ドル円見通し11月6日からの下落基調続く(11月第四週)

ドイルの総選挙後、メルケル首相を中心とした連立政権交渉が決裂したとの報道で先週序盤はユーロが下落した。

ドル円見通し11月6日からの下落基調続く(11月第四週)

【概況】

11月6日に114.73円まで上昇して7月11日高値114.49円をわずかに上抜いたが、その後は下落に転じた。今年2月以降、114円台前半から3月10日高値115.50円までのゾーンを戻り抵抗帯として三度下落してきたが、今回もこの戻り抵抗ゾーンまで戻したところで失速した。
11月9日からの株安懸念、その後は米税制改革先行き見通しへの懸念、ロシアゲート問題の再燃等でリスク回避感が拡大し、米長期金利が低下傾向を辿ったことがドル円下落の背景となってきた。先週は日米株が戻したものの株高による円安効果は薄かった。

ドイツの連立政権協議決裂によるユーロ安円高、イエレン議長講演でのインフレ進捗目標達成への不透明感、22日夜の米耐久財受注が予想より悪かったこと、23日未明のFOMC議事録(9月会合分)がインフレ見通しについてのメンバーの見解が分かれていたことで今後もハト派的な姿勢が続くと市場が受け止めたことがドル安円高要因となった。
23日午前安値111.06円でひとまず下げ渋りからやや戻しているものの112円台回復への勢いを見せられないまま終了した。

【ユーロが一段高】

ドイルの総選挙後、メルケル首相を中心とした連立政権交渉が決裂したとの報道で先週序盤はユーロが下落した。しかし、24日には第2党のドイツ社会民主党(SPD)が政治停滞を回避するためメルケル首相と連立協議を行うことで合意したと報じられユーロは一段高となった。ユーロ円ではユーロ高円安だったが、ユーロドルは一段高となり、9月8日以降の下落を一巡、上昇再開感が強まっている。24日に発表された独IFO景況指数が11月に117.5ポイントまで上昇、前月の116.8から続伸して過去最高記録となったこともユーロを押し上げた。逆にドル指数は一段安となり、10月27日以降の安値を更新、下落感が強まっているため、ドル円にとってはドル指数下落による売り圧力が継続しやすくなっている。
11月30日にキリスト教民主同盟(CDU)、社会民主党 (SPD) 、キリスト教社会同盟 (CSU)の3党首会談が予定されている。そこで連立政権の合意ができればユーロへの懸念も後退、ユーロ高が進みやすくなり、相対的にドル安感が強まると思われる。

【抵抗帯到達で下落、52日移動平均割れ、1か月ないし2か月の下落期】

7月11日高値114.49円から9月8日安値107.32円まで2か月下落、その後の戻りが2か月、元の水準までイッテコイで戻した。しかし、2月以降の戻り抵抗帯を突破することなく下落に転じた。
今年は1月3日高値、3月10日高値、5月11日高値、7月11日高値で戻り天井を形成している。9月は逆に安値形成であったが、奇数月の序盤に基調転換を繰り返してきた。これら戻り天井からの下落が継続するトリガーとなったのは26日移動平均割れからである。今回も10月16日への下落では同線を支持線として上昇したが、11月6日からの下落では同線を割り込んで切り返せず、さらに下落継続性を示唆する52日移動平均割れへと進んだ。
52日移動平均割れまで下げた相場は、52日移動平均がその後の戻り抵抗となりやすく、同線を超えられないうちは一段安へ進みやすい。まだ26日移動平均が52日移動平均より上に位置しているが、26日移動平均が下へ抜けるデッドクロス状態に入れば、26日移動平均が戻り抵抗となり、同線を上抜き返せないうちは一段安が続きやすくなる。

3月10日から4月17日へ1か月強下落し、5月11日へ1か月弱の反発。6月14日へ1か月下落し、7月11日へ1か月の反発。9月8日へ2か月下落してからの戻りが2か月であった。一波動は1か月程度か、長引けば2か月で一区切り。今回もまず、11月6日高値から1か月程度の下落期と仮定しておくが、これまでの騰落の時間軸が左右対称的に展開していることを踏まえれば、下落1か月目となる12月8日の米雇用統計前後までは下落基調を継続しやすく、それを超えて下落継続の場合は12月12-13日の次回FOMC前後への下落へ発展する可能性があると認識しておく。

