ドル円下落、指標不冴えと大陪審設置で
英金利先高観の後退と債券相場の上昇が米欧に波及
昨晩の海外市場でドルは対円、ユーロで下落。
英国中銀は昨晩金融政策の据え置きを発表、前回6月では3人が利上げを主張していたのに対し今回は2人の反対に減少しており、カーニー総裁はEU離脱にともなう不透明感から、賃金抑制とポンドの下落による物価の上昇が経済成長に影響を及ぼし始めているとして、景気減速への警戒感を示しました。これは物価上昇に対し、早期利上げも想定した市場にとってはやや意外感のある結果と受け止められ、英長期金利が急落、債券の上昇は欧米各国にも波及し、米国債10年物利回りも一時2.21%と一カ月ぶりの安値をつけました。
ISM非製造業指数悪化、ロシアゲート捜査に進展か?
また、昨晩発表された米指標の中で最も注目されてたISM非製造業景況指数が市場予想57.0を大きく下回る53.9となったこともあり、ドルは頭の重い展開となりました。
加えて終盤にはトランプ政権のロシア疑惑を調査しているモラー特別検察官が起訴の可否を検討する大陪審を選出したと報道され、捜査が進展し新たな段階に入ったとの見方がドルの下落に拍車をかけました。
昨日東京時間110円台後半で取引されていたドル円は、上記の3つの要因で段階的に下げ、本日早朝には110円を再び割り込み、東京時間6時半現在は109.97近辺での取引です。
雇用統計待ち、賃金の上昇率にも注目
ドルにとっての悪材料が続いています。特に経済指標に関しては最近景気の減速を示す内容のものが目立っており米金利の先高観が後退、年内再利上げの確率の市場予想は42%台に低下しています。加えてトランプ政権の政権運営の迷走がドルの上昇の妨げとなっています。
一方で企業業績は好調で、株価は堅調に推移しているなど必ずしも経済全般が低迷している印象でもありません。
今晩は米雇用統計の発表があり、市場は非農業部門雇用者数の18万人の増加を予想平均賃金の前年比2.4%の伸びと失業率の4.3%への低下を予想しています。
今年前半好調とされた米経済の中でも「完全雇用に近い」水準を維持している労働需給の変化の有無と、とりわけ賃金の動向に注目が集まっています。
雇用の堅調さは米経済の好調を裏付けてきた最大の根拠の一つでもあり、予想を大きく下回らない限りはドルは落ち着きを取り戻すものと思われますが、ここまで想定以上にドルの地合いは悪化しており、インフレの低迷を増長する賃金の上昇の鈍化等が明らかになった場合には一段のドル売りと110円割れの定着も考えうる状況です。
オーダー/ポジション状況
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