ドル円見通しFOMC声明をハト派として円高反応(7/27)

FOMC声明ではバランスシート縮小開始時期を早める姿勢を示したが、インフレ見通しが前回よりも慎重となったため、

ドル円見通しFOMC声明をハト派として円高反応(7/27)

<概況>

7月24日夕刻に110.61円まで下落、7月11日高値114.49円以降の安値を更新したが、その後はFOMCを控えたポジション調整的な買い戻しにより上昇。26日午前に112円へ到達、いったん下げたがFOMC直前には112.18円まで戻り高値を切り上げていた。
FOMC声明ではバランスシート縮小開始時期を早める姿勢を示したが、インフレ見通しが前回よりも慎重となったため、年内あと1回とされる利上げは早くても12月との見方が維持され、総じてハト派的な内容と市場は受け止めてドル全面安反応へ進み、ドル円は111.05円まで急落した。

7月11日高値から24日への下落がドル安、米長期金利低下傾向の継続感によるもので、24日から26日への反発がFOMCを控えての調整的な戻りだったとすれば、FOMC声明を見てこれまでの流れは変わらないとして反落したことは、7月11日からの下落基調の継続とし、一段安へ進みやすい状況に入ったと思われる。

【FOMC インフレ見通しはより慎重に】

7月25日、26日と開催された米連銀のFOMCは市場の予想通りに政策金利の据え置きを決定した。注目されていた問題はバランスシート縮小開始の時期と年内利上げ確率がどうなるのか、という点にあった。
FOMC声明文ではバランスシートの縮小開始時期に関し、「比較的早期」とし、6月会合での「年内」という表現から前倒しする姿勢を示した。早ければ9月会合でのバランスシート縮小開始決定がなされる可能性が高まったが、これは市場の想定範囲であり、バランスシート縮小開始が早まれば、その時期の利上げは見送られる可能性が高まる。

インフレ見通しについては、前回の「目標の2%を幾分下回っている」という表現から「幾分」が削除された。FOMCがインフレ目標の実現について慎重であることを示したわけで、インフレ目標を下回る状況が続く場合は年内あと1回とされる利上げが先送りされる可能性も残った印象だ。

米短期金利先物市場から推察される市場が予想する利上げ確率は50%で、直前の52%から低下したとされる。最近は50%をやや下回る状況が続いており、年内あと1回の利上げについて、可能性は五分五分程度という受け止め方だ。

7月28日の4-6月期米GDP、8月4日の次回米雇用統計が強い数字なら、市場による12月の利上げ予想確率が上昇してドル高がぶり返す可能性はある。逆にそれらが弱い数字なら12月の利上げも怪しくなるとしてドル安、米長期金利低下、円高へと加速する可能性があるということになるのではないか。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、FOMCからの急落により遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。このため、両スパンが悪化中は24日安値試し、さらに底割れからの一段安が警戒される。当面、先行スパンの下限帯が戻り抵抗となってくる思われる。

60分足の相対力指数は26日午前に112円へ到達した段階で70ポイントを超えたが、FOMC直前の高値更新時においては70ポイントに届かずに失速したため、相場が高値を更新したのに指数が高値を切り下げる「弱気逆行」型を示した。27日朝時点では30ポイントまで下げているが、20ポイント前後を試す可能性、あるいはいったん下げ渋ってもその後にさらに一段安へ向かう可能性を示唆していると思われる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月24日夕安値でサイクルボトムをつけて戻していたが、20日夕高値から4日を経過した27日未明高値でサイクルトップをつけて新たな下落期に入ったと思われる。24日安値割れ回避のうちはダブル底形成による反騰という可能性も残るが、底割れの場合は次の安値形成期となる27日午後から31日夕刻にかけての下落が想定される。

以上を踏まえ、26日の日中から27日朝にかけてのポイントを示す。
(1)111.30円から111.50円にかけてを戻り抵抗とし、一段安を警戒する。
(2)24日安値110.61円前後では突っ込み警戒的な買い戻しも入る可能性があるが、底割れから続落なら110円、109.50円、さらに6月14日安値108.80円などを段階的に試す下落へ向かう可能性が警戒される。
(3)111.50円を超える反騰の場合は強気転換注意として27日未明高値を試す可能性が出てくるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

7月27日
21:30 (米) 米6月耐久財受注 (5月 -0.8%、予想 +3.0%)
21:30 (米) 米新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件)

7月28日
8:30 (日) 6月全国消費者物価コア指数 前年比 (5月 +0.4%、予想 +0.4%)
8:30 (日) 7月東京都区部消費者物価コア指数 (5月 +0.0%、予想 +0.1%)
8:30 (日) 6月失業率 (5月 3.1%、予想 3.0%)
8:50 (日) 日銀・金融政策決定会合における主な意見公表(7月19〜20日開催分)
21:30 (米) 米4-6月期GDP・速報値 前期比年率 (前期 +1.4%、予想 +2.5%)
21:30 (米) 米4-6月期個人消費・速報値 前期比年率 (前期 +1.1%、予想 +2.9%)
21:30 (米) 米4-6月期GDPデフレーター・速報値 前期比年率 (前期 +1.9%、予想 +1.5%)
23:00 (米) 米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 93.1、予想 93.0)

オーダー/ポジション状況

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