【戻り抵抗と下値目途】

11月6日高値114.73円から下落4日で10日未明安値113.09円まで1.64円幅。14日夕刻高値113.90円まで2日半で0.82円幅。11月20日朝安値111.88円まで下落4日で2.02円幅。21日未明まで戻り1日で0.83円幅。23日午前安値まで下落2日で1.65円幅である。
この間の下落は1.65円前後ないし2円前後、戻りは1円に満たない0.80円強という値動きである。ひとまず23日午前安値で落ち着いているので、仮に戻りが継続なら安値から0.80円程度の上昇で111.80円台後半が戻り抵抗となりやすいと思われる。そこまで戻せずに23日午前安値を割り込んでくる場合はこれまでよりも市場の下落感が拡大して戻りが鈍くなっていることを示すと思う。逆に112円を超えてくるようだと、直近二度の戻りよりも勢いがあることを示すので、21日の戻り高値112.703円を試す可能性も出てくるかもしれない。ただし、下げ相場は戻り高値を切り下げるものであること、52日移動平均もちょうど112.71円にあるため、21日未明高値を超えられずに戻り幅の半値以上を解消する下落発生なら次の下落期に入る可能性を優先すべきだろう。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、24日午後の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンへ潜り込んできている。このため遅行スパン好転中は先行スパン突破を試す可能性ありとし、先行スパン突破の場合は112円前後試しへ向かう可能性ありとするが、112円台序盤では戻り売りも出やすいとみる。遅行スパン悪化、先行スパンから転落の場合は下落再開を疑う。

60分足の相対力指数は24日、25日未明と60ポイントを超えている。50ポイント台を維持するうちは戻りを試す可能性ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開注意とみる。

概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、23日午前安値を直近のサイクルボトムとして上昇期に入ったが、今回の高値形成期は21日未明高値を基準として24日から28日朝にかけての間と想定されるため、すでに戻り高値を付けて下落再開しやすい時間帯に入っていると思われる。23日安値割れからは新たな下落期入りとして次の安値形成期となる28日午前から30日午前にかけての下落が想定される。

23日午前安値を割り込む場合は110円試し、さらに先行きは9月8日安値107.32円を目指す可能性も念頭に入れておく。
中勢レベルの強気転換は21日未明高値112.70円超えからとし、高値更新できないうちは先行き一段安警戒を優先する。(了)<26日22:00執筆>

【当面の主な予定】

11月27日(月)
08:50 (日)  10月企業向けサービス価格指数 前年同月比 (9月 +0.9%、予想 +0.9%)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数 年率換算 (9月 66.7万件、予想 62.5万件)
24:00 (米)  10月 新築住宅販売件数 前月比 (9月 +18.9%、予想 -6.3%)

11/28(火)
03:30 (英) ラムスデンBOE副総裁、講演
09:00 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演
23:00 (米) 9月住宅価格指数 前月比 (8月 +0.7%、予想 +0.5%)
23:00 (米) 9月S&P/ケースシラー住宅価格指数 前年比 ( 8月 5.9%、予想 6.0%)
24:00 (米) 11月消費者信頼感指数 (10月 125.9、予想 124.0)
24:00 (米) 11月リッチモンド連銀製造業指数 (10月 12、予想 14)
24:00 (米) 米上院銀行委員会、パウエル次期FRB議長承認公聴会
24:15 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

11月29日
16:00 (日) 中曽日銀副総裁、講演
22:30 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演
22:30 (米) 7-9月期GDP 改定値 前期比年率 (速報 +3.0%、予想 +3.2%)
22:30 (米) 7-9月期個人消費・改定値 前期比年率 (速報 +2.4%、予想 +2.5%)
22:30 (米) 7-9月期GDPデフレーター・改定値 前期比年率 (+2.2%、予想 +2.2%) 
24:00 (米) イエレンFRB議長、上下両院合同経済委員会証言
24:00 (米) 10月中古住宅販売保留件数指数 前月比 (9月 +0.0%、予想 +1.0%)

11月30日
石油輸出国機構(OPEC)総会(ウィーン)
    (独) キリスト教民主同盟(CDU)、社会民主党 (SPD) 、キリスト教社会同盟 (CSU) 党首会談
02:00 (独) ワイトマン独連銀総裁、講演
02:45 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
04:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
08:50 (日) 10月鉱工業生産・速報値 (9月 -1.0%、予想 +1.8%)
09:00 (日) 岩田日銀副総裁、講演
10:00 (中) 国家統計局 製造業PMI (10月 51.6、予想 51.5)
10:00 (中) 国家統計局 非製造業PMI (10月 54.3)
10:30 (日) 原田日銀審議委員、講演
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.9万件、予想 24.0万件)
22:30 (米) 10月個人所得 前月比 (9月 +0.4%、予想 +0.3%)
22:30 (米) 10月個人消費支出 前月比 (9月 +1.0%、予想 +0.2%)
22:30 (米) 10月コアPCEデフレーター 前年比 (9月 +1.3%、予想 +1.4%) 
23:45 (米) 11月シカゴPMI(購買部協会景気指数) (10月 66.2、予想 62.0)

12月1日
02:30 (米) クォールズFRB副議長、講演
03:00 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
08:30 (日) 10月全国消費者物価コア指数 前年比 (9月 +0.7%、予想 +0.2%
08:30 (日) 11月東京都区部消費者物価コア指数 前年比 (10月 +0.6%、予想 +0.6%)
08:30 (日) 10月失業率 (9月 2.8%、予想 2.8%)
10:45 (中) 中国11月財新製造業PMI (10月 51.0、予想 51.0)
23:05 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
23:30 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
24:00 (米) 11月ISM製造業景況指数 (10月 58.7、予想 58.3)
24:00 (米) 10月建設支出 前月比 (9月 +0.3%、予想 +0.5%)
24:15 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

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