<概況>
9月21日未明の米連銀FOMCにおいて12月利上げの可能性がかなり高まったとしてドル円は112円台後半へ上昇したが、21日夜にトランプ大統領が北朝鮮への独自制裁を強化する大統領令に署名したこと等から北朝鮮情勢の緊張として26日の日中まではややジリ安の展開となっていた。
ユーロ安ドル高が進み、イエレン議長講演により12月の利上げ確率がさらに高まったとして27日夜には113.25円まで上昇し、9月8日以降の高値を更新した。いったん下げた後に28日にも113円台を付けたが、新たな高値更新には至らなかった。すでに上昇も丸3週となり、一段高期待を持ちつつも、一段高のためには新たな推進力が欲しいところであるが、大幅下落してきたユーロが28日からは下げ止まって反発していることで、ドル高にやや一服感が出始めていることも一因となっている。
既に上昇も3週を経過しているが、4月17日から5月11日への上昇は1か月弱、日足19本。6月14日から7月11日への上昇も1か月弱、日足20本であり、今回は日足16本を経過したとこにある。日足21本目となる10月6日には米雇用統計、3連休明けの10月10日には北朝鮮労働党記念日もある。そろそろ上昇1か月弱で重要イベントを控えた状況として、高値を更新してゆく場合でも今回の上昇のピークを付けやすい時間帯に入ってゆくことも念頭に入れておきたい。
日本の総選挙情勢が混迷していることも気になる点だ。勝てる時期に現政権有利として解散総選挙に打って出たわけだが、希望の党の誕生等、混迷、見通しの立たない状況に陥っているため、解散から現政権勝利からの株高というリスクオンシナリオも描きずらくなっている。
【10月序盤の注意ポイント】
(1) 注意すべきは5か月周期の変調である。
2016年6月24日、2016年11月9日、2017年4月17日と凡そ5か月周期で重要な安値をつけてきた。また高値も2016年7月21日、2016年12月15日、2017年5月11日と凡そ5か月周期でつけている。5月11日高値から5か月目が10月序盤となる。また、3月10日、5月11日、7月11日と10日前後にピークを付けていることもある。
このことから、まず、10月6日の米雇用統計が予想を下回るような悪化(ハリケーンの影響で市場予想は7万人増や8万人増となっている)の場合は流れが変わるポイントとなる可能性がある。
米雇用統計をドル高円安で通過した場合、10月10日の朝鮮労働党記念日等による有事リスク拡大の場合は3連休明けから基調転換となる可能性に注意する。
(2)上値目途は114円台だが、115円台もあり得ると注意する。
9月27日高値113.25円を超える場合、上値目途は5月高値、7月高値のある114円台前半、さらに3月10日高値115.50円試しまで切り上がる可能性を考えるが、114円台乗せからは高値警戒圏、いつ反落開始しても不思議ない所と注意する。
(3)弱気転換目安は111円割れ。
まず、現状で高値更新へ進めない場合、9月25日安値111.47円を割り込むところを弱気転換注意とする。9日移動平均や一目均衡表の9日転換線を支持線とし、上回るか、一時的に割り込んでも翌日に切り返すうちは上昇継続とし、割り込んでから続落するところからは弱気転換注意とする。
9月27日高値更新の場合は直前の高値から2円安となるところ、ないしは上昇してくる26日移動平均(現在110.57円から上昇中)を割り込むところからは下落期入りと考える。
【北朝鮮情勢】
北朝鮮情勢については一服感がある。8月29日の北朝鮮ミサイル3発発射、9月3日の北朝鮮水爆実験、9月11日の国連安保理制裁決議、9月15日の北朝鮮ミサイル一発発射、9月21日の米大統領令による独自制裁強化、中国の安保理制裁決議順守による北朝鮮企業等との銀行取引停止、北朝鮮外相による「宣戦布告と受け止める」発言、金委員長自身による米国批判声明、B1爆撃機の北朝鮮領空間近への飛行等、情勢は継続し、緊張感も低下はしていないが、市場の反応も限定的なものとなるケースが多い。
国連安保理制裁決議は中国の行動により実効性を伴っており、北朝鮮を追い込んでいる。トランプ政権による圧力強化は北朝鮮を屈服的に対話へ参加させようという姿勢であり、北朝鮮側もギリギリの反抗姿勢を示してゆかざるを得ない状況とすれば、今後もさらに緊張のピークへと事体が進んでいく可能性が懸念される。ただ、市場もややこの問題に対して食傷気味になっていることもまた確かだ。
10月10日に北朝鮮労働党記念日、10月18日の中国共産党大会がある。これまで8月25日の先軍節後のミサイル発射、9月9日の北朝鮮建国記念日前の9月3日に水爆実験と、記念日の前後になにがしかの軍事行動があった。また、中国の一帯一路国際会議等で中国のメンツをつぶすような行動も見られてきたので、10月前半は警戒期という印象がある。(了)<1日21:50執筆>
【当面の主な予定】
10月2日
休 場 (豪) レイバーデー
休 場 (中) 国慶節
休 場 (香) 国慶節
08:50 (日) 日銀短観大企業製造業業況判断DI (前回 17、予想 18)
08:50 (日) 日銀短観大企業設備投資 (前回 +8.0%、予想 +8.4%)
23:00 (米) 9月ISM製造業景況指数 (8月 58.8、予想 58.0)
23:00 (米) 8月建設支出 前月比 (7月 -0.6%、予想 +0.4%)
10月3日
休 場 (中) 国慶節
休 場 (独) ドイツ統一の日
03:00 (米) カプラン米ダラス連銀総裁講演
12:30 (豪) 豪準備銀行RBA政策金利発表 (現行 1.5%、予想 据え置き)
21:30 (米) パウエルFRB理事 規制改革イベント参加で発言
10月4日
休 場 (中) 国慶節
21:15 (米) 9月ADP全国雇用者数 (前月 +23.7万人、予想 +14.0万人)
23:00 (米) 9月ISM非製造業景況指数 (前月 55.3、予想 55.5)
04:15 (米) イエレンFRB議長講演
10月5日
休 場 (中) 国慶節
休 場 (香) 中秋節の翌日
20:30 (欧) 欧州中銀ECB理事会議事要旨公表(9月7日開催分)
21:30 (米) 8月貿易収支
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 27.2万件、予想 26.5万件)
22:10 (米) パウエルFRB理事講演
22:15 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演
23:00 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁講演
23:00 (米) 8月製造業受注指数 (前月 -3.3%、予想 +0.9%)
10月6日
05:30 (米) ジョージ米カンザスシティ連銀総裁講演
21:30 (米) 9月非農業部門雇用者数 (8月 +15.6万人、予想 +8.0万人)
21:30 (米) 9月失業率 (8月 4.4%、予想 4.4%)
21:30 (米) 9月平均時給前月比 (8月 +0.1%、予想 +0.2%)
22:15 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁講演
10月7日
01:15 (米) ダドリー米NY連銀総裁講演
01:45 (米) カプラン米ダラス連銀総裁講演
02:00 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁講演
04:00 (米) 8月消費者信用残高
オーダー/ポジション状況
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29日の東京市場は、ドル高・円安。それも3日連続の「寄り付き安・大引け高」で、本日もドルの強さを感じさせたまま大引けている。
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