ドル円 10月27日高値に迫るが高値更新を躊躇(11/2)

先週末10月27日夜に114.45円をつけて10月16日以降の高値を更新したが、27日深夜、週明け30日、31日と続落し、112.95円まで下げた。

ドル円 10月27日高値に迫るが高値更新を躊躇(11/2)

<概況・ポイント>

先週末10月27日夜に114.45円をつけて10月16日以降の高値を更新したが、27日深夜、週明け30日、31日と続落し、112.95円まで下げた。しかし31日夜からは米経済指標が強かったことや株高によるリスクオン心理を背景に反騰、11月1日も続伸して夜には114.27円をつけた。10月27日高値にはわずかに届かず、いったんは113.75円まで下げたものの2日午前は114円台を回復している。

10月23日、25日、27日と114円台に乗せて高値を切り上げたが、その都度急落したことで、114円台前半には抵抗感もあるところだが、市場心理としてはこの抵抗感を払しょくする強気材料が出てくれば27日高値超えから114円台後半入り、さらには3月10日高値115.50円を目指す可能性も出てくるだろう。ただし、わずかに高値更新してから反落するか、高値更新できずに急落する場合には27日高値とのダブル天井形成からの下落入りとなる可能性も残っている。
米連銀の次期議長が米国東部時間2日午後には発表されるという。3日は米雇用時計。トランプ大統領のアジア歴訪も週末から始まる。それに対する北朝鮮の動向はいかに?という重要な局面に差し掛かる。

【ADP、ISM、米FOMC声明】

FOMC声明骨子
・政策金利を年1.00〜1.25%に据え置きを決定
・景気認識を「力強く拡大」に上方修正、労働市場は強固と判断
・消費や企業の設備投資は拡大傾向にある
・インフレは弱く、動向を注視する
・決定は全会一致

 連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利等を現状維持としたが、声明分では米景気判断を上方修正した。7〜9月期の米実質GDPが前期比年率3.0%増と伸びており、インフレが目標水準へ進捗していないものの景気と雇用はしっかりしており、株高の状況にあるため、特に内容的なサプライズはないものの12月会合で利上げ決定する可能性が高いという印象を強めた。

米ADPの10月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数は前月比23.5万人増となり、7カ月ぶりの高水準で市場予想の20万人増を上回った。9月は速報の13.5万人増から11.0万人増に下方修正された。9月はハリケーン被害の影響が出ていたが、10月は回復してきている。このため、週末の米労働省雇用統計も良好な数字となる可能性が高まった。
 米ISMの10月製造業景況指数は58.7となり、前月の60.8から減速、市場予想の59.5を下回ったが、景気の強弱の節目とされる50を14か月連続で上回った。米国の景気指標は基本的に強い数字が続いている。株高も背景としてADP、ISMいずれも12月利上げ判断に寄与する内容となっている印象だ。

トランプ大統領は、米連銀次期議長の指名を米東部時間2日午後に発表すると述べた。ホワイトハウス関係者の話としてパウエル氏が指名される公算との見方が出ている。先週前半はテイラー教授(イエレン議長よりタカ派)有利と報道されていたが、週末からはパウエル理事(イエレン議長に近い)の可能性が高いとの報道が続いた。パウエル理事で決定なら材料的には織り込み済としてさほど大きな市場反応はないと思うが、テイラー教授となる場合はサプライズ的なドル高となりやすい。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、1日未明への上昇で遅行スパンが好転。1日午前の続伸で先行スパンを突破した。その後も両スパン好転状態にある。ただ、現状から一段高へ進めないと遅行スパンは夜間にかけて悪化しやすい位置取りとなっている。遅行スパン好転中は高値更新余地ありとするが、遅行スパン悪化の場合は弱気転換注意とし、先行スパン下限試しとみる。先行スパン転落開始で再び先行スパンを上抜き返す、遅行スパン好転と揃う場合は上昇再開の可能性を優先するが、先行スパンから転落の場合は弱気転換として31日安値試しヘのイッテコイへ向かいやすくなるとみる。

60分足の相対力指数は31日未明安値から31日夕刻にかけて強気逆行を示し、その後に大幅上昇した。1日夜には80ポイントに迫ってから反落している。弱気逆行(相場が高値更新しても指数が高値を切り下げる逆転現象)はまだ見られていないが、70ポイント台後半まで上昇した後のため、逆行が無くても50ポイント割れからは弱気転換注意と思われる。また1日夜高値を上抜く場合に指数は弱気逆行となりやすいため、その後の反落開始の場合は弱気転換を疑う。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは、10月27日夜高値を前回のサイクルトップ、31日夕安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りした。今回の高値形成期は1日夕刻から3日夜にかけての間と想定されるので、既に1日夜高値でサイクルトップをつけた可能性があるが、2日未明安値割れ回避の内はまだ上昇再開余地ありとみる。1日未明安値113.75円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して3日午後から7日にかけての間への下落を想定する。雇用統計前後から反騰ならボトムをつけての強気サイクル入りとなる可能性を考えるが、雇用統計後に続落している場合は週明けへの一段安へ進みやすいとみておく。

以上を含めて当面のポイントを示す。
(1)当初、2日未明安値113.75円を支持線とし、上回る内は高値更新余地ありとし、1日夜高値114.27円超えからは27日高値114.45円、さらに115円に迫る上昇を想定する。27日高値超えの場合は3月10日高値115.50円までチャート上の目安となる抵抗が切り上がってくると考える。
(2)113.75円割れから続落なら弱気転換注意、113.60円割れからは先行スパンからの転落となるため弱気サイクル入りと仮定して当初113.25円前後、さらに31日安値112.95円試しへ向かう可能性を考える。
(3)3日の米雇用統計から下落して31日安値を割り込んでいる場合はダブル天井からの下落として112円台序盤試しへ向かうとみる。雇用統計前後まで下落してから反騰に転じる場合は新たな強気サイクル入りの可能性と高値更新の可能性を優先的に考えてゆく。逆に雇用統計前後まで上昇してから急落の場合はレンジ拡張型の往来相場による揺れ返しの下落として下げがきつくなる可能性を警戒する。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

11月2日
20:30 (米) 10月チャレンジャー人員削減予定数
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)政策金利発表 (現行 0.25%、予想 0.5%に引き上げ)
21:00 (英) 英中銀 資産購入枠 (現行 4350億ポンド、予想 据え置き)
21:30 (米) 7-9月期非農業部門労働生産性 速報値 
21:30 (米) 7-9月期単位労働コスト・速報値 前期比年率 (前期 +1.5%、予想 +2.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) パウエルFRB理事 講演

11月3日
日本 東京市場休場(文化の日)

07:15 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
10:45 (中) 10月財新サービス業PMI
21:30 (米) 10月非農業部門雇用者数 (前月 -3.3万人、予想 +31.0万人)
21:30 (米) 10月失業率 (前月 4.2%、予想 4.2%)
21:30 (米) 10月平均時給 (前月 +0.5%、予想 +0.2%)
23:00 (米) 10月ISM非製造業景況指数 (前月 59.8、予想 58.3)
23:00 (米) 9月製造業受注指数 前月比 (前月 +1.2%、予想 +1.0%)

11月4日
01:15 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
05:15 (米) クーレECB理事、講演
※ トランプ米大統領、来日
※ 米国、カナダ夏時間終了、冬時間に移行(2017年3月11日まで)

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