日銀 物価見通しを下方修正 展望レポートで
日銀金融政策据置き、物価上昇率2%達成は19年に後倒し
日本銀行は本日昼過ぎに政策決定会合の結果を発表、金融政策を据置きました。
同時に発表された「経済・物価情勢の展望」では景気に対する判断を「緩やかに拡大している」と一歩進めると同時に2017年から2019年の消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通しをいずれも引き下げました。
この結果日銀の政策目標とする消費者物価上昇率2%が実現する時期を、今回2019年頃に後ろ倒ししました。
「企業の賃金・物価スタンスの慎重さ」が物価上昇を妨げているとの見方
物価見通しの下方修正の背景について「展望レポート」では「企業の賃金・物価スタンスの慎重さ」をあげており、「賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が企業や家計に根強く残っている」ことの影響が大きいとしています。
一方で景気判断については「緩やかに拡大している」として従来の「緩やかな拡大に転じつつある」から一歩進め、経済成長率についても雇用の逼迫を背景とした設備投資の増加や外需の影響で従来より幾分上ぶれているとの見方を示し、2017年度と2018年度の実質GDPの伸び率の見通しをそれぞれ+1.6%→+1.8%(2017)、+1.3%→+1.4%(2018)に上方修正しています。
黒田総裁が当初2013年からに年程度で達成できるとしていた物価上昇率2%はこれで既に4年の遅れを生じさせていることになります。日銀はこの責を労働需給が引き締まり高水準の収益を上げているにもかかわらず慎重な企業の賃金・価格設定スタンスにすべて帰しており、再三に亘って今回のレポートに記載されています。
為替市場は無反応 ECB FRBの方針待ち
金融政策維持は予想通り、またインフレ率の下方修正も事前に憶測としては出回っていたため為替市場には影響なく、ドル円は112円近辺で小動きが続いています。
日銀の見解としては「積極的金融緩和策と海外経済の回復により、景気は上向き、経済成長率は上昇、雇用も改善し、企業収益も改善しているにもかかわらず、企業が賃金を上げたり価格設定を変更したりするのに慎重なためにデフレから脱却できず、物価上昇率の達成は後ろ倒しせざるを得ない」と書いてあると読めました。前回までのレポートで指摘されていた「適合的期待形成を通じたを通じた予想物価率の押し上げの力の不確実性」のリスクが顕現化したという説明です。
ただ、成長の回復に見合わないインフレの低迷が日本に限らず世界的に共通な課題となっている中での日銀の今回のものの見方やスタンスは、今市場に影響は無くても、今晩のECBや来週のFRBの動きとの比較の中で次第に意味を持ってくるものと思われます。
この後15:30から黒田総裁の記者会見が予定されていますが、波乱は予想されません。
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