ドル円見通し 113円台維持できずに急落(10/20)

19日は為替市場全般で波乱が続いた。まず、ニュージーランド総選挙で与党国民党が第一党となったものの、第二党の労働党から第四党までの連立政権が樹立されて

ドル円見通し 113円台維持できずに急落(10/20)

<概況>

10月6日の米雇用統計後に付けた高値113.43円から下落基調が続き、16日午後には111.65円まで安値を更新したが、17日未明から反騰、18日午後からの一段高で17日夜高値を上抜き、18日深夜、19日早朝と大幅続伸して113円台に到達した。
19日午後には連日の株高に対する期待感もあって113.146円まで戻り高値を切り上げたのだが、15時半の高値からは一転して急落した。21時半の米経済指標発表前には112.292円まで下げ、高値からは0.85円幅の下落となったが、その後はやや持ち直している。

【為替市場全般の波乱】

19日は為替市場全般で波乱が続いた。まず、ニュージーランド総選挙で与党国民党が第一党となったものの、第二党の労働党から第四党までの連立政権が樹立されて国民党が下野する政権交代となった。特に移民排斥を掲げる右派勢力も入ることから政情不安感が高まってニュージーランドドルが暴落的に下落した。
スペインのカタルーニャ独立問題でも、スペイン政府が自治権はく奪を宣言するなど混乱が続き、英ポンドも小売統計が悪かったことで急落、ユーロも連鎖的に一時急落した。
バブル期以来の連騰が続いていた日経平均が夜間取引に入ると下落に転じたこともあり、為替市場の混乱的な状況に対する懸念がドル円にも波及、夕刻への急落が発生した。

21時半の米経済指標が予想よりも良かったことでドル円の下落にはブレーキがかかり、その後は落ち着いている。
米労働省が発表した週間失業保険申請件数は22.2万件で市場予想の24.0万件、前週の24.3万件(24.4万件へ改定)を下回る良好な数字だった。

10月のフィラデルフィア連銀景況指数は27.9で、市場予想の22.0および9月の23.8を上回った。これら米経済指標の改善傾向はドル高要因となった。

次期FRB議長の人事をめぐる情報が交錯しており、この日はトランプ大統領がイエレン議長と面談した。大統領がアジア歴訪へ出発する前には次期議長が選任される見通しであり、候補者は5人。イエレン現議長、パウエルFRB理事、テイラー・スタンフォード大教授、ウォーシュ元FRB理事、コーン国家経済会議委員長とされる。前日まではイエレン議長よりもタカ派とされるテイラー教授になるのではないかとの見方もあってドル高の一因となっていたが、この日の報道ではパウエル理事が有力ではないかとの見方も出てきている。イエレン議長続投の可能性もあるが、オバマ政権によって選ばれたイエレン議長を交代させることでトランプ色を強める狙いもあるのではないかとみられている。人事発表があれば多少の乱高下はあるかもしれない。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では16日深夜安値からの反発で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた状況が続いていたが、19日夕刻の急落で遅行スパンが悪化した。21時台の安値では先行スパン下限を試したが、転落は回避し、その後は先行スパン内での推移となっている。
19日夜安値割れを回避して横ばいで進めば夜には遅行スパンも好転し、112.80円を超えて続伸すれば先行スパンを再び上抜くこととなって強気感が高まるが、112.50円以下へ失速する場合は先行スパンからの転落となるため、19日午後高値からの下落が二段下げへと進んで16日安値を試しにかかる可能性が高まると思われる。

60分足の相対力指数は18日深夜高値と19日午後高値への上昇の間で弱気逆行(相場が高値を更新しても指数が高値のピークを切り下げる)を発生させていたが、夜への下落で33ポイントまで下降した。その後は50ポイントまで戻しているが、強気逆行型は見られてないので、40ポイント割れからはもう一段安へ進む可能性が残る。反騰基調を維持するには60ポイント超えへ進む必要があるだろう。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、10日深夜安値から4日目となる16日夕安値と16日深夜安値を小ダブル底として上昇していたため、次の高値形成期は12日未明高値を基準として17日午前から19日朝にかけての間と想定してきた。19日夕刻の急落により午後高値を直近のサイクルトップとして下落したと思われる。今回のサイクルボトム形成期は19日午後から23日へ午後にかけての間と想定されるので、早ければ19日夜安値でサイクルボトムを付けて新たな上昇期に入った可能性もあるが、19日午後高値を上抜き返せないうちはまだ一段安余地が残る。112.50円割れからは下げ再開注意とみる。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)112.50円を支持線とし、112.80円超えからは上昇再開の可能性を踏まえて19日午後高値試しを想定するが、19日午後高値とのダブルトップ形成からの反落注意とみる。19日午後高値を上抜く場合は113.50円前後への上昇へ向かうと想定する。
(2)112.50円割れからは下げ再開の可能性を優先して19日夜安値試しとし、底割れの場合は111.75円から111.50円にかけてのゾーンを試すとみる。(了)<10:00執筆>

【当面の主な予定】

10月20日
    (欧) EU首脳会議(ブリュッセル、19日〜20日)
アジア太平洋経済協力会議APEC財務相会合(ベトナム、19日〜21日)
15:35 (日) 黒田日銀総裁、全国信用組合大会挨拶
23:00 (米) 9月中古住宅販売件数 (8月 535万件、予想 530万件)

10月21日
03:00 (米) メスター米クリーブランド連銀総裁講演
アジア太平洋経済協力会議APEC財務相会合(ベトナム、19日〜21日)
08:30 (米) イエレンFRB議長講演


(日) 衆議院議員総選挙投開票

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