前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 113.98 114.49 112.26 112.53
ユーロ円 129.98 130.77 128.50 129.00
ユーロドル 1.1404 1.1489 1.1371 1.1468
日経平均 20070.44 20200.88 20023.03 20118.86
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
7月10日(月)
週明けの東京市場ではサミットは特に材料とならず、週末の強い雇用統計後の流れを継続することとなりました。黒田日銀総裁がイールドカーブコントロールを継続すると述べたことも先週の指値オペに続いて円売り材料となり、東京後場には114.30レベルと高値を更新。しかし後は続かず、海外市場では114円台前半の狭い値幅での取引が続きました。ユーロドルは金曜に高値をつけたもののその後は上値が重くなりじり安トレンド、値幅自体は狭く1.14挟みで方向感の無い展開となりました。
7月11日(火)
東京市場では堅調な株価を背景にドル円が上昇、前日高値を抜けると後場には114円台半ばまで水準を切り上げました。海外市場では主役がユーロへと移り、それまで全く動きのなかったユーロドルがじり高となる中、メルケル首相がECBの引き締めを支持する発言が伝わったことで一気に騰勢を強める流れに。その後ユーロが対ドル、対円で強い展開となりドル円も一時114.49レベルと東京の高値を僅かに上回りました。しかし、NY市場ではトランプジュニアが選挙においてロシア人弁護士とコンタクトを取ったことを認めたことからドル売りへと転じ、ブレイナード理事がハト派な発言をしたこともドル安の流れを決定づけました。ユーロドルは1.1480レベルと1.15の大大目前まで上昇、ドル円も113.72レベルまで水準を下げました。
7月12日(水)
東京市場ではトランプジュニアの発言を受けたロシアゲート問題再燃を警戒したリスクオフの円買いが先行、昼過ぎには113円台前半へと水準を切り下げてのイエレン議長議会証言待ちとなりました。ユーロドルは前日の上昇トレンドを継続し東京後場には1.1490レベルまで上昇したものの、1.15の大台目前で失速し短期筋の利食いからやや水準を下げてNY市場に入りました。議会証言の事前原稿が伝わると思ったよりも慎重な内容であったことから、ドル円は112円台へと入りこみ、その後やや戻しての引け。いっぽうユーロドルは、ポジション調整が継続し1.13台へと売られた後にやや戻しての引けとなりました。
7月13日(木)
ドル円は仲値前にやや買いが出たものの上値も重く、引き続きリスクオフを気にした円買いの動きとなりました。112.86レベルまで水準を切り下げましたが、112円台では買いも出て、NYまでは113円を挟んでのもみあい。NY市場に入り米金利が上昇した動きに沿って東京の高値圏に近づきつつも引けにかけては押す動きとなりました。いっぽうユーロドルは、東京市場ではドル円同様ドル売りの動きとなりましたが、欧州市場に入りユーロポンドを中心にユーロの利食い売りが続き1.1371レベルと週間安値を更新。その後は1.14挟みで方向感のはっきりしない展開となりました。
7月14日(金)
東京市場では朝方こそドル買いが先行したものの、113円台半ばから上には売りオーダーが残っていて昼前には下げへと転じ、NY市場までじり安の展開となりました。NY市場に入り発表された経済指標はCPI、小売売上高ともに予想よりも弱かったことからドル売りの動きとなり、112.26レベルまで水準を切り下げた後、やや戻してのクローズ。ユーロドルも終日ユーロ買いが目立ち、NY市場ではドル売りからユーロが一段高、1.1472レベルまで水準を回復後に高値圏での引けとなりました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
7月17日(月)
**:** 東京市場休場
11:00 中国4〜6月期GDP
11:00 中国6月小売売上高、鉱工業生産
16:00 トルコ4月失業率
21:30 米国7月NY連銀製造業景況指数
7月18日(火)
07:45 NZ4〜6月期CPI
10:30 豪中銀理事会(4日)議事録公表
17:30 英国6月CPI、PPI
18:00 ドイツ7月ZEW景気期待指数
18:00 ユーロ圏7月ZEW景気期待指数
18:00 ユーロ圏6月CPI確報値
21:30 米国6月輸入物価指数
23:00 米国7月NAHB住宅市場指数
7月19日(水)
**:** 日銀金融政策決定会合(〜20日)
17:00 南ア6月CPI
20:00 南ア5月小売売上高
21:30 米国6月住宅着工件数、建設許可件数
23:30 米国週間原油在庫
7月20日(木)
08:50 本邦6月貿易収支
10:30 豪州6月失業率
10:30 豪州4〜6月期NAB企業信頼感指数
**:** 日銀金融政策決定会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
17:00 ユーロ圏5月経常収支
17:30 英国6月小売売上高
20:45 ECB理事会結果発表
21:30 ドラギECB総裁会見
