<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、1週間を通しておおむね揉み合い。実際、形成レンジは108.64-109.85円とわずか1.2円ほどに留まっており、明確な方向性はうかがえなかった。
109.25-30円レベルで寄り付いたのち、週の初めはドルの下値を試す展開。108.64円まで値を下げ、前週記録した直近のドル安値108.61円に面合わせするも更新できず。その後は、方向性の乏しいまま、109円台を中心とした一進一退に。北朝鮮を中心とした地政学リスクへの根強い警戒感のほか、折をみて週末「ジャクソンホール講演」におけるイエレンFRB議長発言への過大の期待も話題となったが、結局は不発に終わった格好だ。イエレン発言も無難なものに留まると、週末のNYは109.30-35円と週初の寄り付きに近い水準で推移し、越週している。
なお、動きの鈍いドル/円とは対照的に、ユーロ絡みの通貨ペアは大変動。とくにユーロ/ドルは週末に1.1941ドルまで値を上げ、2日に記録したユーロの年初来高値を更新する局面も観測されていた。
一方、週間を通した主な材料は、大きく2つ。ひとつは「北朝鮮に関する要因」で、前週末に北朝鮮が「米韓軍事演習は、火に油を注ぐ行為」などと指摘するなか、週初21日から米韓合同軍事演習が開始されたことが、警戒感を醸し週初のドル安・円高要因となっていた。しかし、北朝鮮は威嚇こそするものの、具体的な行動はなし。よって、のちに聯合ニュースが「韓国政府、北朝鮮の挑発自制を評価」と報じたほか、トランプ米大統領など米国の要人からも同様の論調が聞かれたことで、アジアの地政学リスクについてはやや後退した結果に。
もうひとつの材料は、やはり継続案件である「トランプ米大統領による政権運営への不安感」。こちらについては、トランプ大統領から「壁建設資金めぐり政府閉鎖も辞さない構え」との発言が聞かれ、ドルの戻り歩調に水を差す局面も見られている。また、週末には「トランプ大統領の側近である、ゴルカ副補佐官が辞任した」と報じられており、火種は当面収まりそうにない。
<< 今週の見通し >>
108.60-109.80円といった1.2円ほどのレンジ相場が6営業日を数えている。先週末に実施されたジャクソンホールの講演、イエレンFRB議長の発言で「レンジ抜けも!」と期待されたが、まさかの金融政策への言及なしで、参加者の多くは肩透かしを食った格好だ。結果、形成レンジも抜け切れず、記録が1日延びたことになる。
改めて指摘するまでもなく、方向性を喪失しているものの、マーケットを取り巻く環境は円高方向にバイアスか。前述した先週のマーケットの2大材料のうち、後者もさることながら前者については週末26日早朝に「北朝鮮が3発のミサイルを発射」したことが確認されており、圧力を掛けつつも対話を目指していた米国としてはメンツが潰されたと言えるかもしれない。今後の対応如何では、米朝間の緊張が再び高まる恐れもありそうだ。また、アジア以外の地域のテロ懸念も高まっており、一例を挙げると、一部英紙が「過激派組織ISがローマ法王にテロ予告」と報じるなど、キナ臭い動きの広がりが金融市場に与える影響も気掛かりだろう。
テクニカルに見た場合、先で記した6営業日続けている108.60-109.80円の1.2円レンジをどちらに放れるのか、まずはその方向性を注視したい。
以前レポートした今年の相場パターン「奇数月にドルは高値を付け、偶数月に安値をつける」−−がいまだ続いているとすれば、週初はともかく、そのあと週末にかけては名実とも9月入りすることで、ドルが買い進まれても不思議はないかもしれない。その場合、最近のレンジ上限ならびに110円を突破し、移動平均の52週線が位置する110円半ばを目指す展開が予想されている。
一方、材料的には、「北朝鮮を中心とした地政学リスク」と「米政権運営不安」の2つが引き続きポイントとなるだろう。ちなみに、前者については話を一歩進め、米政府機関の閉鎖観測なども取り沙汰始めている。9月5日の米議会再開をにらみ、米財政問題にスポットがあたることもありそうだ。
また、それ以外では、週末の8月の雇用統計を中心に重要な米指標発表が相次ぐため、それらは当然要注意。
そんな今週のドル/円予想レンジは、108.10-110.40円。ドル高・円安については、直近のドル高値109.85円が最初の抵抗で、抜けると110円あるいは移動平均の52週線が位置する110円半ばなどを目指す。
対するドル安・円高方向は、直近安値を含め何度かトライするも下げ止まっている108.60-70円の攻防を注視。割り込むようだと、4月に記録した今年のドル最安値108.13円が名実とも視界内に捉えられそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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