ドル高リスク再び、米FOMCを注視
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週足は2週続けての陽線引けとなった。とくに週末にかけて、ドルの強さが際立つ展開で、113円半ばまで値を上げ、そのままドルの週高値圏で越週している。
前週末に112.10円台でNYを大引けたドル/円は、112.65-70円とギャップアップして取引を開始した。これには、先週末に「米議会上院において税制改革法案を可決した」ことが好感されていたようだ。しかし、113円前後でドルの上値は重く、しばらくのあいだ上げ渋り。むしろ、111.99円まで下押しの入る局面も観測されていた。
ところが、底値確認後はドルが大きく反発し、前回しっかりと超えられなかった113円前後の壁を超えると113.59円まで続伸。注目されていた週末発表の11月の米雇用統計が好数字となり、NYダウなど米株が堅調に推移したことが好感されていたという。結局、週末NYは113.45-50円と、週間を通したドルの高値圏で取引を終え、越週となった。
なお、そうしたなか、仮想通貨であるビットコインが週を通して波乱の値動き。週の半ば6日に、「一時12000ドル台をつけるなど史上最高値を更新」したものが、翌7日も続伸し「14000ドル台」、さらに8日早朝には「一時17000ドル台」をつけるなど、まさにバブルの様相。ただ、そののち大きく崩れ、「15000ドル割れ」となるなど、激しい上下動を記録している。
一方、週間を通した主な材料のひとつは、「北朝鮮情勢」。4日からの米韓空軍演習が開始されたこともあり、北朝鮮の反発が警戒されるなか、国連事務次長が5-8日の日程で北朝鮮の首都平壌を訪問、李外相らと会談したことで関心が高まっていた。
それ以外では、「トランプ大統領がエルサレムを首都と認定、米大使館の移転も決定」したことが様々な思惑を呼んでいたほか、「8日に期限切れとなるつなぎ予算問題」について、サンダース米大統領補佐官などから「延長措置間に合わず政府機関閉鎖の可能性も」との発言が報じられるなど、一時物議を醸していたようだ。
<< 今週の見通し >>
テクニカルには、懸念されていた週の初め112円前半に空けていたギャップをしっかり埋めたあとの反騰高で、下値リスクはさほど強くない。材料的にも、先週半ばにかけてドル高の足かせとなっていた「8日に期限切れとなるつなぎ米予算問題」も取り敢えず解決、週末に発表された米雇用統計も好数字となるなど、ドル高の環境は整っている。すでにほとんどの部分は織り込まれているものの、今週12-13日のFOMCで米利上げが実施されると予想されることもあり、日米などの金利差拡大観測もドル高を支援する可能性がある。
ただし、ドルの弱材料がまったくないわけではない。そのひとつは、現在も米議会で続く「減税を含めた税制改革法案の調整審議」、そして「エルサレムの首都認定問題」になる。それらの状況次第では、再びドル高傾向に冷や水を浴びせるような展開をたどる危険性も取り沙汰されていた。
テクニカルに見た場合、週間を通してレベルをじりじりと切り上げてきた日足・一目均衡表の先行帯の雲の上限(8日現在・113.35-40円)を、週末のNYクローズでも上回って大引けている。また、それ以外でも上方向に位置した、幾つかのテクニカルポイントを超えて推移しており、さらなる高値トライを感じさせる足形だ。
なお、フィボナッチの観点でいえば、11月高値114.74円を起点とした下げ幅の61.8%戻し(113.25円レベル)もクリアしており、次のターゲットは76.4%戻しとなる113.80-85円で、抜ければ100%戻し、114円台回復も否定出来ない。
一方、材料的に見た場合、11月の鉱工業生産や設備稼働率、12月のNY連銀製造業景況指数といった米経済指標の発表が相次ぐ予定となっているほか、12-13日には注目のFOMCが開催され、利上げが行われる見込みだ。
ちなみに、先週末に発表された米雇用統計は好数字であったが、平均賃金の伸び悩みが示されていただけに、そうした面をクローズアップし、来年の利上げスケジュールや回数に慎重な姿勢が表明されるようだと、利上げが実施された場合でも「材料出尽くし」や「当面の利上げ見送り観測」から、むしろドル安方向に動く可能性も指摘されている。
そんな今週のドル/円予想レンジは、112.00-114.80円。ドル高・円安については、フィボナッチの観点から113.80-85円、心理的な意味合いの114円前後などの攻防にまずは注視。抜ければ、11月高値の114.74円がターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、週足・一目均衡表の雲の上限などが位置する112.30-40円がかなり強いサポートか。底堅いイメージながら、割り込むようだと再び112円割れも。(了)
オーダー/ポジション状況
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