーンへ向かうとみる。その場合は日足レベルでの三尊天井形成の可能性も高まると見ている。(了)<17日22:00執筆>

【今週の主な予定】

12月18日
08:50 (日) 11月貿易収支 (10月 +2854億円、予想 -400憶円)
19:00 (欧) ユーロ圏11月消費者物価指数(HICP)確報値 前年比 (速報 1.5%、予想 1.5%)
24:00 (米) 12月NAHB住宅市場指数 (11月 70、予想 70)

12月19日
09:00 (NZ) 12月ANZ企業信頼感 (11月 -39.3)
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)金融政策決定理事会議事録公表(12月5日開催分)
18:00 (独) 12月Ifo景況感指数 (11月 117.5、予想 117.5)
22:30 (米) 11月住宅着工件数 (10月 129万件、予想 125.0万件)
22:30 (米) 11月建設許可件数 (10月 129.7万件、予想 127.5万件)
22:30 (米) 7-9月期経常収支 (前期 -1231憶ドル、予想 -1170億ドル)

12月20日
06:45 (NZ) ニュージーランド11月貿易収支 (10月 -8.71憶NZD、予想 -5.50NZD)
06:45 (NZ) ニュージーランド 7-9月期経常収支 対GDP比 (前期 -2.8%、予想 -2.5%)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、開催(21日まで)
24:00 (米) 11月中古住宅販売件数 (10月 548万件、予想 553万件)

12月21日
06:45  (NZ) ニュージーランド7-9月期GDP 前期比 (前期 +0.8%、予想 +0.6%)
06:45 (NZ) ニュージーランド7-9月期GDP 前年比 (前期 +2.5%、予想 +2.4%)

未 定 (日) 日銀金融政策決定会合結果公表
     (欧) スペイン・カタルーニャ州議会選挙
15:30 (日) 黒田日銀総裁、記者会見

22:30 (米) 7-9月期GDP・確報値 前期比年率 (改定値 +3.3%、予想 +3.3%) 
22:30 (米) 7-9月期個人消費・確報値 前期比年率 (改定値 +2.3%
22:30 (米) 7-9月期GDPデフレーター・確報値 前期比年率 (改定値 +2.1%、予想 +2.1%)
22:30 (米) 7-9月期コアPCEデフレーター・確報値 前期比年率 (改定値 +1.4%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.5万件、予想 23.3万件)
22:30 (米) 12月フィラデルフィア連銀製造業指数 (11月 22.7、予想 21.0)
23:00 (米) 10月住宅価格指数 前月比 (9月 +0.3%)
24:00 (欧) ユーロ圏12月消費者信頼感・速報値 (11月 0.1、予想 0.2)
24:00 (米) 11月景気先行指数 前月比 (10月 +1.2%、予想 +0.4%)

12月22日
18:30 (英) 7-9月期GDP・確報値 前期比 (速報 +0.4%、予想 +0.4%)
18:30 (英) 7-9月期GDP・確報値 前年比 (速報 +1.5%、予想 +1.5%)
22:30 (米) 11月個人所得 前月比 (10月 +0.4%、予想 +0.4%) 
22:30 (米) 11月個人消費 前月比 (10月 +0.3%、予想 +0.4%)
22:30 (米) 11月コアPCEデフレーター 前月比 (10月 +0.2%、予想 +0.1%)
22:30 (米) 11月コアPCEデフレーター 前年比 (10月 +1.4%、予想 +1.5%)
22:30 (米) 11月耐久財受注 前月比 (10月 -0.8%、予想 +2.0%)
22:30 (米) 11月耐久財受注 除輸送用機器 前月比 (10月 +0.9%、予想 +0.5%)
24:00 (米) 11月新築住宅販売件数 (10月 68.5万件、予想 65.0万件)
24:00 (米) 12月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 96.8、予想 97.2)

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