ドル円113円割れ ポジション調整に注意(10/4)

東京市場においては、日経平均が米国株高を好感して上昇し、2年振り高値圏に来ているが、その割にはドル円の円安が進まない。

ドル円113円割れ ポジション調整に注意(10/4)

<概況>

ドル円は9月27日夜高値で113.25円まで上昇したが、その後は113円台に乗せても維持できず、27日高値を超えられずにいる。29日安値112.21円、10月2日安値112.47円、3日安値112.62円と安値は切り上がってきたが、4日午前の反落では3日夜安値を割り込んでいる。この間の高値は3日の113.19円でも27日高値に届いておらず、チャートパターンは「抵抗線は高値更新無しのほぼフラット、下値支持線は切り上がる三角持合い」型であり、4日午前の下落でこれを下抜け始めている印象がある。
9月8日からユーロ安ドル高、21日のFOMCからドル全面高、英ポンドも下落基調に入り、ドル円も107円台の安値から上昇してきた。既に上昇も1か月近くになり、週末には米雇用統計も控えていることから、ユーロドルでは突っ込み警戒感、ドル円では高値警戒感も出やすく、週末へポジション調整的な動きに入りやすい状況にある。

【米雇用統計、選挙情勢、北朝鮮問題】

東京市場においては、日経平均が米国株高を好感して上昇し、2年振り高値圏に来ているが、その割にはドル円の円安が進まない。解散総選挙について、当初は安倍政権の奇襲策が成功して政権維持、アベノミクス継続による株高円安期待もあったのだが、希望の党登場と政策や党方針の紆余曲折、民進党崩壊、分裂と立憲民主党設立という騒動のなかで、果たして安倍政権勝利へと進めるのかどうかに不安も出ている状況のため、解散風による円安よりも、政局混乱リスクを意識した高値警戒感が先立つという印象もある。

週末には米労働省雇用統計がある。前哨戦のADP民間雇用報告は4日夜。9月の米ADP民間雇用者数に対する市場の事前予想は前月比13万5000人増であり、前月の23万7000人増からは減速するとみられている。6日夜の労働省雇用統計での非農業部門就業者数に対する事前予想は7.7万人から8.5万人増等、10万人を割り込む見込みであり、前月の15.6万人増から減速すると予想されている。これは巨大ハリケーンの一時的影響と考えられている。

ADP、労働省統計が予想を下回る場合、ハリケーンの影響も一時的なものとして無視できないと受け止めてドル安反応となる可能性がある。また予想よりかなり良い場合は12月利上げ確率がさらに上昇し、ドル全面高へ進む可能性がある。ただしその場合でも、既に9月8日から上昇が1か月となるので、急騰反応が一巡した後には材料消化で揺れ返しのドル安へと転換する可能性も考えておく必要がある。
雇用統計からドル安の場合及びいったん急騰した後に反落している場合、10月10日の北朝鮮労働党記念日を前後して何等かの北朝鮮側からの軍事的挑発エスカレートとなる事象発生が発生すればリスク回避の円高が加速する可能性も多少あると思う。また選挙情勢分析で混迷度合が深まるとそれらと合わせてリスク回避的な動きも出てくるかもしれない。
この様に、週末から3連休明けは波乱になる可能性もあるため、今晩のADP内容次第ではポジション調整的な円高へ向かう可能性も考えておく必要があるだろう。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、2日午後への上昇で先行スパンを上抜き、その後も先行スパンからの転落を回避していたが、4日午前の下落で先行スパンから転落し始めている。遅行スパンも悪化してきている。このため、三角持合い下放れから続落しやすい状況に入っている印象だ。強気回復は両スパンが揃って好転するところからとし、遅行スパン悪化中は安値試しへ向かいやすいとみる。

60分足の相対力指数は3日の上昇では2日の指数高値を超えたものの、その後の相場下落により50ポイントを割り込んでいる。弱気逆行等は見られていないが、70ポイント台まで上昇しきれずに50ポイント割れしているため、目先は安値を試しやすい状況とみる。強気回復には50ポイント超え、55ポイント超えへと進む必要があるので、50ポイント以下での推移中は下向きとみる。また、112.50円を割り込む場合には、指数が強気逆行型を見せない内は下落継続しやすいと注意する。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは、26日未明安値から4日弱となる29日夜安値で底をつけて上昇期に入っていたが、27日夜高値から4日目となる3日午後高値でサイクルトップをつけて下落期に入った印象だ。今回の安値形成期は29日夜安値を基準として4日夜から6日夜にかけての間と想定する。新たな強気サイクル入りには3日午後高値を上抜く必要があるので、高値更新できない内は一段安警戒とみる。

以上を含めて当面のポイントを示す。
(1)112.50円を上回る内は反騰余地ありとするが、112.50円割れからは弱気サイクル入りとして112.00円から111.80円台への下落を想定する。112円割れあればいったん戻しを入れるとみるが、112.50円以上を回復できない場合はさらに安値を試しやすいとみる。
(2)113円台回復の場合は3日午後高値試しとし、高値更新できない内はその後の113円割れからの反落警戒とする。
(3)3日午後高値超えの場合は高値更新による新たな強気サイクル入りの可能性を踏まえて27日夜高値試しとし、27日夜高値超えからは一段高へ入るために113.50円台への上昇を想定する。
※ ADPの発表内容次第では急落、急騰もありうるので臨機応変に対処する必要があるが、6日の米労働省雇用統計本番前なので、急騰急落反応、いずれも短期的なものになる可能性に注意する。(了)<9:38執筆>

【当面の主な予定】

10月4日
休場=中国(国慶節)、台湾、韓国(以上中秋節)
21:15 (米) 9月ADP全国雇用者数 (前月 +23.7万人、予想 +14.0万人)
23:00 (米) 9月ISM非製造業景況指数 (前月 55.3、予想 55.5)
04:15 (米) イエレンFRB議長講演

10月5日
休 場 (中) 国慶節
休 場 (香) 中秋節の翌日
20:30 (欧) 欧州中銀ECB理事会議事要旨公表(9月7日開催分)
21:30 (米) 8月貿易収支
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 27.2万件、予想 26.5万件)
22:10 (米) パウエルFRB理事講演
22:15 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演
23:00 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁講演
23:00 (米) 8月製造業受注指数 (前月 -3.3%、予想 +0.9%)

オーダー/ポジション状況

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