<概況>
7月3日夜に113円台へ乗せてからは4日午後、5日昼、6日昼と113円を割り込むところは切り返し、高値圏での持合いを形成している。5日夕刻に113.68円の高値を付けたあとは新たな高値更新に至らず、上値抵抗感も見られる。
7月6日にはECBの6月理事会議事録が公開された。その会合では利下げの打ち止めが表明されたが、必要に応じて金融緩和の継続拡大がありうるとされたが、その後のユーロ高のきっかけとなった会合だった。議事録では、インフレ状況次第では量的金融緩和の終了も視野に入るとされた。ユーロ高の進行に対してドラギ総裁はまだ緩和継続余地があるという姿勢を見せてきたが、理事会としては出口戦略へ傾斜している印象を与えた。このため、6日夜はユーロ高ドル安、ユーロ高円安反応が見られた。ドイツ長期債利回りは上昇、つれて米長期債利回りも上昇基調にあり、ドルは全体的には下落しても日米金利差からドル円が上昇するという構造となってきている。6日は金利差からのドル円上昇圧力とドル全般の下落感が拮抗、ドル円は横ばいにとどまったという印象だ。
6日夜に発表された6月の米ADP民間雇用報告では非農業部門雇用者数が15.8万人増となり、市場予想の18.5万人増、前月の25.3万人増(23.0万人増に下方修正された)を下回った。このため、発表直後にはドル安円高反応が若干見られたものの、完全雇用に近い状況の中で10万人以上を確保しているため、米連銀の金融政策決定への影響は軽微として市場反応は限定的なものに止まった。
ISMの6月サービス業景況指数は57.4で、市場予想の56.5、前月の56.9を上回った。市場の反応は限定的だった。
7日夜には米労働省の雇用統計が発表される。非農業部門雇用者数に対する市場の事前予想は17.8万人増であり、前月の13.8万人増を上回るとみられている。失業率は前回4.3%へ低下したが、今回は変わらずとみられている。雇用統計が予想より悪ければドル安円高反応となるだろうが、10万人増を下回るようなサプライズ的な悪さでなければ反応は一時的なものに止まるのではないかと思われる。予想に近いか予想以上ならドル高反応となり、また米長期金利上昇も想定される。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、7月3日夜に113円を超えてから何度か113円割れを見せつつ持合いとなっているので、遅行スパンは実線と交錯を繰り返している。先行スパンも持合いの為に細くなっており、実線が若干下回る状況もあるが持合いにより先行スパンに絡んだ横ばいという印象となっている。
113円割れを切り返せなくなり、7月6日昼安値112.88円割れの場合は先行スパンからの転落感が強まり、また遅行スパンも悪化してくるため112円台序盤へ下落する可能性が出てくる。しかし6日昼安値割れに至らないか、わずかに割り込んでも113円台を回復するなら持合いの継続となり、113.50円超えからは5日高値113.68円試し、高値更新なら114円試しへ向かう可能性が考えられる。
60分足の相対力指数は相場が持合いのため50ポイントを挟んで小動きだが、60ポイントを超えられない状況が続ているため、6日昼安値割れからの下落へ向かうリスクを抱えた状況と言えるが、60ポイントを超えてくれば上昇再開感が強まると思われる。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、30日昼安値を直近のサイクルボトムとして上昇してきた。5日夕高値への上昇による、5日昼安値でサイクルボトムをつけて強気サイクル入りした可能性を考えたが、6日昼へいったん下げてから戻しているので、直近のサイクルトップを5日夕高値、同サイクルボトムを6日昼安値とした強気サイクル入りの可能性がより妥当と思われる。このため、6日昼安値割れ回避のうちは次のトップ形成期となる10日から12日への上昇を想定し、6日昼安値割れからは底割れによる弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる11日から13日への下落へ進むと仮定する。いずれへ向かうのかは今晩の米雇用統計反応からとなりそうだ。
雇用統計から上昇、高値更新なら5月11日高値114.36円試し、あるいは突破により115円に迫る可能性が考えられる。6日昼安値割れから続落の場合、および雇用統計から急落反応の場合は112円割れを試す下落を想定する。また週明けに続落なら111円台前半への下落へ向かう可能性も警戒する。(了)<9:55執筆>
【本日の主な予定】
7月7日
20カ国・地域(G20)首脳会議(独ハンブルグ、8日まで)
(米) 21:30 米6月非農業部門雇用者数 (5月 13.8万人、予想 +17.9万人)
(米) 21:30 米6月失業率 (5月 4.3%、予想 4.3%)
(米) 21:30 米6月平均時給前月比 (5月 +0.2%、予想 +0.3%)
オーダー/ポジション状況
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