<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週足チャートは3週続けての陰線引けとなった。週の半ば以降の激しい上下動を経たのち、週末にかけて下げ足を加速させると、110円台と週間を通した安値圏で越週している。
ここ数ヵ月、月曜日早朝は「荒れ模様のオープン」となることがなかば恒例化していたものの、先週も総じて平穏。毎日新聞が「最新世論調査で内閣支持率は続落し26%」と報じるなか、前日実施された仙台市長選で野党共闘の郡氏が初当選、与党系候補が敗れたことで安倍首相への逆風が再認識された格好が波乱要因になりかねないと目されていたが、いずれも影響は限定的だった。
週明け24日は111.05-10円で寄り付いたのち、上下動を経て、週の半ば26日の欧米時間には112.19円の週間高値を記録したが、ドル買いの流れは続かず。注目のFOMC会合が失望に終わったとの見方などから、一時110円台まで急落。再び111.70円レベルまで戻すも、週末にかけ再度ドル売り・円買いが強まると、110.55円の週間安値を付けている。発表された4-6月の米GDPが予想を下回る内容となったほか、予想外のタイミングで「北朝鮮が弾道ミサイルを発射」したことが嫌気され、結局110.60-70円の週間を通したドルの安値圏で越週に。
一方、1週間を通した主な材料としては、日米政治要因が総じて話題に。ちなみに、日本の政治要因としては前述したもの以外で別に、「民進党蓮舫代表が辞任発表」「稲田防衛相も辞任発表」−−の話が観測されていた。
それに対し、米国サイドは、トランプ米大統領の娘婿であるクシュナー大統領上級顧問の議会証言が実施され、「ロシア政府と共謀しなかった」と疑惑を否定したものの、いわゆる「ロシアゲート」事件に関しトランプ米大統領が連日セッションズ司法長官を糾弾するコメントをツィッターに挙げるなど政権内部の不協和音が話題に。また、週末にかけては「米上院がオバマケア一部撤廃を否決」、「プリーバス米大統領首席補佐官が辞任、トランプ米大統領は後任にケリー氏指名」−−といったニュースも相次ぎ報じられている。
<< 今週の見通し >>
あれよあれよという間のドル安進行で、気が付くと110円半ばまでドルは下落してきた。今月高値114.49円から4円近い下げ幅をたどっていることでポジションの偏りもだいぶ解消され、さすがにドルの下値余地は限られそうな雰囲気も醸している。今週発表される米雇用統計などを受けて、トレンドが反転するのかどうか要注目だ。
しかし、心理サポートでもある110円レベルをクリアに下回れば続落も否定できない。先週懸念要因として指摘した「ヒョッとすると、多少の時間を要しつつも、このまま108-109円台まで続落し、4月安値、6月安値とともに『トリプルボトム』をうかがう動きをたどるのかも知れない」−−が現実のものとなる展開にも一応要注意。
テクニカルに見た場合、ドル安方向は今週110.05円レベルに位置する移動平均の52週線を維持できるかどうかにまずは注目だ。
ちなみに、52週線は昨年11月13日週に週足が上抜いて以降、まともに下回ったことが一度もない。したがって、52週線で支えられている限り、「ドルの基調はまだ強い」と言えるのかも知れず、「ドル強気派」の心の支えのひとつになっている面もあるだけに、しっかりと割り込んでくるのかどうか、ザラ場ベースの動きはもちろんのこと、週末NYクローズレベルも気になる。
一方、材料的には、週末に発表される7月雇用統計を中心とした米経済指標や、日米企業決算などに注目。先週のFOMCで年内利上げについて強気の見方が示されなかっただけに、それを覆すような良好な内容となるのかどうか、注意を払いたい。
また、それ以外では3日に予定されている日本の内閣改造や、米政権運営、政策対応などに関するニュースにも一応要注意。いずれにしても、まだマーケットは流動性が乏しいだけに、報道内容次第では乱高下をたどる可能性も否定できないだろう。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.50-112.00円。ドル高・円安については、週の初めは111.25円レベルで横ばいに推移し、週末にかけて111円半ばへと値を上げる日足・一目均衡表の先行帯の雲の上限をめぐる攻防にまずは注目か。抜ければ、112円台乗せが現実味を帯びてくる。
対するドル安・円高方向は、先に記した移動平均の52週線(110.05円レベル)がサポートとして寄与するかどうか、ザラ場だけでなく、週末NYクローズでもその攻防に要注意。なお、フィボナッチの観点で言えば、6月安値108.75円を起点とした上げ幅の76.4%押しは110.15円レベルで、割り込むようだと次の下値メドは全戻し(100%押し)となる。(了)
オーダー/ポジション状況
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