ドル円 3月高値圏を試す流れへ(週報10月第四週)

NYダウの連日の上昇、それに加えて解散総選挙と現政権継続=日銀金融緩和と株買いの継続を期待して日経平均も上昇したが、ドル円は株高の楽観主義には乗り切れず、

ドル円 3月高値圏を試す流れへ(週報10月第四週)

【概況 26日移動平均を押し目に上昇】

7月11日高値114.49円から9月8日安値107.32円までの下落はドル安、ユーロ高、北朝鮮有事リスクを背景とした円高であったが、そこから切り返して10月6日の米雇用統計直後につけた高値113.43円まではドル高、ユーロ反落、北朝鮮有事リスク一服、株高をリスクオンとしたドル高円安であった。
10月6日の米雇用統計では非農業部門就業者数が巨大ハリケーンの影響で7年ぶりのマイナスとなったが、失業率は4.2%へ改善、平均時給も前月比+0.5%となったため、12月の米連銀による利上げ姿勢は変わらないとしてドル高反応であった。しかし、そこで9月8日からのドル高は一巡、10月6日夜からはドル安、ユーロが戻し、リスク回避先の代表選手であるゴールドが6連騰するなど再びドル安を中心とした流れへと変わりかけていた。

NYダウの連日の上昇、それに加えて解散総選挙と現政権継続=日銀金融緩和と株買いの継続を期待して日経平均も上昇したが、ドル円は株高の楽観主義には乗り切れず、株高と逆行して10月16日まで下落した。
そこで、10月6日からのドル円下落が、3月10日高値からの下落、5月11日高値からの下落、7月11日高値からの下落と同様の下げへと発展してゆくのかどうか、その目安として26日移動平均を支持線として切り返せるか、割り込んで続落した行くのかで判断してゆくという見立てをした。

結果、10月16日安値111.65円ではその時の26日移動平均(111.92円)をザラバで一時的に割り込んだが、終値では割り込まずに切り返し、26日移動平均を支持線=押し目として反騰に入った。10月20日は米上院での予算決議案可決の報道から強気化されて午前から上昇、10月6日高値を上抜いた。
9月27日以降、113円台前半の高値を何度かつけてきたが、10月6日高値113.43円でも113.50円超えへは進めていなかった。しかし20日にはこの間の高値を超えるとともにこれらの抵抗帯でもあった113.50円超えに成功した。

【3月10日、5月11日、7月11日、そして今回の高値】

抵抗帯突破と高値更新により、9月8日安値からの上昇波動は二段上げ型へと発展した。
3月10日以降、下落とその後の反騰はおよそ1か月程度での循環相場であった。7月10日からの下落が9月8日まで2か月に及び、これまでの循環相場のリズムが崩れかけたが、113円台前半に止まらずに113円台後半へ上昇してきたことにより、今回の上昇も3月以降の循環相場の高値圏を試す流れとなってきたといえるだろう。
5月11日高値114.36円から7月11日高値114.49円へわずかに高値ラインが切り上がっているので、今回の高値目途も7月11日高値を上抜く水準へ切り上がる可能性がある。ならば、7月11日高値を超える場合は3月10日高115.50円を目指す可能性も高まると考える。

【トランプ大統領アジア歴訪】

11月3日からトランプ大統領はアジア歴訪に発つ。5日には来日、7日には韓国で北朝鮮政策を演説し、8日には訪中する。出発前には次期FRB議長を選任する。
候補者は5人。イエレン現議長、パウエルFRB理事、テイラー・スタンフォード大教授、ウォーシュ元FRB理事、コーン国家経済会議委員長。イエレン議長よりもタカ派とされるテイラー教授が有力との見方や、パウエル理事が有力とか、パウエル理事とテイラー教授のコンビになるとか、憶測を呼んでいる。人事が決まれば一波乱あるかもしれないが、米連銀の金融姿勢=緩やかな利上げの継続が変わらなければ、ドル高基調を多少助長する程度の影響と思う。

