ドル円見通 米雇用統計如何では円高長引くか(8/4)

8月3日夜、英中銀は政策金利を過去最低の0.25%、量的金融緩和の国債買い取り枠を4350億ポンドに据え置いた。

ドル円見通 米雇用統計如何では円高長引くか(8/4)

<概況・ポイント>

8月1日深夜安値109.92円から8月2日夜には110.98円まで凡そ1円を戻したが、その後は反落、8月3日夜の英中銀金融政策発表、米経済指標への反応、ロシアゲート問題等を背景に下落、4日未明には1日深夜安値を割り込んで一段安となっている。

7月11日深夜高値114.49円から今回の下落=円高が継続している。最初のきっかけは7月12日のイエレン議長議会証言における利上げを急がないハト派的な内容によるドル安。7月14日の米小売屋消費者物価統計が悪かったことでのドル売りであった。27日未明のFOMCを控えて24日からいったん戻したが、FOMC声明をハト派姿勢の維持と受け止めて反落開始、先週末には24日安値を割り込んで下落は二段目に入った。27日未明のFOMC声明発表直前高値からの下落は、27日昼までを一段目、27日深夜から8月1日深夜までを二段目とし、2日夜高値から現在までが三段目という構成になっている。つまり、7月11日高値からの下落における第二段階が、さらに三段下げ型で展開しているという状況にある。
8月4日夜の米雇用統計から反騰なら、ひとまずこれらの下げ波動一服としてリバウンド入りの可能性が考えられ、例えば7月24日から27日未明まで1.56円幅上昇した時並の戻りも考えられる。しかし雇用統計から一段安なら、下落=円高がさらに長期化、拡大してゆく可能性が高まると思われるので、いつにも増して重要な分岐点になりそうだ。

【英中銀、雇用統計、ロシアゲート】

8月3日夜、英中銀は政策金利を過去最低の0.25%、量的金融緩和の国債買い取り枠を4350億ポンドに据え置いた。市場予想通りであったが、金利据え置きについては賛成6、反対(利上げ主張)2となり、前回6月会合の賛成5反対3からは利上げ姿勢が後退した。このため英ポンドが急落、ポンド安円高からドル円でも円高圧力がかかった。

米労働省が発表した週間失業保険申請件数は前週比5000件減の24万件となり、市場予想の24万3000件をやや下回ったが市場の反応は限定的だった。
7月の米ISMサービス業景況指数は53.9となり前月の57.4から低下し、市場予想の56.9を下回った。最近の米経済指標の鈍化を示すものとしてドル売り要因とされ、ドル円も110円割れへと下落した。

8月4日夜の米雇用統計では失業率が前月の4.4%から4.3%へ改善すると予想されている。非農業部門就業者数は18万人増の見込みで、前月の22万2000人増からはやや鈍化するが良好な水準を維持するとみられている。2日夜に先行して発表されたADP民間雇用では雇用者数が17万8000人増だったため、今晩の労働省統計も予想に近い数字になりやすいかもしれない。
ただし、雇用統計にはサプライズも付き物である。雇用統計が予想に近いか、やや良い場合、いったんドル高反応となる可能性があるが、短時間でドル買いが一巡し、発表前水準を割り込む場合はドル安円高の再開となりやすい。予想より悪ければドル安円高が加速すると思われる。サプライズ的に良い場合、ややハト派姿勢のFOMCがタカ派的に変わる可能性が警戒されてドル全面高へ進む可能性がある。

発表次第だが、初期的な反応では混乱するケースもあるので、確り流れを見定める必要がある。発表前水準を上回る状況が続いて明朝へ進む場合は週明けもドル高継続の可能性を優先し、発表前水準を下回る状況が続く場合は週明けもドル安円高が進み、特に月曜夜にもう一段安するケースを想定しておく必要があると思う。

ロシアゲート問題に関し、モラー米特別検察官が大陪審を設置したと米紙ウォールストリート・ジャーナルが報道した。トランプ政権による政策は遅々として進んでいないが、株式市場は楽観的バブル的に連日上昇し、史上最高値更新が続いてきたが、この報道からは反落している。連騰による高値警戒感もかなりある状況のなかで株が崩れる場合、リスク回避的な円高が発生する可能性もある点に注意したい。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、8月2日昼への上昇で先行スパンから上抜けていたが、3日夜の下落で再び先行スパンから転落した。遅行スパンも悪化している。このため、強気転換するには両スパンの好転が必要であり、両スパン悪化中は先行スパン下限を戻り抵抗とした下落の継続となりやすい状況にある。雇用統計で一時的な反発がある場合は先行スパンが抵抗となり、その後の安値更新から一段安へと進む可能性がある。先行スパン突破となる反騰ならリバウンドも力強く継続する可能性があると考える。

60分足の14本相対力指数は8月2日の昼高値から夜高値への上昇に対して弱気逆行を見せていたが、深夜の下落で30ポイント台まで下降した。7月27日の下落時も、直前の70ポイント台からの下落で30ポイント割れしたところでいったん下げ止まったが、その後指数は30ポイント割れでしっかりしても相場自身は下げるという展開が続いた。強気転換には50ポイントを超え、維持する反騰が必要で、雇用統計次第では7月14日のように20ポイント割れまで突っ込む可能性にも注意する。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月1日深夜安値を底として戻したが、2日夜高値で戻り一巡、4日の底割れにより新たな下落期に入っていると思われる。今回の安値形成期は4日夜から8日にかけての間と想定されるので、雇用統計から反騰継続となる場合はサイクルの底をつけての上昇期入りとして、次の高値形成期となる7日夜から9日への上昇が想定される。雇用統計から下落継続なら4日深夜、さらに7日から8日夜にかけてまでは続落する可能性が継続すると思われる。

以上を踏まえて、4日午後から7日朝にかけてのポイントを示す。
(1)110円以下での推移中は一段安警戒とし、110円超え、維持の場合は110.20円から110.40円前後への戻り余地ありとみるが、その後の反落警戒とする。
(2)安値更新が続く場合は109.50円から109.30円台への下落を想定するが、雇用統計前はいったん買い戻しも入りやすいとみる。
(3)雇用統計から一段安開始の場合は109円から108.50円にかけての下落を想定する。また5日未明へ続落なら週明けの一段安を想定する。
(4)雇用時計から反騰し、110.50円超えから続伸なら111.00円前後試しへの上昇を想定する。また5日未明へ上昇基調維持なら週明けも高いとみる。(了)<9:55執筆>

【当面の主な予定】

8月4日
21:30 (米) 米7月非農業部門雇用者数 (6月 +22.2万人、予想 +18.3万人)
21:30 (米) 米7月失業率 (6月 4.4%、予想 4.3%)
21:30 (米) 米7月平均時給 前月比 (6月 +0.2%、予想 +0.3%)
21:30 (米) 米6月貿易収支 (5月 -465億ドル、予想 -455億ドル)

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