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国7月フィラデルフィア連銀製造業指数
23:00 米国6月景気先行指数
23:00 ユーロ圏7月消費者信頼感速報値
7月21日(金)
17:30 英国6月財政収支
今週の週間見通し
先々週に年初来高値となっている1月初の高値118.60を起点としたレジスタンスラインを上抜け、ドル高方向へと舵を切ったかに見えましたが、先週火曜につけた114.49を高値に慎重なイエレン議長の議会証言や予想よりも弱かった米国経済指標の結果を受け、安値112.26と2円以上も水準を切り下げ、再び上げか下げかの岐路に立つ週となりました。
まず、イエレン議長の議会証言は慎重ではあったものの、前日のブレイナード理事の講演と合わせて考えると、直近の市場参加者のセンチメントがタカ派よりに振れ始めていたと判断し、ややハト派的な発言をすることで熱を冷ましたという印象です。これまでも何度も書いてきたことですが、FRBは常にしっかりとした見通しを持って金融政策を進めていて、ほとんどブレることがありません。常に目先の材料に一喜一憂してブレているのは市場参加者です。
であるならば、年内3回の利上げを想定しているFOMCメンバーによる金利見通しを重視すべきで、議会証言でもってハト派に振れすぎることもまたイエレン議長が望むところでは無いはずです。1週間前の段階では12月の利上げ織り込み度は57%でしたが、昨日の段階では47%へと10%低下し、現状維持の織り込み度(48%)を下回ることとなりました。この織り込み度が逆転することは、個人的にはややハト派に振れ始めてきている兆候ではないかと思います。
利上げの織り込み度はFF先物の取引が行われているCME(シカゴマーカンタイル取引所)が公式に発表していますので、時々ご自身の目で確認することをおすすめします。
http://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html
もうひとつ先週印象的だったのは、同じくCMEで取引されている通貨先物のポジションです。これは監督館長であるCFTCが毎週火曜締めのポジションを金曜のNYクローズ時点に発表していますが、その中でも大口の非商業部門(いわゆる投機筋)のポジションがマーケットの縮図であるとして参考にされます。同ポジションの過去1ヶ月の推移は以下のようなものでした。
6/20 = 49,959枚売リ越し
6/27 = 61,350枚売リ越し
7/03 = 75,036枚売リ越し
7/11 = 112,125枚売リ越し
1枚が1250万円ですから、7月11日時点の売り越し額は112.50換算でおよそ125億ドル、円売り越し(ドル買い越し)額は、かなりの高水準で昨年末にドル円が118.68レベルの戻り高値をつけた時点をも大幅に超えている金額です。結局ポジションが偏ったため、11日火曜のドル高値をピークにその後、下げる動きとなったというのが、シカゴのポジションから考える後付け的ポジション分析と言えるでしょう。おそらく来週発表されるポジションは減っていると予想されます。
さて、今週は日銀の金融政策決定会合がありますが、引き続き緩和姿勢を維持するというのが大方の見方で、いますぐ出口政策が議論されないのであれば、材料視されることはなさそうです。今まで同様、他の先進国との金利差は広がる一方ですが、すなわち円安という見方にならないことも、これまでの経過から考えると変わらないと言えそうです。
そうなると頼りになるのはテクニカルということになりますが、チャートはなかなか面白い形となっています。日足チャートをご覧ください。ピンクの太線で示したレジスタンスラインが、年初来高値を起点としたラインですが、現在は既に112円近辺を下降中です。抜けたレジスタンスはサポートとなりやすいことを考えると、今週は同線を意識することとなります。
また短期的な高値はすでに先週見てしまったと言えますが、この高値は昨年12月高値118.66と今年の安値108.14との61.8%戻し114.64(赤色のターゲット)とほぼ一致し、さらに5月高値とともにダブルトップ状のチャートとなっています。であれば、先週高値114.49を高値と固定し、6月安値108.83との戻しを計算すると、38.2%押しが112.33、半値押しが111.66となり(それぞれ青色で示したターゲット)、ピンクの太線と同じ位置にあることがわかります。下値については、この水準を採用できます。
また上値ですが、先週、先々週と113円台前半から半ばは底堅かった水準であり、いまだポジション的には円売りが残っていることを考えると、113円台前半から半ばにかけては戻り売りが上値を抑えてくると考えることが妥当です。
結論としては、再び上げか下げかの方向性を見極めつつも、若干上値の重たいもみあいとなりやすい週となることが予想されます、今週は111.50レベルをサポートに、113.50レベルをレジスタンスとする一週間を見ておこうと思います。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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