北朝鮮は新たな軍事挑発のエスカレートを見せていない。中国共産党大会にはあてつけのミサイル発射もあるのではないかと警戒されていたが、逆に祝電を打った。先の国連安保理制裁決議が徐々に実行されていること、米国が独自の制裁強化を行っていること、中国も制裁に加わっていることで、かなり追い詰められているのではないかとの観測もあるが、それだからこそ、より挑発的な核武装、長距離弾道ミサイル開発へ突き進む可能性が高いとも見られている。特に、トランプ大統領のアジア歴訪に対して、何等かの軍事挑発行動に出るのではないか、その兆候が歴訪出発前には意図的に露見してくるのではないかと警戒する。

本稿執筆は10月22日のわが国総選挙結果が出る前である。サプライズ的な事象を前提にすることはできないが、市場は株の連騰を主役として、従来の経済政策、金融政策の維持、特に日銀の株買い継続期待で選挙を迎えた。期待を裏切る結果になれば楽観の裏返しによる悲観相場へと揺れ返すだろうが、期待通りなら早々に楽観のピークを形成に上昇、上昇一巡でピークを付けるという展開になるのではないかとイメージする。
楽観主義はイベント通過により早々にピークアウトすると仮定するが、さらに1週を超えて強気継続なら11月序盤、あるいは12月の米連銀利上げ決定まで、ドル高円安が継続する可能性も考えておく必要が出てくるかもしれない。

【引き続き26日移動平均を支持線に】

【引き続き26日移動平均を支持線に】

26日移動平均を支持線として反騰、一段高してきているが、26日移動平均は現在112.34円にあり、20日終値112.50円に対してさほど余裕はない。同線を上回るか、一時的に割り込んでも翌日には切り返すなら上昇基調継続と見る。
当面の上値目途としては、7月11日高値114.49円から3月10日高値115.50円にかけての間と想定する
26日移動平均割れを弱気転換注意、10月16日安値(111.65円)割れからは弱気転換と仮定する。その場合の下値目途は11月上旬にかけて110円試しと見る。(了)<22日9:00執筆>

【当面の主な予定】

10月23日
日本 衆議院議員総選挙結果への反応 終日続く
ニュージーラン市場休場(レイバーデー)
中国 第19回中国共産党大会(24日まで)
21:30 (米) 9月シカゴ連銀全米活動指数

10月24日
16:30 (独) 10月製造業PMI速報(9月 60.6、予想 60.0)
17:00 (欧) ユーロ圏10月製造業PMI速報 (9月 58.1、予想 57.8)
17:00 (欧) ユーロ圏10月サービス業PMI速報値(9月 55.8、予想 55.6)
23:00 (米) 10月リッチモンド連銀製造業指数 (9月 19、予想 16)

10月25日
17:00 (独) 10月IFO景況感指数 (9月 115.2、予想 115.0)
17:30 (英) 7-9月期GDP速報値(前期比予想 +0.3%、前年比予想 +14%)
21:30 (米) 9月耐久財受注 前月比 (8月 +2.1、予想 +1.2%)
21:30 (米) 9月耐久財受注 除輸送用機器 前月比 (8月 +0.5%、予想 +0.4%)
23:00 (加) カナダ中銀 BOC政策金利発表 (現行 1.00% 予想 据え置き)
23:00 (米) 9月新築住宅販売件数 (8月 56.0万件、予想 55.5万件)

10月26日
20:45 (欧) 欧州中銀 ECB理事会、政策金利発表
21:30 (欧) ドラギECB総裁 記者会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 23.5万件) )
23:00 (米) 9月中古住宅販売保留件数指数 前月比 (8月 -2.6%、予想 +1.0%)

10月27日
08:30 (日) 9月全国消費者物価指数
08:30 (日) 10月東京都区部消費者物価指数
21:30 (米) 7-9月期GDP・速報値 前期比年率 (前期 +3.1%、予想 +2.6%)
21:30 (米) 7-9月期個人消費・速報値 前期比年率 (前期 +3.3%、予想 +2.1%)
21:30 (米) 7-9月期GDPデフレーター・速報値 前期比年率 (前期 +1.0%、予想 +1.8%)
21:30 (米) 7-9月期コアPCEデフレーター・速報値 前期比年率 (前期 +0.9%、予想 +1.3%)
23:00 (米) 10月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値  (速報 101.1、予想 101.1) 

10月29日
英国、欧州市場は冬時間に

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