ドル円日本列島超え弾道ミサイル発射で一段安(8/29)

北朝鮮は日本時間29日午前5時57分頃、平壌の順安付近から弾道ミサイルを発射した。ミサイルの飛行距離は約2700キロと推定され、最高高度約550キロに達したとみられる。

ドル円日本列島超え弾道ミサイル発射で一段安(8/29)

【北朝鮮が弾道ミサイル発射】

北朝鮮は日本時間29日午前5時57分頃、平壌の順安付近から弾道ミサイルを発射した。ミサイルの飛行距離は約2700キロと推定され、最高高度約550キロに達したとみられる。日本列島上空を通過し、北海道の襟裳岬東方約1180キロの太平洋上に落下した。
北朝鮮のミサイル発射では、1998年8月に長距離弾道ミサイル「テポドン1号」の2段目と弾頭部分が日本列島を通過して三陸沖に着弾した。2009年4月にはミサイルの2、3段目が東北地方上空を通り、太平洋に落下した。2012年12月と2016年2月に発射したものは沖縄県上空を通過した。

北朝鮮は7月4日と7月28日に大陸間弾道ミサイル「火星14」の発射実験をロフテッド軌道で行った。また8月26日には短距離弾道ミサイルとみられる飛翔体3発を発射したばかりだった。
8月8日夜にトランプ大統領が北朝鮮を激しく非難する発言をした後、北朝鮮は米領グアム島沖を狙って中距離弾道ミサイル「火星12」4発を撃ち込む計画を公表したが、15日には軍からの報告を受けた金正恩朝鮮労働党委員長が「米国の行動をもう少し見守る」と述べたと報道され、トランプ大統領が「良い判断をした」と述べて米朝間の緊張がやや緩和していた。

8月28日には韓国の報道機関が「北朝鮮が核実験の準備を完了した」と報道している。
米韓軍事演習は21日に始まり、31日まで継続する予定。

米朝間の有事リスク、緊張のエスカレートはまだ終焉していない印象だ。チキンレースが土壇場ぎりぎりまで継続、エスカレートする可能性がある。
米国は29日早朝のミサイル発射について米国に脅威を与えるものではないと冷静な反応を見せている。
日本ではJアラートが軌道し、緊急放送が放映され、JR等が一時運行をストップする等、混乱した。

【8月18日安値を割り込む】

現実問題として米朝間で軍事衝突へ進む確率は極めて低いとされるが、緊張エスカレーションは相場のテーマとなり、リスク回避による円の買い戻し、それを見越したクロス円の売りが活発化する可能性は、テーマが終焉しないと継続しやすい。
8月17日未明の米連銀FOMC議事録からのドル安円高で18日には108.60円の安値をつけた。その後は下げ渋りで1円前後の幅で騰落しつつ、25日夜には109.846円まで戻したが、25日夜のイエレン議長講演から反落、28日から29日未明までは109円割れを回避して下げ渋っていたが、ミサイル発射報道から一段安となり、108.33円まで急落した。その後も109円台を回復できずにいる。

今週末には米雇用統計の発表も控え、その前哨戦となる重要経済指標の発表も相次ぐ。前回の雇用統計が強かった時にはドル円も一時的に反騰しているので、今回も同様の反発を入れる可能性はあるが、29日早朝の列島越え弾道ミサイル発射事件により、雇用統計等を意識しつつも有事リスク回避的な市場心理での円高継続が懸念されると思われる。

日足では4月17日安値108.13円の後は2か月周期の騰落で7月11日高値まで戻し、そこから下落期に入った。4月17日、6月14日と2か月毎に安値をつけては戻したわけだが、今回は6月14日安値からすでに2か月半に入り、切り返せずに安値を更新しているため、これまでの様な循環的な戻りを期待するよりも、4月以降の往来相場からの転落が懸念される。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では25日夜高値からの反落で遅行スパンが悪化。28日午前の続落で先行スパンから転落した。28日の戻りは先行スパン下限で抑えられていたため一段安警戒だったが、29日早朝に一段安となっている。このため、遅行スパン好転まではさらに一段安へ進むリスクが残るとみる。遅行スパン好転の場合も先行スパンが大きな抵抗となってくるとみる。

60分足の14本相対力指数は29日早朝に30ポイントを一時割り込んだ。23日高値と25日高値の間で弱気逆行、25日も午前と夜で小逆行となっての急落だったが、指数自身の24日安値と26日、28日午前安値を結んだ支持線から転落しており、指数自身の三角持ち合い下放れという印象だ。このため、新たな強気逆行がみられるか、20ポイント台前半まで突っ込まない内は一段安警戒感が残るとみる。

概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、8月24日安値を前回の底として上昇していたが、25日夜高値でサイクルトップをつけて下落に入った。今回の安値形成期は29日午前から31日の日中にかけての間と想定される。早朝のショック安でつけた安値でボトムをつけた可能性もあるが、109円超えへ戻せない内は安値更新へ進む可能性が残る。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)109円を抵抗とし、109円台回復、維持へ進めない内は一段安警戒とみる。安値更新の場合、まず、4月17日安値108.13円試しとみるが、底割れの場合は8月16日から18日への下げ幅並としてN=107.48円、18日安値から25日高値への戻り幅の倍返しでV=107.38円等、107円台前半に下値計算値が集まってくるため、107円台前半試しを想定する。
(2)109円台回復、維持の場合はひとまず急落一服として戻りに入る可能性を考えるが、その場合は109.20円台から109.40円にかけては戻り売りの抵抗帯となってくるとみる。
※ ジャクソンホール会合からのドル安、それに米朝間有事リスクのエスカレートが加わった状況のため、この流れをひっくり返すにはかなり大きなドル高材料が必要になってくると思われる。(了)<9:30執筆>

【当面の主な予定】

8月21日から米韓軍事演習、31日まで

8月29日
22:00 (米) 6月S&P/ケースシラー住宅価格指数 前年比 (5月 +5.7%、予想 +5.6%)
23:00 (米) 8月消費者信頼感指数 (7月 121.1、予想 120.0)

8月30日
メイ英首相来日(8月30日-9月1日)
21:15 (米) 8月ADP全国雇用者数 (7月 +17.8万人、予想 +18.5万人)
21:30 (米) 4-6月期GDP・改定値 前期比年率 (速報値 +2.6%、予想 +2.7%)
21:30 (米) 4-6月期個人消費・改定値 前期比年率 (速報値 +2.8%)
21:30 (米) 4-6月期GDPデフレーター・改定値 前期比年率 ( 速報値 +1.0%、予想 +1.0%) 
21:30 (米) 4-6月期コアPCEデフレーター・改定値 (+0.9%)
22:15 (米) パウエルFRB理事講演

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