下値リスクくすぶるが基本は揉み合いか(11月第四週)

先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週のザラ場ベースでは一時111円割れをうかがう展開で、週足チャートは実体部が小さいものの、3週連続の陰線引けを記録している。

下値リスクくすぶるが基本は揉み合いか(11月第四週)

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先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週のザラ場ベースでは一時111円割れをうかがう展開で、週足チャートは実体部が小さいものの、3週連続の陰線引けを記録している。

ドル/円は前週末のNYクローズとほぼ同レベルの112.10円レベルで寄り付いたのち、じり高推移。週間高値である112.72円まで値を上げる局面も観測されている。しかし、ドル高傾向は長く続かず、基調が反転すると週間安値である111.07円まで一気に軟化となった。材料がまったくなかったわけではなかったが、日本の勤労感謝の日と米国の感謝祭があり、それに向けたポジション調整の動きが週間を通して優勢。日柄的な要因から、総じて円買いが優勢となっていた。
その後、米感謝祭などを経たあとは揉み合いながらもドル底堅い。じりじりと下値を切り上げ、週末NYは111円半ば、111.50-55円で取引を終え、越週となっている。

一方、週間を通した主な材料のひとつは、北朝鮮情勢。トランプ米大統領が「北朝鮮をテロ支援国家に再指定する」と発表したことをキッカケに、安倍首相など日韓政府関係者による歓迎コメントが聞かれた反面、北朝鮮の労働新聞からは「トランプは共和国の法に従って最高の極刑に処さねばならない」との掲載が確認されるなど、一時は不穏な雰囲気も。
また、ドル/円相場への直接的な影響は限られたが、「メルケル独首相が推し進めた連立協議が決裂」との報道がキッカケとなり、ドイツの政治情勢不安の台頭も市場で話題となっていた。

<< 今週の見通し >>

テクニカル面に加え、ポジションや材料的にもドル安方向のリスクが高そうだ。テクニカルに重要であり、先週割り込めなかった111円レベルをしっかり割り込むようだと、下げが加速しても不思議はない。
しかし、米感謝祭という日柄的なターニングポイントを過ぎたことで、調整の動きも目先一服する可能性もある。今週は注目材料がまったくないというわけではないものの、12月8日に発表される次回の米雇用統計発表や、同12-13日に予定されている米FOMCなど、次の重要イベントを視野に捉えつつ、しばらくは111-112円台を中心としたレンジ相場が続く公算も取り沙汰されていた。

テクニカルに見た場合、日足では一目均衡表の先行帯の雲の上限(112.05-10円)や移動平均の200日線(111.70-75円)、週足では一目均衡表の先行帯の雲の上限(112.30-35円)ならびに移動平均の長期線である52週線(112.35-40円)−−などのテクニカルポイントをいずれも週末NYクローズベースで下回ってきた。リスクは下方向にバイアスがかかりそう。
それに対するサポートは、9月安値107.32円を起点とした上げ幅の半値(50.0%)押しにも合致する先週安値の111円前後。下回れば、次のターゲットは61.8%押しの110.15円レベルで、110円割れも視界内に捉えられかねない。

一方、材料的に見た場合、11月の消費者信頼感指数や7-9月期GDP改定値をはじめ、重要な米経済指標の発表が相次ぐうえ、パウエル次期FRB議長の指名承認公聴会や、イエレンFRB議長の議会証言など、FRB関係者などによる発言の機会が目白押しだ。それらは当然要注意。12月FOMCでの利上げは既定路線ながら、問題はそのあと。来年以降の追加利上げに慎重なコメントなどが示されるようだと、調整的なドル売りを後押しすることにもなりないだろう。
また、それら以外では、30日に予定されているOPEC総会を注視している。協調減産合意の延長が濃厚とされるが、果たして結果は如何に!?

そんな今週のドル/円予想レンジは、110.50-112.80円。ドル高・円安については、週足ベース・一目均衡表の雲の上限などが位置する112.30-40円が最初の抵抗。抜ければ113円台回復も視界内に入ってくるが、上方向のテクニカルポイントは多く、ドルの頭は重いイメージだ。
対するドル安・円高方向は、再三再四指摘している111円前後をめぐる攻防にまず注視。割り込むようだと、今週末にかけて110.75-80円までレベルを切り上げてくる日足・一目均衡表の雲の下限がターゲットとなりそうだ。(了)

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