【概況】
12月8日の米雇用統計を通過して週明け11日朝には113.69円まで上昇、10月28日以降の高値を更新したが、その後は11日夜に113.24円まで下落し、12日の日中は113.50円を挟んだ持ち合いに留まり、やや上値の重い状況となっていた。
19時のZEWによるドイツ12月景気期待指数が前月比1.3ポイント低下の17.4となり、8月以来4か月振りの低下となったことでユーロ安ドル高反応が見られドル円はやや上昇。22時半の米生産者物価指数が予想より強めの数字だったことで深夜には113.75円まで続伸してこの間の高値を更新したが、深夜以降は目先の高値警戒感から押されて113.50円前後まで再び押された。13日序盤戦も113.50円前後でのもみ合いとなっている。
11月の米生産者物価指数は全体の前月比が0.4%上昇、エネルギーと食品を除いたコア指数も同0.3%上昇となり、ともに市場予想を上回った。また前年比では全体が3.1%上昇となり、10月の2.8%、市場予想の2.9%を上回った。コア指数前年比は2.4%上昇で前月、市場予想と一致した。
【明朝FOMC声明文、議長会見】
12日夜から米連銀FOMCが始まった。14日未明に政策金利発表を含む声明文、メンバーの利上げ回数予想及び金利水準見通し、イエレン議長の会見がある。
市場は今年三度目の利上げをほぼ確実とみているが、問題は来年の利上げ見通しであり、これまでの緩やかなペースが維持されるのか、やや引き締め感が強まるのか、あるいはインフレ目標未達成のなかで現状よりもやや緩む可能性が示唆されるのかという点にある。2月でイエレン議長が退任するので、新たなスタンスの変更は次期議長に内定しているパウエル理事が議長就任してからになるのか、あるいは最近までに追加されたメンバーがどのようなスタンスを示すのかも市場の興味をそそる。またトランプ政権による減税を含む税制改革、史上最高値を更新し続ける株高に対する米連銀としての見解も注目される。
FOMCがやや引き締めスタンスを強化する姿勢を示す場合、ドル円は114円超えへと上昇する可能性があるだろう。ただし、いったん強気反応した後に材料消化となって反落し、その後に発表前水準を下回るところからは流れが変わるとみる。逆に現状よりも緩やかなスタンスになる可能性が示唆される場合はドル安円高が一挙に進む可能性もある。
発表後、会見後に乱高下する場合、肝心なことは発表直前水準を上回って上昇継続できるか、発表前水準を下回った状況へと変わるのかというところが、材料消化によるトレンド変化か、材料未消化によるトレンド継続かの判断目安となると思われる。
また、FOMCから上昇し、日本市場時間の昼過ぎへと高値圏を維持する場合は14日夜の米国市場でさらに高値を試しやすい。逆に日本時間中に崩れる場合は米国市場でさらに一段安しやすくなると思われる。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、12日深夜へ高値を更新してからやや下げているものの先行スパンを上回った状況を維持している。先行スパンの上部が支持線となっている。高値を更新したものの横這い的な範囲に止まっているため遅行スパンは実線と交錯している。このため、先行スパンを上回る内は上昇継続を優先的に考えるが、先行スパンから転落の場合は11日夜安値試しとし、底割れの場合は弱気サイクル入りの可能性を優先して遅行スパン悪化中の安値試しを想定してゆく。またいったん先行スパンから転落しても再び上抜き返す場合は12日深夜高値超えから上昇再開、一段高へ進むとみる。
60分足の相対力指数は相場が12日深夜に高値を更新したものの、指数としては8日高値、11日高値形成時からピークが切り下がって弱気逆行気配となっている点に注意が要る。高値圏持ち合いのため、40ポイント前後まで下げてもその後に60ポイント超えへ切り返せば強気再開、40ポイント割れからさらに低下する場合は弱気転換の可能性を優先する。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、12月6日安値から強気サイクル入りしたが、6日安値から3日目となる11日夜安値で直近の底をつけて新たな上昇期に入っている。今回のサイクルトップ形成期を14日未明から18日朝にかけての間と想定する。FOMCから上昇継続なら14日夜、さらに15日にかけてはサイクルトップ形成への上昇を継続しやすいとみる。FOMC後に下落して11日夜安値を割り込む場合は弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる14日夜から18日夜への下落継続を想定する。
以上を踏まえ、12日の日中から13日朝にかけてのポイントを示す。
(1)当面、12月11日夜安値113.24円を支持線、12月12日深夜高値113.75円を抵抗線としておく。
(2)11日夜安値割れ回避の内は12日深夜高値超えからの一段高余地ありとし、その場合は114円試しへ向かうとみる。FOMCからの強気反応次第では114円台後半を目指す可能性ありとする。また113.60円以上を維持している内は高値試しへ向かう可能性も維持されると見る。
(3)11日夜安値割れの場合は弱気サイクル入りの可能性を踏まえてまず113.00円試しと見る。113円割れを早々に切り返せずに続落する場合は112.50円前後まで下値目処を引き下げる。また113.40円以下で終了の場合は14日の日中、夜へ下落しやすいと見ている。(了)<9:40執筆>
【当面の主な予定】
12月13日
18:00 (日) 黒田日銀総裁、講演
22:30 (米) 11月消費者物価指数 前年比 (10月 +2.0%、予想 +2.2%)
22:30 (米) 11月消費者物価指数・コア 前年比 (10月 +1.8%、予想 +1.8%)
12月14日
04:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利 (現行 1.00-1.25%、予想 1.25-1.50%へ引き上げ)
04:30 (米) イエレンFRB議長会見
1:00 (中) 11月小売売上高 前年比 (10月 +10.0%、予想 +10.3%)
11:00 (中) 11月鉱工業生産 前年比 (10月 +6.2%、予想 +6.2%)
11:00 (中) 11月固定資産投資 年初来 前年比 (
17:30 (ス) スイス国立銀行(SNB)金融政策、(現状 -1.25-0.25%、予想 据え置き)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利発表 (現行 8.00%、予想 据え置き)
21:00 (英) イングランド銀行金融政策委員会(MPC)政策金利発表 (現行 0.50%、予想 据え置き)
21:00 (英) イングランド銀行(BOE)資産購入枠 (現行 4350億ポンド、予想 据え置き)
21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会、政策金利発表 (現行 0.00%、予想 据え置き)
22:30 (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、会見
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.6万件、予想 23.9万件)
22:30 (米) 11月小売売上高 前月比 (10月 +0.2%、予想 +0.3%)
22:30 (米) 11月小売売上高 除自動車 前月比 (10月 +0.1%、予想 +0.7%)
24:00 (米) 10月企業在庫 前月比 (9月 0.0%、予想 -0.1%)
26:25 (加) ポロズBOC総裁、講演
オーダー/ポジション状況
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