ドル底入れか否か、見極め正念場
先週のドル/円相場は、一時ドル安が進行するも、終わってみれば「行って来い」。週の半ばである2日のNY時間や4日の東京時間などに110円を割り込む局面も観測されたものの、週末発表された米雇用統計を受けてドルは急反発に転じている。
週明けの7月31日は110.60-65円で寄り付いたが、新規材料も乏しく、明確な方向性はうかがえず。その後も、110円台を中心とした1円程度のレンジ取引が週間を通して続くなど、しばらくのあいだトレンドレス。
そうしたなか、週末4日に109.84円の週間最安値を記録し、ややドルの下値気運が高まった感も見られたものの、そのあと発表された7月の米雇用統計が好数字だったこともあり、ドルは急反発。いわゆる「行って来い」で、ドル/円は110円前後から111円レベルへと、一気に1円近くも値を上げている。ただ、その後は若干値を崩すと、結局週のオープンレベルに近い110.65-70円で越週となった。
一方、1週間を通した主な材料としては、先の雇用統計など米経済指標を除くと、大きく3つ。ひとつは、「日本の政局」で、3日に内閣改造が実施され、正式発表前から関連する思惑などのほか発言や世論調査の結果などが市場の関心を集めていた。
ふたつめは、「米国の政局」で「スカラムッチ米広報部長が就任からわずか10日間で解任されたことが明らかになる」など、誕生以降5ヵ月が過ぎようというのに、いまだゴタゴタが続くトランプ政権への信頼感の欠如が根本的なドル安要因となっていた感も否めない。最後3つめの要因は、「北朝鮮情勢」ならびに、それをもとにした「米中あるいは米露の対立」になる。ちなみに、2日にはNBCニュースが、米共和党の重鎮のグラム上院議員による「北朝鮮が挑発を続ければ軍事オプションは避けられない」との発言を報じ、一部で物議を醸していたという。
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先週記録した2度の110円割れを経て、ようやくドルの下値リスクが軽減した感もある。
一方で、経験則から見た場合、「8月は円高有利」や今年の相場パターンとして「奇数月にドルは高値をつけ、偶数月に安値を記録する」とされることは気掛かり。しかし、うち後者に関してはもっとも底入れが早かった今年2月で「7日」、遅ければ同4月の「17日」が底入れ日となっており、そろそろイケイケドンドンでドルの下値を積極的に売っていくことにもリスクがありそうだ。ドル底入れか否か、しっかりと動静を見極めたい。
なお、材料的には幾つか注目要因があるなか、先週末4日からトランプ米大統領が17日間の夏休み入りしており、減税など経済対策に関しての進展は見込みにくいイメージだ。それがマーケットにどう判断されるのかも注視されている。
テクニカルに見た場合、108.65-112.20円となかなかの厚さを示す週足・一目均衡表の先行帯の雲に週足はとり込まれた格好で、明確な方向性は乏しい。引き続き、週のザラ場ベースはもちろんのこと、週末のNYクローズで前述した週足・一目の雲をめぐる攻防に要注目。
また、それとともには昨年11月13日週に週足が上抜いて以降、まともに下回ったことが一度もない移動平均の52週線は先週110.05-10円に位置し、それが今週は110.25円レベルへとレベルを切り上げる。こちらについても、維持できるか否かを注視している向きは少なくないようだ。
一方、材料的には、発表される米経済指標や米地区連銀総裁による講演などがまずは注目されよう。後者に関しては、先週末に発表された7月の雇用統計が好数字だったこともあり、「今後の利上げスケジュールやペース」について強気のコメントが出やすい、との指摘も聞かれていた。仮に、その通りだとすればドルの下支え要因となる可能性もある。
それ以外では、7-8日に予定されているOPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟国の専門家会合や、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)と絡めて実施される日米韓の外相会談など、各国政治情勢にも注意を払いたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.80-111.80円。ドル高・円安については、先週のドル高値である111円レベルの攻防にまずは注目。ただ、抜けても111円台には週足・移動平均や同・一目均衡表で見たテクニカルポイントが集中しており上値は重そう。112円台乗せは容易でないのかも知れない。
対するドル安・円高方向は、移動平均の52週線(110.25円レベル)、あるいは先週安値の110円レベルなどがサポートか。割り込むようだと、4月や6月安値が位置する108円台が再び視界内に捉えられそうだが、その可能性は低そうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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