ドル安基調続くか米朝間の動きに注意(8月第二週)

先週のドル/円相場は、ドル安・円高。それも大雑把に言えば「週初高・週末安」の展開で、週末のNY時間には一時108.71円まで値を下げ、

ドル安基調続くか米朝間の動きに注意(8月第二週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドル安・円高。それも大雑把に言えば「週初高・週末安」の展開で、週末のNY時間には一時108.71円まで値を下げ、6月安値をわずかに割り込む局面も観測されていた。

110.70円レベルで寄り付いたのち、しばらくは50ポイント程度のレンジ取引で方向性も乏しい。しかし、一旦そのボックス圏を放れると、蓄積されていたエネルギーが解放されたこともあるのか、かなりアクティブな変動をたどっている。110.92円を週間高値に109円半ばまで下落、そこから一時持ち直し110円台を回復するも続かず再び軟化。今度は6月安値(108.75円)を更新する108.71円まで値を下げ、やや戻した109.15-20円で週末NYをクローズし、越週している。
なお、ドル/円は週間を通してなかなかの変動をたどったが、先週はクロス円の動きも総じて活発。しかも、全般的に円買いが目立いており、さながら「円全面高」とも言える1週間だった。

一方、週間を通した主な材料は、ともかく「北朝鮮関連ファクター」。わずかにダドリーNY連銀総裁による発言や、週末のNY時間に発表された米経済指標(消費者物価)が材料視された局面もあったが、総じていえば北朝鮮を中心とした地政学リスクに対するマーケットの警戒感が強く、それがリスク回避の円買い要因となっていた感を否めない。

週初から、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の一連の外相会議において、外相らが挑発行為を繰り返す北朝鮮に対して「重大な懸念」を示す共同声明に合意したとされ、それについて朝鮮中央通信は「北朝鮮が国連の制裁を非難した」と報じられていたが、以降も繰り返し北朝鮮情勢が相場の波乱要因に。なかでも、週末にかけて朝鮮中央通信が「北朝鮮、グアム沖にミサイル4発の発射を検討」と報じ、それに呼応する格好で、トランプ米大統領が「グアムに何かすれば、北朝鮮で見たこともないようなことが起きる」と強硬姿勢を一層高めるようなコメントを発したことが、警戒感をさらに高めていたことは間違いない。

<< 今週の見通し >>

リスクという意味では、引き続きドル安・円高方向にバイアスがかかりそう。
しかし、先週末に6月安値を更新し「トリプルボトム」をつけたあとのドル反発をみると、ドル安リスクも以前ほど強くはないように気もしないではない。そもそも論とすれば、先月11日に目先高値114.49円を記録してから、ドル安の流れは1ヵ月が経過しているうえ、そのあいだの下げ幅の5.5円を超える。短期的にはドルロングから、逆にドルショートへと転じているとみられることも、さらなるドル安の進行を阻止する一因となりそうだ。
もっとも、米朝間で実際の軍事行動が起こった場合などは、その限りではなく予断を許さない。北朝鮮の弾道ミサイルが発射された場合、日本の中国・四国地方上空を通過するとの指摘もあり、金融相場云々ではない、「日本列島に災難が降りかかるかもしれない」という観点からも注意すべき1週間とりそうだ。

テクニカルに見た場合、週足の観点で2つのポイントがあった。すなわち、ひとつは「一目均衡表の観点」で、もうひとつは「移動平均の観点」になる。
前者については、先週時点で「108.65-112.20円」となかなか幅広く分布していた先行帯の雲の下限を割り込めるかが注視されていたものの、こちらはなんとか維持した格好だ。ちなみに、そんな週足の雲の下限は今後しばらく横ばい推移することが予想されるだけに、今週以降も攻防に注意を払いたい。
対する後者は、昨年11月13日週に上回って以来、キチンと下回ったことのなかった先週110.20-25円に位置した52週線の攻防だが、こちらは週末クローズ時点で下回ってきた。ドルの強気派にとってはイヤな展開と言えそうだ。

一方、材料的には、15日に発表される7月の小売売上高を中心とした米経済指標やFOMC議事録要旨公開などにまずは要注意。
また、それ以外では15日にかけて四半期定例となる米国債の満期償還とクーポン利払いが予定されており、それを含めた需給要因も波乱要因として警戒されている。日本の終戦記念日、お盆の時期にあたり、参加者が乏しい状況が続くと予想されるなかだけに、思わぬ価格変動への備えだけは十分にしておきたい。さらには、前述したような「米朝間をめぐる動き」も当然注意する必要があるだろう。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.00-110.50円。ドル高・円安については、109円半ばに弱い抵抗が位置しており、まずはその攻防に注目。ただ、上抜けても110円前後には7月高値114.49円を起点とした直近下げ幅の23.6%戻し、その少し上のレベルにあたる110.35-40円レベルには移動平均52週線が今週鎮座している。ドルの上値は重そうだ。
対するドル安・円高方向は、先週結局割り込めなかった108.65円レベルに位置する週足・一目均衡表の先行帯の雲の下限が最初のサポートに。割り込むようだと、4月に記録した今年のドル最安値108.13円が名実とも視界内に入ってくるだろう。(了)

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