ドル円見通し 安値更新、110円割れを試すか(8/1)

8月1日午後には豪中銀、3日には英中銀の金融政策発表がある。また週末の米雇用統計へ向けて前哨戦的な重要指標の発表も相次ぐため、

ドル円見通し 安値更新、110円割れを試すか(8/1)

【概況・ポイント】

7月11日高値114.49円からの下落トレンドは、7月27日未明の米FOMC前に調整高を入れたが、FOMCから下落を再開、さらに28日の米GDP統計が弱かったことで24日安値を割り込んで一段安した。週明けも基調は変わらず、午前に110.31円まで安値を更新、いったん110.77円まで戻したが深夜の下落で1日未明には110.21円まで安値を切り下げている。
7月11日高値からの下落は7月24日までを一段目とし、24日安値と27日安値でダブル底を形成しかけたものの底割れとなり、27日未明高値から二段目の下落に入っているという印象だ。

8月1日午後には豪中銀、3日には英中銀の金融政策発表がある。また週末の米雇用統計へ向けて前哨戦的な重要指標の発表も相次ぐため、日々の展開にとっては波乱要因が多いが、現状は27日未明からの下落基調、一段安基調の継続で雇用統計前へ進んでいる。市場心理としては雇用統計がさほど強くなければドル安基調の継続となりやすいと踏んでいるため、やや先行してドル安円高を試している状況と思われる。重要指標、イベント反応で戻しても、7月24日から27日未明にかけて1.57円幅の戻りを入れたような反騰はあり得るが、27日未明高値を上抜く反騰へ進めない内は一段安リスクが優勢と思われる。また27日未明へのやや大き目な反騰以外では、戻りも1円に満たないケースが多いため、当面、111円台回復、維持へと進めない内は一段安警戒が優先されると思われる。

【ユーロ一段高、ドル指数は5か月連続安】

ECBの金融緩和終了へ向けた動きを先取りしてユーロが上昇基調を継続しているが、8月1日未明には1.1845ドルの高値をつけ、2015年1月14日以来の高値水準となった。2015年3月以降、1.10ドルを中心とした往来相場型の持合いだったが、その間の高値である2015年8月高値を超えて持ち合い上放れとなっている。概ね4年周期、8年周期、16年周期での上昇期に入っている印象もあるが、今年1月からの上昇規模は既に2012年7月から2014年5月への上昇期、2010年6月から2011年5月へ反騰した時等の勢いに近い印象だ。また2年間の持合いから上放れして上昇し始めている姿は2002年1月から大きく上昇した時の序盤にも近い。

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は1月3日高値から下落基調が継続しており、既に昨年5月底値に迫っている。月足では3月から5か月連続の陰線であり、徐々に落下速度が増している印象もある。

米連銀は7月12日のイエレン議長議会証言、7月27日未明のFOMC声明において、インフレへの不満足感を示しており、年内あと1回の利上げについても慎重な姿勢=ハト派的なスタンスを示している。このため米長期金利は低下傾向にある。

カナダの利上げ、ECBの緩和終了接近姿勢、英中銀の利上げ時期模索等がそれぞれの通貨高を招いており、相対的にドルを下落させている。
トランプ政権では相次いで閣僚ポストが更迭されており、政権の脆弱化が懸念されている。ロシアゲート問題も引きずっている。オバマケア改廃法案審議も上手く行っておらず、政権不安が米長期金利の低下、ドル安要因と化している。
北朝鮮がICBM試射を繰り返し、米国本土を射程に入れ始めたことに対してトランプ政権の苛立ちが高まっており、名指しの中国批判、ロシアへの経済制裁拡大等が国際情勢的な緊張感を生んでいるが、これは円高要因となり、ドルにとってはマイナス要因と思われる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、27日未明のFOMCからの急落で先行スパンから転落し、その後は上抜き返せない状況が続いている。先行スパンは現在110円台後半から111.00円にかけて抵抗帯を形成している。1日夜間にかけては110.70円前後が下限となっている。先行スパンを上抜き返せない内は下落基調の継続とし、戻す場合もその下限が抵抗となってくると思われる。

60分足の14本相対力指数は27日安値以降、30ポイント割れを切り返しつつ横ばいとなり、相場が安値を更新しているのに対しては強気逆行姿勢を見せているのだが、31日の反発では50ポイントまで戻せずにいるため、強気逆行型というよりも、指数自身の三角持合いとし、安値ラインを割り込んで逆行破れとなる可能性が警戒される。強気転換は50ポイント超えからとし、そこまで戻せない内は一段安警戒とみる。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月24日安値と27日安値をダブル底とし、また27日未明高値から三角持合いとし、ダブル底破れ、三角持合い下放れとなっていることと、24日安値から6日目に入ることを踏まえ、ダブル底の27日安値を直近のサイクルボトムとし、底割れによる新たな下落期入りとして次の底形成期となる8月1日の日中から3日への下落が想定される。雇用統計前にはポジション調整的な戻りも入りやすいのでサイクルボトムをつけて戻しを入れる可能性があるが、1日夜、2日にかけてはまだ一段安しやすい時間帯と思われる。

以上を踏まえて、20日午後から21日朝にかけてのポイントを示す。
(1)110.70円前後を抵抗とし、110.70円以下での推移中は一段安警戒とみる。110.70円超えの場合は111.00円前後試しとその後の反落警戒とみる。
(2)安値更新の場合は7月24日から27日未明へ戻り幅の倍返しでV=109.06円前後試しへ向かう可能性を踏まえ、1日夜にかけては109.50円前後を目指す可能性を考える。また110.50円以下で明朝を迎える場合は2日の日中も安値更新へ進みやすいとみる。(了)<9:55執筆>

【当面の主な予定】

8月1日
13:30 (豪) 豪中銀政策金利発表 (予想 1.5%に据え置き)
18:00 (欧) ユーロ圏4-6月期GDP・速報値 前期比 (前期 +0.6%、予想 +0.6%)
18:00 (欧) ユーロ圏4-6月期GDP・速報値 前年比 (前期 +1.9%、予想 +2.1%)
21:30 (米) 米6月個人所得 (5月 +0.4%、予想 +0.4%)
21:30 (米) 米6月個人消費 (5月 +0.1%、予想 +0.1%)
21:30 (米) 米6月コアPCEデフレーター 前年比 (5月 +1.4%、予想 +1.4%)
23:00 (米) 米7月ISM製造業景況指数 (6月 57.8、予想 56.2)

8月2日
21:15 (米) 米7月ADP全国雇用者数 (6月 +15.8万人、予想 +19.5万人)

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