イエレン議長ハト派の議会証言でドル円下落（7/13朝）

イエレン議長ハト派発言に、ドル安円高ユーロ安？

昨晩の欧米市場では注目されたイエレン議長の下院証言でインフレ低迷懸念を中心に予想外にハト派的な内容が目立ったことから為替市場は荒れ模様、ドル円は一時112円台に下落、ユーロドルでは逆に1.1400を割り込む水準までドルが上昇しています。
金利先高観の後退に欧米株式はほぼ全面高となりました。

インフレ低迷に懸念利上げ急がず、バランスシート縮小は早期

イエレン議長の金融市場にかかわる主な証言と質疑の内容は以下の通りです。
「経済が予想通り拡大すればFRBのバランスシート縮小は年内に開始される見込み、
時期は比較的早期」
「自然利子率は歴史的低水準にありFF金利それほど引き上げる必要はない。」
「物価上昇率は最近になって鈍化しており今後数カ月にわたって注視していく」
また、トランプ政権については「財政政策等に変更の可能性があり、見通しの不透明性の要因となっている、現状の経済見通しが改善、悪化の可能性は同程度」
との見方を示しました。

この内容を受けイエレン議長がインフレ見通しと金利の引き上げに関して予想外にハト派な立ち位置が表明されたとして株式市場は好感、NYダウは終値での最高値更新して123.07ドル高21,532.14で終了しています。

ドル円113円台前半ユーロドル1.1415

ドル円は議会証言のテキストが公表された昨晩21:30過ぎに乱高下の末下落、一時113円を割り込みましたがその後やや戻し113円台前半での取引です。
ユーロの動きはやや不可解で、21:30頃一旦1.1480まで上昇後に急落。
ドルが他の主要通貨に対してほぼ弱含んだのに対し、ユーロに対してだけは同じタイミングで強含み、ユーロドルは一時1.1400を割り込む動きとなりました。
ドル円での円高がユーロ円に波及、最近ユーロの買いポジションが溜まっていたものが一気に解消されドル円以上にユーロ円が下落したことがユーロドルでもユーロ売りとなったことが原因と考えられます。ユーロ円は129円台前半まで下落、アジア時間早朝ユーロドルは1.1415レベルでの取引です。

大勢に変化なし落ち着きどころ探り

未明には米地区連銀報告が公表され景気の緩やかな拡大と一部地域での物価圧力の減少が報告されていましたが、議長証言と符合する内容に市場の反応は限定的でした。
昨晩はカナダ中銀が政策金利を引き上げており、事前予想されてたとはいえFRBとのスタンスの相違にカナダドルが急騰しています。

イエレン議長の証言内容は従来の市場の観測を大きく外れるものではありませんが、今回は物価上昇の鈍化に対する懸念と利上げを急がない方針が強調され、また、バランスシートの縮小も市場に配慮し緩やかに実施する方向性を示すなどハト派的なスタンスが目立ちました。これらは従来のイエレン議長のスタンスとは何ら矛盾するものではありませんが、前回FOMC後の意外なタカ派的言動が目立った後だけに市場にとってはややサプライズとなりました。

イエレン議長は本日も上院で証言予定ですが、ひと波乱あってポジションもある程度調整され短期の均衡点を見つけた状況ですので、為替市場は日中はひとまず落ち着きを取り戻すものと思われます。