ドル円見通し イエレン議長証言から一段安(7/13)

ドル円は12日21時半に事前公開されたイエレンFRB議長の下院金融サービス委員会証言テキストををきっかけに一段安、112.91円まで下落した。

ドル円見通し イエレン議長証言から一段安(7/13)

<概況>

ドル円は12日21時半に事前公開されたイエレンFRB議長の下院金融サービス委員会証言テキストををきっかけに一段安、112.91円まで下落した。
6月15日未明の前回FOMCで今年2度目の利上げが決定され、ECBや英中銀の金融緩和終了へ向けた動き等も背景とした欧州長期金利上昇、それと連鎖した米長期金利上昇による日米金利差拡大を材料にドル円は上昇基調へ入り、7月3日に113円台に乗せ、さらに7月7日の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想以上に増加したことで114円台へ上昇した。今週も10日、11日と続伸して11日深夜には114.49円をつけ、今年5月11日の高値114.36円をわずかに上回るところまで円安ドル高が進んだ。
11日深夜高値の後は高値警戒感から反落、12日のイエレン議長議会証言を控えてのポジション調整的な売りから12日の日中は113円台半ばまで続落し、113.50円を挟んだ小揉み合いで議長証言を待つ状況だった。

議長証言テキストでは、「今後数年、緩やかな利上げが適切」と示され、早期の追加利上げと今後の利上げペースが加速することを示唆するのではないかとの市場の警戒感が後退、「タカ派ではなかった」と受け止められてドル円は急落、113円を割り込んで112.91円の安値を付けた。売り一巡後は113円台を回復したが、113円台前半に止まっている。

【イエレン議長議会証言はハト派】

米連銀のイエレン議長は12日の米下院金融サービス委員会で証言し、「今後数年、緩やかな利上げが適切」との認識を示した。バランスシートの圧縮については「比較的早期」に取り組むと表明した。議長は米景気について「年初に減速した成長は4〜6月期に持ち直したようだ」とし、「米景気は今後2、3年緩やかに拡大する」としたが、物価動向の弱さを注視する姿勢も示した。
 米連銀は6月のFOMCで約4兆5000億ドルに膨れ上がった保有資産を年内に縮小開始する方針を示していたが、議長は「比較的早期」の開始を明言したため、9月にも着手されるとの見方が広がったが、それによる金融引き締め感よりも利上げペースが緩やかな状況が続くとの姿勢が、利上げ加速にはならないと受け止められ、市場が警戒していた利上げペース加速への懸念は後退したと判断された。

【カナダが利上げ】

カナダ銀行(中銀)は12日、主要政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%引き上げて0.75%とした。同中銀による利上げは2010年9月以来、6年10カ月ぶり。
リーマンショック対策による世界的な金融緩和に対する是正は2015年12月の米連銀利上げから解消への動きが出始め、今年6月にはECBの量的金融緩和縮小への動き、英中銀の利上げ時期模索等の動きが出始め、欧米の長期金利が上昇してきた。カナダ中銀の利上げもこうした全般状況を反映したものと思われる。
イエレン議長の議会証言テキストからいったん米長期金利が低下、NYダウが史上最高値を更新するなど楽観的な反応が出て、ドル円はやや前のめりだったドル高円安にブレーキがかかった状況にあるが、より中長期的な流れとしては欧米の長期金利上昇基調の継続による円売り圧力は継続してゆく可能性がある点は抑えておきたい。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、11日深夜の反落により遅行スパンが悪化=実線を割り込み、先行スパンの中へ潜り込んだが、12日午前の一段安により先行スパンからも転落した。遅行スパンが好転するには113.50円を超える上昇へ進む必要があるが、先行スパンを上抜き返すには13日では114円超え、14日以降では113円台後半へ戻す必要がある。
当面、7月11日深夜高値からの下落度合がより拡大するのか、一時的な調整に止まるのかを見定める必要がある。遅行スパン好転なら強気転換注意として先行スパン突破試しとみるが、先行スパンが抵抗となって突破できないうちは一段安余地が残ると思われる。

60分足の相対力指数は12日の急落で30ポイントを割り込み、20ポインド台序盤まで急落したが13日早朝時点では30ポイント台を回復している。短期的にはかなり売られ過ぎの状況にあるが、強気転換にはまず50ポイントを超える上昇、その後も指数の安値を切り上げる上昇が必要だ。

60分足の一目均衡表では、11日深夜の反落により遅行スパンが悪化=実線を割り込み、先行スパンの中へ潜り込んだが、12日午前の一段安により先行スパンからも転落した。遅行スパンが好転するには113.50円を超える上昇へ進む必要があるが、先行スパンを上抜き返すには13日では114円超え、14日以降では113円台後半へ戻す必要がある。
当面、7月11日深夜高値からの下落度合がより拡大するのか、一時的な調整に止まるのかを見定める必要がある。遅行スパン好転なら強気転換注意として先行スパン突破試しとみるが、先行スパンが抵抗となって突破できないうちは一段安余地が残ると思われる。

60分足の相対力指数は12日の急落で30ポイントを割り込み、20ポインド台序盤まで急落したが13日早朝時点では30ポイント台を回復している。短期的にはかなり売られ過ぎの状況にあるが、強気転換にはまず50ポイントを超える上昇、その後も指数の安値を切り上げる上昇が必要だ。

【本日の主な予定】

7月13日
(中) 未定  6月貿易収支 (5月 408.1億ドル、予想430.0億ドル)
(米) 21:30 6月生産者物価指数 前年比 (5月 +2.4%、予想 +1.8%) 
(米) 21:30 6月生産者物価指数・コア前年比 (5月 +2.1%、予想 +2.0%)
(米) 21:30 新規失業保険申請件数 (前週 24.8万件)
(米) 23:00 イエレンFRB議長、米上院銀行委員会 半期金融政策報告証言

オーダー/ポジション状況

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