<概況>
10月6日の米雇用統計発表から上昇して113.43円の高値を付けたが、その後に下落へ転じ、10日夜に112円割れ、さらに13日へ一段安して111.684円まで安値を切り下げていた。週明け16日も午後には111.65円まで安値を更新、深夜までは111.75円を挟んだ安値圏持合いに止まっていた。
21時半に発表された10月のNY連銀製造業景況指数が30.20となり、前月の24.4、やや悪化すると見込んでいた市場予想の20.40を大幅に上回ったためにドル高反応も多少見られたが、ドル円の上昇は限定的だった。
しかし、深夜以降は金融市場全般に流れがドル高となり、ドル円は112円台序盤まで反発した。米国株式市場が堅調でNYダウやSP500が史上最高値を更新、米連銀の次期議長をめぐってトランプ大統領がイエレン現議長と19日に面談すると報じられたこと、北朝鮮情勢をめぐって米朝対話の可能性が報じられる等、いくつかの要因がきっかけとなったようだが、10月6日から16日まで7営業日続いてきた流れに対する一服感で、それまで上昇していたものが下落、下落していたものが反発を見せたという印象だ。
【有事リスク】
北朝鮮情勢では、移動式ミサイル発射台が複数台移動を始めたと報じられている。11月5日からトランプ大統領がアジアを歴訪し、6日に日米首脳会談、7日には韓国で北朝鮮問題に関する演説、8日には訪中して習首席と会談する。
10月16日からは米韓海軍による共同演習も始まり、空母、原潜が参加している。
10月18日からは中国共産党大会が始まるが、これまでも中国主催の国際イベント等にあてつけるように北朝鮮による軍事挑発行為が繰り返されてきたこともある。
昨晩はロシア紙が「プーチン大統領が北朝鮮に対する国連安保理制裁決議を実行する大統領令に署名した」と報じた。この制裁は昨年10月の国連決議に対するものであり、9月の安保理制裁決議よりも以前のもので、署名は10月14日とされるが、これまで北朝鮮への制裁行動に対して否定的な対応に終始し、対話を呼びかけてきたロシアによる制裁発動として、北朝鮮側もさらに国際的な孤立感を高めることになると注目される。
イラクのクルド人自治区における独立運動とイラク政府による介入は、同地区のキルクーク油田利権問題もあるため、今後の有事リスク拡大要因となる可能性がある。
トランプ大統領は先週末に現行のイランの核合意に対する否定的な姿勢を強調した。週明けも同様の発言を繰り返しており、イラン側の反発も高まっている。オバマ政権までの対話的な外交姿勢は薄れ、米国第一主義による好戦的で挑発的な対応が徐々に拡大してきている。イランとの緊張が再燃する場合、イラクやシリア、アフガニスタン問題も抱えながら北朝鮮に対する軍事行動を選択してゆくのは米軍展開力としても無理が出てくるものと思われるが、市場心理としては朝鮮半島での軍事衝突リスクが高まるという危機感、リスク回避感を助長することになると思われる。
【26日移動平均をめぐる攻防】
10月13日夜の下落により、日足では26日移動平均をザラバ安値で若干割り込んだ。16日もさらに安値を切り下げたが、17日未明への反発により日足は陽線引けとなり、26日移動平均割れはひとまず回避している。
中勢の強気相場においては26日移動平均前後まで下げても切り返してくれば、それは調整安の範囲=押し目であり、9日移動平均(現在112.38円)超えからは上昇再開へ進みやすい。しかし26日移動平均割れから続落する場合は弱気転換として下落が長期化してゆくことが多い。7月11日高値からの下落時では7月18日に同線を割り込み、そのまま続落に入った。3月10日高値からの下落時でも3月15日に同線を割り込んでそのまま続落した。5月11日高値からの下落時では、5月17日の急落で同線を割り込んだ後数日を同線絡みで揉み合ったが、結局は6月14日まで一段安している。
これらの状況を踏まえれば、今回は10月16日安値111.65円を割り込まないうちは112.38円超えから上昇再開の可能性ありとするが、16日安値を割り込む一段安発生からは下落の長期化を警戒すべきということになろうか。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では16日深夜安値からの反発で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いている。このため、両スパン好転中は戻り高値を試しやすいとみる。112円割れからは先行スパンへ潜り込み始めるので弱気転換注意とし、111.75円割れからは両スパン悪化が鮮明となって来るので弱気転換とみる。
60分足の相対力指数は17日未明への上昇で60ポイントを超えてきたた。13日夜安値と16日安値との間では指数の強気逆行も見られた。50ポイント以上を維持するうちは上昇継続余地ありとし、50ポイント割れから続落し始める場合は弱気転換とみる。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、10日深夜安値から4日目となる16日夕安値と16日深夜安値を小ダブル底として強気サイクル入りしていると思われる。今回の高値形成期は11日昼高値と12日未明高値によるダブルトップが前回のサイクルトップとなっているので、12日未明高値を基準として17日午前から19日朝にかけての間と想定する。すでにサイクルトップを付けてもよい時間帯には入っているが、112円台を維持するうちは高値形成余地ありとし、112円割れを弱気転換注意、111.75円割れからは新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる19日の日中から23日への下落を想定する。
以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)112円台を維持するうちは上昇余地ありとし、112.50円から112.75円にかけてのゾーンを試すとみるが、112.50円台は11日と12日に抵抗となっているため、戻り売りにつかまりやすいとみる。
(2)112円割れを切り返せない場合は弱気転換注意とし、111.75円割れからは弱気サイクル入りとして111円試しへ向かうとみる。(了)<9:40執筆>
【当面の主な予定】
10月17日
17:00 (欧) コンスタンシオECB副総裁、講演
17:15 (英) カーニーBOE総裁、ラムスデンBOEE副総裁議会証言
18:00 (独) 10月ZEW景気期待指数 (9月 17、予想 20)
22:15 (米) 9月鉱工業生産 前月比 (8月 -0.9%、予想 +0.3%)
22:15 (米) 9月設備稼働率 (8月 76.1%、予想 76.1%)
23:00 (米) 10月NAHB住宅市場指数 (9月 64、予想 64)
10月18日
02:00 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁講演
シンガポール市場休場(ディーパバリ)
(中) 第19回中国共産党大会開幕
オーダー/ポジション状況
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