ドル円見通し FOMC議事録からやや下落(7/6)

6月13、14日会合の議事録が公開された。 公開内容は、市場にとってはややタカ派ともハト派とも受け止められるもので、特にサプライズはなかった。

ドル円見通し FOMC議事録からやや下落(7/6)

<概況>

7月5日夕刻、113.68円まで上昇した。6月15日未明のFOMC前に109円割れしたところから切り返してきたが、この間の戻り高値を更新した。7月4日に北朝鮮がICBM発射実験を行い、午後には重大発表すると報じられたことから4日午後に112.73円まで下落、5日早朝に113円台を回復した後も112.80円まで下げる等、113円を挟んで60分足レベルの三角持合いを形成していたが、5日夜の上昇ではこれを上放れして一段高となった。
7月6日未明のFOMC議事録公開を控えてポジション調整売りに押され、113円割れには至らなかったが113円台序盤で議事録公開を迎えた。6日3時の議事録公開直後、内容をややタカ派としていったん反発、113.52円まで戻したが、上昇は続かずに反落、113円台序盤へ押されている。

【議事録はハト派ともタカ派とも解釈分かれる】

6月13、14日会合の議事録が公開された。
公開内容は、市場にとってはややタカ派ともハト派とも受け止められるもので、特にサプライズはなかった。
公開された議事録では、資産圧縮の公表時期について複数の参加者が「2、3か月以内」と主張したが、一部は「今年遅く」が望ましいと指摘、メンバー内の意見がまとまっていない印象だった。
米国債や住宅ローン担保証券(MBS)等の保有資産圧縮規模については、当初は月額計100億ドル規模とし、1年後に500億ドル規模に引き上げることでイエレン議長は参加者の間でコンセンサスを得られたとされた。

参加者のうち2人は、早い時期の資産圧縮開始が緩やかな金融政策正常化方針からペースを速めると誤解されると指摘した。
複数の参加者は資産圧縮が今後の政策金利の引き上げペースが緩やかになる根拠になるとの見方を示したが、複数の参加者は利上げの判断に大きな影響を及ぼさないとの見方を示した。資産圧縮開始による利上げペースについてもまだメンバーの見解がまとまっていない印象だった。
複数の参加者は物価上昇率2%実現へのペース減速に懸念を表明したが、複数の参加者は「堅調な労働市場を踏まえて物価は持ち直していく」と自信を示した。物価上昇率への見方もメンバー内でまとまっていない印象だった。

議事録は総じて、ハト派ともタカ派とも受け取れる中途半端な内容と言える。
資産圧縮開始の年末へのずれ込み、年内残り1回とされる利上げが来年へ先送りされる可能性も残した。しかし早ければ9月会合で資産圧縮が開始され、年内利上げも着実に実施される可能性も十分にあるという印象だ。
週末の米雇用統計が力強いものになれば、議事録および今後のFOMCに対するタカ派的なスタンスを意識させてドル高へ進み、逆に悪ければハト派的な対応期待でドル安へ進む、内容次第という状況になろうか。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、5日夕刻への高値更新により遅行スパンが好転したが、その後の反落により実線と交錯しており方向感に欠ける。5日午前の下落で先行スパンの中に突っ込みかけたが、その後の反騰で上抜けており、5日夜の反落でも先行スパン上限が支持線となり、上抜いた状況を維持している。このため、先行スパンから転落しないうちは上昇継続の可能性が優先されると見ている。
ただし先行スパンに対してさほど余裕があるわけではなく、113円割れから続落し始める場合は転落するため、その際は調整安入りにより112円台序盤試しへの下落と考える。

60分足の相対力指数は、4日未明高値と5日夕の一段高に対して指数の山が切り下がる弱気逆行を示しているため、5日夕高値を上抜けないうちは弱気逆行からの下落へ向かう可能性を示唆する。14本線が60ポイントを超えて上昇継続なら逆行破りによる上昇再開感が強まるが、60ポイントを超えられないうちは113円割れからの下落入りへ向かう可能性に注意する。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、30日昼安値を直近のサイクルボトムとして上昇してきた。4日未明高値から60分足レベルの三角持合いを形成して上放れたため、三角持合い終点の5日昼安値を直近のサイクルボトムとした上昇入りとなっている可能性があるものの、29日夜高値から4日目となる5日夕高値でサイクルトップをつけ、現状はまだ6日の日中から7日昼にかけてのボトム形成中である可能性も残る。このため、5日夕高値を上抜けないうちはボトム形成への下落に注意し、113円割れから続落の場合は6日夜から7日午前にかけて下落しやすいとみる。5日夕高値更新の場合は既に強気サイクル入りとして7日から11日への上昇へ向かう可能性が優先されるとみる。
5日高値を上抜く場合、上値目途は114円台序盤試しとみるが、雇用統計も控えているので、114円到達後は反落しやすいとみる。高値更新が続く場合は5月11日高値114.36円試し、あるいは突破の可能性が考えられる。
113円割れから調整安に入る場合は112円前後試しとし、その後の展開は雇用統計反応次第となろうか。(了)<9:30執筆>

【明日に掛けての主な予定】

7月6日
(欧) 20:30 欧州中央銀行(ECB)理事会、議事要旨公表(6月8日開催分)
(米) 21:15 米6月ADP全国雇用者数 (5月 +23.5万人、予想 +17.8万人増)
(米) 21:30 米新規失業保険申請件数 (前週 24.4万件)
(米) 21:30 米5月貿易赤字 (4月 476.0億ドル、予想 462.0億ドル)
(米) 23:00 米6月ISM非製造業景況指数 (5月 56.9、予想 56.5)
(米) 23:00 パウエルFRB理事講演

7月7日
20カ国・地域(G20)首脳会議(於;独ハンブルグ、-8日)
(米) 8:30 フィッシャーFRB副議長講演
(米) 21:30 米6月非農業部門雇用者数 (5月 13.8万人、予想 +17.9万人)
(米) 21:30 米6月失業率 (5月 4.3%、予想 4.3%)
(米) 21:30 米6月平均時給前月比 (5月 +0.2%、予想 +0.3%)

オーダー/ポジション状況

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