ドル円26日52日移動平均割れで警戒増(週報11月第三週)

11月6日に114.734円をつけて7月11日高値114.49円をわずかに上抜いたが、そこから失速し始めた。

ドル円26日52日移動平均割れで警戒増(週報11月第三週)

【概況】

11月6日に114.734円をつけて7月11日高値114.49円をわずかに上抜いたが、そこから失速し始めた。
9月8日安値から11月6日への上昇はおよそ2か月。その前の下落は7月11日から9月8日までの2か月。ほぼイッテコイの戻りを実現し、3月以降の戻り抵抗帯となってきた114円台前半から3月10日高値115.50円にかけてのゾーンにも到達した。このため、10月16日の小反落時に下値支持線となった26日移動平均を割り込んで続落するところからは戻り一巡による下落再開となる可能性が高まると指摘した。
11月9日安値113.09円の後は下げ渋り、26日移動平均割れからの続落を回避していたが、11月15日の下落で112円台前半へ下落、26日移動平均から転落した。
26日移動平均を割り込む場合、当初の下値目途は52日移動平均まで切り下がるが、11月15日時点では52日移動平均まででいったん下げ止まった。しかし17日の下落では安値で111.94円まで続落、終値は112.12円として112円台を回復して終了したが、52日移動平均も割り込んだ。

【トランプ税制改革、ロシアゲート問題が米長期金利上昇を抑える】

下落の背景は主として米国株安、トランプ政権の先行き不透明感である。
11月9日に日経平均が1日の高安で860円安となる急変、その後も大幅下落となり、NYダウも9日には大幅下落、その後も日米株は11月15日まで下落基調で推移した。16日には米下院が税制改革法案を可決したことで日経平均もNYダウも反騰したのだが、17日は上院が下院案とは乖離する内容の法案審議となり、共和党内反対派により成立が不安視される状況となった。法案成立、減税実施の早期実現に対する懸念が再燃したことで16日に187ドル高と上昇していたNYダウは100ドル安と反落した。
ロシアゲート問題に関しても、モラー特別検察官チームが10月半ばにトランプ大統領選挙陣営の幹部10数人に対してロシア関連の文書を提出するよう命じていたとの報道があり、この問題による政権への先行き不安感が再燃した。

NYダウの下落を受けて米債券市場では10年債、30年債がリスク回避感から上昇、利回りは低下した。12月の米連銀による利上げが確実視される中で2年債利回りは上昇基調にあるため、長短金利差が縮小する状況となっているのだが、本来なら利上げを意識して上昇すべき10年債利回り、30年債利回りは株安による長期債買いにより上昇しきれずにいる。10月後半から11月7日まで低下していた米10年債利回りは9日にかけていったん反発していたのだが、その後の反落により、10月後半からの低下傾向が継続している印象が強まっている。米長期金利が上昇して日米長期金利差が拡大すればドル高円安となるが、米長期金利低下により、この金利差からのドル買い円売り圧力は後退、株安やトランプ政権への先行き不透明感等によるリスク回避的な円高が勝ってきている。

17日の為替市場では、ユーロは横ばい程度の動き、ポンドは高値更新からいったん反落して再び反発、豪ドルやニュージーランドドルが下落するなどまちまちだったが、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は10月末からの下落基調を継続している。ドル指数が上昇基調を回復しないうちは米長期金利低下傾向も含め、ドル円にとってはマイナス要因といえる。

【52日移動平均割れ,1年サイクルの天井も意識】

【52日移動平均割れ,1年サイクルの天井も意識】

改めて今年の相場を振り返れば、昨年12月15日高値と今年1月3日高値を毛抜き天井として4月17日安値、さらに9月8日安値へと下落してきた。9月8日安値から戻してきたが、3月以降の戻り抵抗帯に引っかかって失速した。
5月11日高値114.36円、7月11日高値114.49円、11月6日高値114.73円と、戻り高値はわずかずつ切り上がってきたが、4月17日安値から9月8日安値へと安値も切り下がったことを踏まえれば、多少の前後はあっても概ねボックス型の持合い、往来相場の範囲であり、9月8日からの上昇でもこのボックス圏を上抜けることはできなかったと考えられる。

そうなると今度は概ね10か月から1年周期のサイクルにおける天井を11月6日高値で付けた可能性があるのではないかという懸念が発生する。今回のサイクルトップ形成期は昨年12月天井を基準として今年10月から12月、やや長引いて1月までの間と想定される。9月8日からの上昇幅の半値を削ったわけではないので、26日移動平均超えへと切り返せば、11月末にかけて、あるいは12月の米連銀FOMC前後へ上昇再開となる可能性は残る。しかし、26日移動平均割れからさらに52日移動平均割れへと崩れる相場は、直前の高値から52日移動平均までのベクトルをさらにもう一つ分以上下げることが多い。このため、26日移動平均を上抜き返せないうちは一段安懸念が優先され、まず上昇幅に対する半値押し=111.02円前後試し、さらにベクトルの2倍見当となる110.00円前後試しへ向かう可能性を警戒すべきではないかと思うところだ。(了)<19日21時執筆>

【当面の主な予定】

11月20日
08:50 (日) 10月貿易収支 (9月 +6702億円、予想 +3300億円)
23:00 (欧) ドラギECB総裁、欧州議会公聴会
24:00 (米) 10月景気先行指数 前月比 (9月 -0.2%、予想 +0.6%) 
25:00 (欧) ドラギECB総裁、講演

11月21日
09:30 (豪) 豪中銀(RBA)金融政策決定理事会議事録公開(11月7日開催分)
18:05 (豪) ロウ豪中銀(RBA)総裁 講演
22:30 (米) 10月シカゴ連銀全米活動指数 (9月 0.17、予想 )
24:00 (米) 10月中古住宅販売件数 (前月 539万件、予想 540万件)

11月22日
ロシア・トルコ・イラン首脳会談

08:00 (米) イエレンFRB議長講演
22:30 (米) 10月耐久財受注 前月比 (9月 +2.2%、予想 +0.3%)
22:30 (米) 10月耐久財受注 除輸送用機器 前月比 (9月 +0.7%、予想 +0.4%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.9万件、予想 24.0万件)
24:00 (米) 11月ミシガン大学消費者信頼感指数確報 (速報 97.8 予想 98.0)

11月23日
04:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公開(10月31-11月1日分)
    (日) 東京市場休場(勤労感謝の日)
    (米) NY市場休場(感謝祭)
未定 (南ア)南ア準備銀行(SARB)政策金利発表 (現行 6.75%、予想 据え置き)
16:00 (独) 7-9月期GDP・改定値 前期比 (速報 +0.8%、予想 +0.8%)
16:00 (独) 7-9月期GDP・改定値 前年比 (速報 +2.8%、予想 +2.8%)
17:30 (独) 11月製造業PMI速報値 (10月 60.6、予想 60.3)
17:30 (独) 11月サービス業PMI速報値 (10月 54.7、予想 55.0)
18:00 (欧) ユーロ圏11月製造業PMI速報値 (10月 58.5、予想 58.2)
18:00 (欧) ユーロ圏11月サービス業PMI速報値 (10月 55.0、予想 55.2)
18:30 (英) 7-9月期GDP改定値 前期比 (速報 +0.4%、予想 +0.4%)
18:30 (英) 7-9月期GDP改定値 前年比 (速報 +1.5%、予想 +1.5%)
21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨公開(10月26日分)

11月24日
    (米) NY株式・債券市場、短縮取引(感謝祭翌日)
18:00 (独) 11月Ifo景況感指数 (10月 116.7、予想 116.5)

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