ドル円今週の週間見通し(週報10月第四週抜粋)

月間高値を超え短期円安局面に

ドル円今週の週間見通し(週報10月第四週抜粋)

今週の週間見通し

先週は週を通してドル買いが目立つ一週間でした。週前半はスペインのカタルーニャ州の独立問題がユーロの上値を抑えたことからユーロ主導のドル買い相場となり、週半ばは史上最高値更新を続けるNYダウの動きが株高・債券安となり米金利の上昇がドル買いのきっかけに、そして週末は米国上院での予算案可決と欧州や米国の外部要因によるドル高相場となりました。

いっぽうで、週末の衆議院選は与党圧勝予想の中で日本株の上昇材料となり、日経平均株価は過去最長に並ぶ14連騰となったものの、米韓合同演習に対する北朝鮮の反応を経過していまひとつ円売りには力が入っていませんでした。しかし、金曜のドル買いの動きで10月の月間高値を上抜く動きとなったことから短期的には円安トレンドを確定する流れになったと考えられます。

今週は、衆議院選で与党が圧勝したことを受け、日経平均株価は史上初の15連騰が確実視され、今後の展開も一段高を見込む向きが増えてきています。また米国株も高すぎとの懸念はある一方で「もうはまだ」の相場格言ではありませんが、テクニカルにもまだ上昇余力があると考えられますので、上院での予算案通過による税制改革期待から日米ともに株高のリスクオン傾向が続きやすいと言えるでしょう。

また、今週最大の材料としてはECB理事会における来年のテーパリングの決定がありますが、事前に出てきた情報を総合してもテーパリングは確実視されること、またワンステップ挟んで半減での継続が現状のコンセンサスと言えます。予想通りであるならば、ユーロはユーロ買いとなっても、今週はドル円への波及は少ないと見られどちらかというとユーロ円等のユーロクロスの動きになると考えられます。

また先週から活発な動きを見せているのが次期FRB議長の人選です。これまではタカ派と考えられるテイラー・スタンフォード大教授が有力視されてきましたが、先週になりパウエル理事の昇格やイエレン議長の続投(両者ともハト派)も話に上り、他にも候補者はいるもののトランプ大統領は週末のTV番組でこれら3者について検討しているとした上で、テイラー氏とパウエル氏を正副議長とする案にも言及しました。

遠くない段階で議長候補が決まると思いますが、これは事前予想通りにテイラー氏が議長となる場合は市場はタカ派的に、他の2人の場合はハト派に見ると予想されます。しかし、これまでのFRBのスタンスは、緩和から引き締めへと至る流れの中で一貫した方向性を示していて、時期議長もその流れを継続することは間違いありません。FOMCの思惑同様に市場参加者の思惑はブレてもFRBの方向性(2018年は3回の利上げ)は変わらないと見ておいた方が間違いは無いでしょう。

さて、どれも方向性がはっきりするようなものではありませんが、テクニカルな動きは気になる動きを見せています。日足チャートをご覧ください。

金曜の段階では月間高値を超えたものの3月高値と7月高値を結んだレジスタンスライン(ピンクのライン)の下でしたが、週初のギャップアップの動きで同線を上抜けてきました。この動きによって短期的にはドル高・円安トレンドを確定してきたと考えられます。これまで113円台前半はレジスタンスとなっていましたので、現在はまず113円台前半がサポートとなってきたと考えられます。

レジスタンスはどうでしょうか。実は114円台には細かいレジスタンスが多く、まず昨年12月高値(118.66)と今年安値(107.32)の61.8%戻しにあたる114.33(赤のライン)、そして7月高値の114.50がちかいところにあります。更に、9月安値を起点に10月6日高値への上げ、その後の16日への押しからフィボナッチ・エクスパンションを計算すると、50%エクスパンションが114.71です。その上にも61.8%エクスパンションの115.44と3月高値(115.50)が近い位置にあり、114円台半ばから115円台半ばには節目が多いことがわかります。

今週はテクニカルな観点をメインに、まずは7月高値を視野に入れ、その後は114.71レベルをターゲットとする動きになってくると考えられます。したがって、113.00レベルをサポートに、114.70レベルをレジスタンスとする流れが最も妥当な見方となります。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

10月23日(月)
**:** NZ市場休場
14:00 安倍首相会見
21:30 米国9月シカゴ連銀全米活動指数
23:00 ユーロ圏10月消費者信頼感速報値

10月24日(火)
16:00 フランス10月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ10月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏10月製造業・サービス業PMI速報値
22:45 米国10月MarkIt製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国10月リッチモンド連銀製造業指数

10月25日(水)
09:30 豪州7〜9月期CPI
17:00 ドイツ10月ifo景況感指数
17:30 英国7〜9月期GDP速報値
21:30 米国9月耐久財受注
22:00 米国8月住宅価格指数
23:00 米国9月新築住宅販売件数
23:30 米国週間原油在庫
24:15 カナダ中銀総裁会見

10月26日(木)
06:45 NZ9月貿易収支
09:30 豪州7〜9月期輸入物価指数
15:00 ドイツ11月GFK消費者信頼感
18:00 オーストリア中銀総裁講演
18:30 南ア9月PPI
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:45 ECB理事会結果発表
21:30 ドラギECB総裁会見
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国9月卸売在庫
23:00 米国9月中古住宅販売保留件数指数

10月27日(金)
08:30 本邦9月CPI、10月東京区部CPI
09:30 豪州7〜9月期PPI
15:45 フランス10月消費者信頼感指数
21:30 米国7〜9月期GDP速報値
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感指数確報値

10月29日(日)
 **:** 欧州、LDN市場冬時間開始

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