ドル安リスクくすぶるが、勢いはやや減退か
19日の東京市場は、方向性が乏しい。本日も市場動意の中心は、NZドルを中心としたオセアニア通貨で、ドル/円は112円を挟み一進一退のレンジ取引に終始している。
112.00-05円前後で寄り付いたものの、明確な方向性を示すことはなく、寄り付きレベルを中心に上下20ポイント強のボックス相場。夕方にかけて、一時ドルが買い進まれ、112.20-25円の日中高値を記録するも、レンジを抜け切れず。押し戻されると、16時時点では112.05-10円で推移し、欧米時間を迎えている。
なお、それとは別に、昨日同様にNZドルを中心としたオセアニア通貨が荒れ模様。対円などで大きく値を上げる局面も観測されていた。
一方、材料面では、ロイターが「米露首脳、独G20の夕食会で非公式協議を実施」、米紙NYタイムズは「米露首脳、今月7日に2回の会談実施」−−と、ともにトランプ氏とプーチン氏の会談について報じたものの、大きな影響は与えられなかった。
また別途、米共和党上院トップのマコネル院内総務から、「上院は医療保険制度改革(オバマケア)廃止法案の採決に踏み切るための動議の採決を来週初めに行う」とのコメントが聞かれたが、少なくとも4人の共和党議員が反対しており、可決は難しいとみられているためか、こちらも反応は限定的。
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リスクはドル安方向にバイアスがかかるものの、114円台から一時111円台までドル安がすでに進行していることもあり、ヒステリックなドル売りも一巡した感がある。指摘されるドル安材料の多くが「織り込まれた」とまでは言わないが、以前と比べると、ドル売りの勢いはさすがに減退しているイメージだ。とは言え、参加者のなかにはサマーバカンス入りした向きも多く、流動性が低下しているだけに、予想外ともいえる価格変動には注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、昨日のNY時間にドルは111.68円まで値を下げるも、安値108.75円を起点とした上げ幅の半値(50.0%)押しでちょうど下げ止まった。また、NYクローズでは112円台を回復しており、111.80-85円に位置する移動平均の200日線を維持したことにもなる。本日も引き続き、ドルの下値については、それら111.60-85円のゾーンの攻防に要注意。
対するドルの抵抗は112円半ば、112.87円などで、113円レベルですら、すでにいささか遠いイメージだ。
一方、材料的に見た場合、6月の住宅着工件数や同建設許可件数といった発表される米経済指標にまずは注目。また、それとは別にモルガン・スタンレーをはじめとする米企業決算の内容にも注意を払いたい。
さらには、「米ヘルスケア法案」をめぐる動きや、再燃の兆しをみせる「ロシアゲート事件」に関する報道なども気になるばかりか、ワシントンで実施される「米中包括経済対話」を個人的には注視している。米中両国が4月の首脳会談で合意した貿易不均衡是正のための「100日計画」がすでに期限切れとなっているだけに、新たな動きがあっても不思議はない。なお、「対米貿易黒字」という意味では、日本も決して対岸の火事ではなく、自分の身に降りかかるかもしれない事象として警戒しておく必要があるだろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.50-112.60円。ドル高・円安方向は、移動平均の25日線が位置する112.40-45円が最初の抵抗で、抜けると直近高値の112.87円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、移動平均の200日線などが位置する111.65-80円のゾーンをめぐる攻防にまずは注視。割り込んだ場合には、一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する111.25円レベルなども視界内に捉えられそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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