ドル円 113円到達後、月末からやや乱調気味(12/5)

11月30日深夜にいったん反落してから高値を更新、さらに12月1日深夜は30日深夜安値を割り込む急落だったが切り返してさらに高値を更新と、月末からはやや乱調気味

ドル円 113円到達後、月末からやや乱調気味(12/5)

【概況】

11月6日高値114.73円から下落基調が続き、11月28日未明には安値で110.84円をつけたが、その後は揺れ返しの上昇となった。下落してきた背景は欧州政局不安後退によるユーロ高ドル安、米税制改革法案成立への不透明感、米連銀のハト派的金融姿勢感、株高への懸念と米長期債上昇(長期金利低下)であった。
28日からの上昇局面ではこれらの状況が変わり、ユーロ反落、米税制改革法案が予算員会成立、米連銀のパウエル理事(次期議長)、イエレン現議長の議会証言による12月利上げ姿勢、株高再開と米長期債下落(長期金利上昇)となり、ドル円は揺れ返し的な上昇に入った。途中、北朝鮮の弾道ミサイル発射騒動もあったが市場はほとんど反応しなかった。

12月1日夜、トランプ政権の元高官であり大統領選挙での中心人物でもあったフリン氏が訴追され、同氏が捜査に全面協力すると報じられたことでドル円は直前高値112.87円から111.40円まで1時間程度の内に1.47円幅の急落となった。戻りは半値弱に止まって週を終えていたため、戻り一巡による下落再開感が強まったところだったが、休み中の12月2日、米上院本会議が税制改革法案を僅差で可決したため週明けは米税制改革・大規模減税が進むとして週末急落の悲観から一転して楽観となり、4日朝には112.89円まで上昇して週末急落前の高値を更新、さらにNYダウが史上最高値を更新したことで深夜には113.088円まで戻り高値を切り上げた。113円台は11月16日以来12日ぶりであった。
12月4日深夜からは米国株が上昇一巡から反落したため、ドル円も5日早朝には112.36円まで反落したが、その後はジリ高で戻し始めている。

【乱高下しつつ、週末の米雇用統計へ向けて高値を試すか】

11月30日深夜にいったん反落してから高値を更新、さらに12月1日深夜は30日深夜安値を割り込む急落だったが切り返してさらに高値を更新と、月末からはやや乱調気味となっている。材料的にもロシアゲート問題に対する懸念と米税制改革進展に対する期待が入り混じっているようだが、直前に3連騰したところで売り方がやや狼狽したために一時的な急落を入れたが、早々に高値を更新したということは買い気も旺盛であり、狼狽売り一巡の後の高値更新はかえって強さを増すことも多い。

12月5日午前時点では、日足の26日移動平均は112.78円にあり、12月4日夜高値ではこれを超えたが、その後の反落では割り込んでいる。26日移動平均割れから下落が加速した相場なので、26日移動平均を上抜き返して続伸に入れば11月6日高値試しまで上昇力が回復してくると思われるが、現状程度、113円台へ乗せても維持しきれずに下落してくる場合は、あくまでも11月6日から11月27日への下落に対するリバウンドの範囲に止まり、修正高一巡から次の下落へ向かう可能性もある。そのカギとなるのは週末の米雇用統計ということになるのだろう。そこを強気で通過すれば来週のFOMCまで上昇基調の継続、下落反応となる場合はFOMCまでは仕切り直しの下落という展開になりやすいとイメージする。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、4日朝の反騰から遅行スパンは好転していたが、4日深夜からの反落で悪化している(実線を割り込む)。先行スパンを上回った状況は維持している。月末からやや乱調気味のため、遅行スパンは好転、悪化を繰り返しやすいと思われるが、先行スパンを上回る内は上昇余地ありとし、26本基準線(現在112.72)を超えてくれば上昇再開、高値更新へ進めば遅行スパン好転中の高値試し優先と考える。先行スパンから転落するところからは弱気転換注意とみるが、112.00円前後から切り返して先行スパンを上抜き返す場合は強気回復とみる。先行スパンから転落した状況が5日夜、6日早朝へと続く場合は弱気転換を疑う。

60分足の相対力指数は11月30日以降の高値更新に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が続いているが、40ポイント前後を支持線として切り返しているので、60ポイントへ迫る上昇の場合は逆行ラインを破っての強気回復へ進むと考える。40ポイント割れを切り返せなくなる場合は弱気転換注意とみる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、11月28日未明安値から4日目となる12月2日未明安値で底をつけたと思われる。次の高値形成期は6日夜から8日深夜、長引く場合は11日朝にかけての間と想定される。ただし、112円割れから切りかえせない状況が続き始める場合は弱気サイクル入りにより、6日夜から11日朝にかけての下落へ進む可能性ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1) 112.25円を上回る内は先行スパンからの転落回避として上昇余地ありとみる。基準線112.72円超えからは上昇再開と仮定し、113.00円から113.50円前後への上昇を想定する。113.40円以上は反落警戒とみるが112.75円を上回って終了なら6日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(2) 112.25円割れから続落の場合は112円試しとし、さらに112円割れの場合は弱気サイクル入りの可能性を疑いつつ111.70円台への下落を想定するが、そこは買い戻しも入ってくるとみる。ただし、112.25円以下で明朝を迎える場合は6日の日中も安値試しへ進みやすいとみる。
※ 12月2日未明安値を割り込む場合は28日からの戻り一巡による下げ再開、11月6日高値からの下落が二段目に入る可能性を疑う。(了)<9:35執筆>

【当面の主な予定】

12月5日
    (欧) EU経済・財務相理事会(ブリュッセル)
10:45 (中) 11月財新サービス業PMI (10月 51.2 )
12:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)政策金利発表 (現行 1.50%、予想 据え置き)
19:00 (欧) ユーロ圏10月小売売上高 前月比 (9月 +0.7%、予想 -0.7%)
22:30 (米) 10月貿易収支 (9月 -435億ドル、予想 -474億ドル)
24:00 (米) 11月ISM非製造業景況指数 (10月 60.1、予想 59.0)

12月6日
09:30 (豪) 7-9月期GDP 前期比 (前期 +0.8%、予想 +0.7%)
09:30 (豪) 7-9月期GDP 前年比 (前期 +1.8%、予想 +3.0%)
22:15 (米) 11月ADP全国民間雇用者数 (10月 +23.5万人、予想 +19.0万人)
22:30 (米) 7-9月期非農業部門労働生産性 確報値 (速報 +3.0%、予想 3.3%)
22:30 (米) 7-9月期単位労働コスト 確報値 (速報 +0.5%、予想 +0.3%)
24:00 (加) カナダ銀行(BOC)政策金利発表 (現行 1.00%、予想 据え置き)

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