ドルの下値リスク再燃、米株の動き要注意

9日の東京市場は、ドル安・円高。一時109.75円レベルまで値を下げ、直近安値を更新する局面も観測されていた。

ドルの下値リスク再燃、米株の動き要注意

<< 東京市場の動き >>

9日の東京市場は、ドル安・円高。一時109.75円レベルまで値を下げ、直近安値を更新する局面も観測されていた。

110.30-35円レベルで寄り付いたのち、ドル安・円高が進行。円は対ドルで買い進まれただけに留まらず、ユーロ/円や豪ドル/円などクロスを含めて円全面高の展開となった。前日比67円安で寄り付いた日経平均株価が300円を超す下げ幅をたどったことなどが材料視されていたという。
スパイラル的な円買いを受け、昼前には109.75円レベルの日中ドル最安値を付けると、さすがに円全面高の動きも一服。前述したユーロ/円などのクロスが反発したこともあり、ドル/円も反転すると110円台を回復、16時時点では110.00-05円で推移し、欧米時間を迎えている。

一方、材料面としては、朝鮮中央通信が「北朝鮮、グアムへのミサイル攻撃を慎重に検討」、聯合ニュースは「米戦略爆撃機B1B、再び朝鮮半島へ飛来」と報じるなど、引き続き北朝鮮絡みの思惑が聞かれると、リスク回避の円買いに繋がっていた面も否めない。
なお、発表された7月の中国消費者物価などは予想を下回る内容で豪ドル相場の波乱要因に。

<< 欧米市場の見通し >>

先週末に発表された良好な米雇用統計を受けて進行したドル高・円安の流れは雲散霧消した格好だ。その際の上げ幅をすべて吐き出しただけでなく、足もとになり反動を付ける格好でドルに深押しが入っている。ドルの続落リスクが高いと言わざるを得ず、多少の時間を要しつつも、4月や6月安値が位置する108円台を目指した展開も否定出来ないだろう。そうしたなか、まずは、まだ「しっかり割り込んだ」とは言いがたい、今月以降のレンジ下限である「109.80円」レベルをめぐる攻防が注視されている。

テクニカルに見た場合、110円を割り込み、直近安値を一時更新するもドルの下値は109.75円レベルまで。ドルの下値リスクを感じるものの、予想以上のドルの底堅さもうかがえる内容だ。時間足など短期的には、本日を含めて少なくとも3度トライしてしっかりと割り込めない109円後半から110円レベルで仮に下げ渋るようだと、流れが再びドル高へと傾く懸念もないではない。
ただ、キチンと下回ってくるようだと6月安値の108.75円、4月安値の108.13円などがターゲットとなる。

一方、材料的に見た場合は、4-6月期の単位労働コストなど幾つか米経済指標が発表されるものの、正直あまり注視されているものではない。事前予想との乖離がかなり大きくならない限り、影響は限定的か。
それよりむしろ、株価を中心とした他金融市場の動きに要注意。昨日は米株が久しぶりのマイナス圏で大引けているが、そうした調整の動きが続くかどうかを注視している向きは少なくないようだ。また、安全逃避の米国債シフトと米債金利の急低下が見られるなか、9-10日に実施される米国債の四半期定例・大型入札にも要注意。

以上を踏まえた本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.50-110.50円。ドル高・円安方向は、昨日割り込んできた短期のサポートだった110.20円レベルが最初のメドで、抜ければ昨日NY高値の110.80-85円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日の東京安値を含む109.70-00円の攻防にまずは注目。前述したように、少なく見積もっても、3度以上トライしてしっかりと割り込めないだけに、かなり強いサポートであるのかも知れない。ただ割り込むと、6月安値などがターゲットで109円割れに現実味も。(了)

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