ドル円見通し 下落基調継続リバウンドは1円弱(11/24)

23日未明のFOMC議事録では、12月利上げ見通しが示されたもののインフレに対するメンバーの認識が分かれており、

ドル円見通し 下落基調継続リバウンドは1円弱(11/24)

【概況】

11月20日朝に111.88円まで下落した後は21日未明高値112.70円まで戻したが、21日夜、22日の日中をジリ安で推移、22日夜の下落で20日朝安値を底割れして一段安となった。23日朝には111.06円まで下落し、その後は横ばいとなっている。
米連銀のFOMC議事録公開が23日未明に迫る中、米長期金利は上昇せずに下落基調となり、日米長期金利差からのドル売り円買い圧力が続いた。22日朝にはイエレン議長が講演でインフレの進捗に対する懸念を示唆する発言を行ったこと、22日夜には米耐久財受注が予想を下回ったことでドル売りが加速、20日朝安値を割り込んだ。

23日未明のFOMC議事録では、12月利上げ見通しが示されたもののインフレに対するメンバーの認識が分かれており、インフレが進まない内は利上げを急ぐべきではないという慎重派もいるという内容だったためドル安要因とされてドル円は111.50円も割り込んだ。さらに日米祝日の23日午前に安値を更新、あとは日米ともに祝日だったために小動きに止まって横這い推移に終始した。

米商務省が22日に発表した10月の耐久財受注は前月比1.2%減となり、市場予想の0.3%、前月の2.0%増(2.2%へ上方修正)を下回った。設備投資の先行指標とされる航空機を除く非国防資本財受注は0.5%減となり、市場予想の0.5%増に反した。
米労働省が22日に発表した新規失業保険申請件数は前週の24.9万件(25.2万件へ修正)、市場予想の24.0万件をやや下回る23.9万件だった。

【FOMC議事録(10月31・1日会合分)要旨】

・多くの参加者は中期的な経済見通しが変わらなければ、近いうちの利上げは正当化される公算が大きいと指摘。
・経済は完全雇用かそれ以上の状態にあり、経済はトレンドを上回って推移していると認識。
・目標を下回っている物価動向について、引き続き多くの時間を割いて討論された。
 多くの参加者は、物価低迷が一時的要因にとどまらず、「より長続きする影響をもたらす」との認識を示した。
 数人の投票メンバーは、利上げを判断する前に、インフレ伸び悩みが一時的かどうかを慎重に見極める考えを示した。
・数人の参加者は「金融引き締めが遅れれば、雇用最大化も目標を大幅に突破し、金融安定化のリスクが増大する」と懸念を示した。
・最高値圏で推移する株価などを念頭に数人の参加者が「金融不均衡が増大している可能性を懸念」「資産価格が急落すれば経済に悪影響が及ぼす恐れがあるとリスクを指摘

2015年、2016年の12月に米連銀が利上げを行い、翌年の利上げ見通しを示すところまで、利上げを織り込む形で米長期金利は上昇、日米長期金利差を背景にドル円は年末へ上昇してきた。2014年は米連銀の金融緩和終了への動きと日銀・黒田バズーカ第二弾による金融緩和を背景に2014年12月8日へ大上昇した。2015年は過度な円安に対する牽制もあって高止まりだったが、8月から11月18日へ上昇、12月も高値圏を維持していた。2016年は夏からの米長期金利上昇と連動して12月15日(FOMC声明発表)まで大幅上昇した(トランプラリーで加速した側面もある)。

しかし今年の米長期金利上昇は9月7日から10月26日まで上昇傾向にあったが、その後は下落基調が続いており、23日未明の議事録公開からも10年債利回りは低下している。
異常な株高に対する潜在的な警戒感、トランプ政権の先行き不安、欧州政治情勢、北朝鮮や中東情勢等への懸念があり、昨年のようなトランプラリーというサプライズ的な金利押し上げ要因も見られないことから米長期金利は6月以降中段持合い的な往来相場レベルで推移している。
12月12-13日の次回FOMC会合前には会合を意識して米長期金利上昇、ドル円の反発も見られるのではないかと思われるが、今のところは米長期金利低下であり、ドル円にとっては下落圧力が継続している状況にあると思われる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

ひとまず、議事録公開というイベントを通過したため、目先の売り一服でドル円は下げ渋りからやや戻し気味の推移に入っている。ただし積極的なドル高状況へ進む材料的背景も見られないため、下落に対するリバウンドの範囲に留まると思われる。

60分足の一目均衡表では、22日の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。23日午前安値の後は下げ渋りの持合いとなってきたために遅行スパンンは実線と交錯、好転しやすい状況にあるが、先行スパンを上抜き返す上昇へ進めない内は先行スパンの下側が抵抗となって一段安しやすいと思われる。

60分足の相対力指数は23日午前への下落で13.8ポイントまで急落したが、その後はV字反発して50ポイントまで戻してきている。特に強気逆行等は見られないが、かなりの下げ過ぎとして戻しやすい状況と思われるが、40ポイント割れの状況が続き始める場合は下げ再開を疑う。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは20日朝安値を前回のサイクルボトム、21日未明高値を同サイクルトップとし、底割れにより新たな下落サイクルに入った。しかし、20日朝安値から3日目となる23日午前安値から下げ渋りに入り、1日を経過しているので、23日午前安値を直近のサイクルボトムと仮定する。
23日午前安値割れ回避の内は24日の日中から28日朝にかけての上昇余地ありとするが、23日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りと考える。その場合、次の安値形成期は28日朝から30日午前にかけての間と想定される。

11月6日高値からの下落は10日未明まで1.64円幅、14日から20日未明まで2.02円幅、21日から23日午前まで1.65円幅である。また中間反発は14日高値へ0.82円幅、21日未明高値まで0.83円幅である。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、23日午前安値111.06円を支持線とし、上回る内は上昇余地ありとみる。
(2)先行スパン下限の111.40円から111.50円台までを戻り抵抗とみるが、111.60円超えの場合は安値から0.80円程度の戻りが多かったことも踏まえ、先行スパン上限の111.80円前後試しまで上値目処を切り上げるが、その後の反落警戒とする。
(3)23日午前安値割れからは新たな下落期入りとして週明けへの一段安を想定し、下値目処は心理的節目の110.00円試し、さらに下落が加速する状況となる場合は先行きで9月8日安値107.32円試しへ向かうとみる。
※ 日足で52日移動平均を割り込んだため、中勢レベルの強気回復には52日移動平均(現在112.71円近辺)を超えて続伸するような上昇が必要であり、それができない内は一段安継続となりやすいと考える。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

11月24日
    (米) NY株式・債券市場は短縮取引(感謝祭翌日)
18:00 (独) 11月Ifo景況感指数 (10月 116.7、予想 116.5)

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