ドル円見通し 持合い上放れ、一段高期待(6/28)

6月27日午前、112.07円へ上昇した後は小調整となってロンドン序盤17時台には111.46円まで下落したが、17時以降のユーロ急伸をきっかけにドル円も上昇、

ドル円見通し 持合い上放れ、一段高期待(6/28)

<概況>

6月27日午前、112.07円へ上昇した後は小調整となってロンドン序盤17時台には111.46円まで下落したが、17時以降のユーロ急伸をきっかけにドル円も上昇、深夜には112.46円まで高値を切り上げた。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がECBフォーラムでの基調講演において、現在の金融緩和政策を継続する姿勢を示しつつも、「デフレ的な圧力がリフレ的なものに置き換わった」と述べた。このため市場はEU景気拡大への楽観、デフレ脱却による金融緩和政策の出口へ向けた動きが進むと受け止め、ドイツ長期債が上昇、ユーロ買いが進んだ。ユーロ高ドル安、ユーロ高円安のなかでドル円においても円安反応となった。ドイツ長期債利回り上昇に触発されて米長期債利回りも上昇したため、日米長期債利回り拡大による円安という反応ともいえる。

米民間有力調査会社コンファレンス・ボードが発表した6月の消費者景気信頼感指数は118.9となり、前月の117.6(改定値)から上昇し、市場予想の116.0も上回った。S&P/ケース・シラーによる米20都市住宅価格指数は4月に前年比5.7%上昇となり市場予想の5.9%上昇をやや下回った。これらに対する市場反応は限定的だった。

【イエレン議長講演反応は限定的】

28日未明にはイエレン議長の講演があり、特に市場が反応するような内容は無かったが、「金利を非常にゆっくりと引き上げるのが目標達成で適切になるとの考えは、これまでに極めて明確にしている」と述べ、緩やかな金融引き締め姿勢は変わらないとの姿勢としてややタカ派的姿勢と市場は受け止めたようだ。
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁はロンドンでの講演で「年内あと1回の追加利上げは適切」と述べた。フィッシャー副議長はワシントンの国際通貨基金(IMF)で講演し、金融政策姿勢に言及しなかったが、資産価格上昇へのリスク警戒感を示したことが株高への警戒感や緩やかな金融引き締め姿勢継続と受け止められた。

【日米10年債利回り格差拡大、ドル円とのズレ解消か】

6月15日未明のFOMCからドル円は上昇を開始、20日に111.78円をつけた後は111円台前半を中心とした持合いで推移していたが、今週に入って持ち合いを上放れてきた。
6月15日から26日にかけて、米長期金利は低下傾向にあり、日米10年債利回り格差で見ればドル安円高へ進みやすい状況であったにもかかわらず円安ドル高で進んできた。しかし27日のユーロ高、ドイツ10年債利回り上昇をきっかけとして米10年債利回りも上昇に転じ、日米利回り格差が拡大し、ドル高円安反応となったため、これまでのズレが修正されてきた印象もある。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、26日夕刻からの上昇で遅行スパンが実線を上抜いて好転、先行スパンからも上抜けた。27日夕への下落で26本基準線を一時的に割り込んだが切り返し、基準線自身も切り上がっている。遅行スパンが実線を上回り、先行スパンからの転落に至らない内は上昇基調の継続とみる。
6月20日以降の持合いを上放れしてきたため、111.70円台を支持線として維持する内は一段高状態の維持として、さらに高値を試しやすいとみる。特に、先行スパンが111.70円台に来ているので、支持線として機能してくると思われる。

60分足の14本相対力指数は26日の上昇で76.8ポイントまで上昇、27日深夜への上昇では77.0ポイントまで再上昇しているが、ほぼフラットなため、弱気逆行となる可能性がある。28日午前時点では50ポイント台に下げているが、50ポイントを割り込んでも切り返す内は上昇基調継続とし、切り返せなくなる場合は弱気逆行からの調整安入り注意と考える。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、20日高値と21日深夜高値によるダブルトップを超えてきたため、高値更新による強気サイクル入りとなっている。27日午前高値と夕刻への下落、その後の一段高という展開を踏まえると、27日夕刻安値でサイクルボトムをつけて新たな強気サイクル入りの可能性も考えられる。このため27日夕安値割れ回避の内は上昇継続とみて、27日午前高値を基準として30日から7月4日にかけて上昇基調を継続する可能性を検討する。ただし27日夕安値割れの場合は28日夜から29日にかけての下落を想定し、22日安値(110.94円)前後試しとなる可能性に注意する。

【上値目処】

6月20日高値を上抜いたことにより、当初の上値目処は22日への下げ幅の倍返しでV=112.62円前後と想定される。このため昨晩深夜高値を更新する場合は112.60円台で戻り売りにつかまりやすいと注意するが、111.70台を維持するうちは上昇継続性があるため、112.70円を超えてくる場合は113円前後試しまで上値目処を切り上げる。ただし、3月10日高値と5月11日高値を結ぶ右肩下がりの抵抗線は113円台序盤に来ているので、113円到達の場合は反落警戒とみる。(了)<10:00執筆>

【当面の主な予定】

6月28日
(米) 16:30 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
(米) 23:00 米5月中古住宅販売保留件数指数 (4月 -1.3%、予想 +1.1%)
6月29日
 米韓首脳会談(ワシントン、30日まで)
(米) 21:30 米1-3月期GDP・確報値 前期比年率 (改定値 +1.2%、予想 +1.2%)
(米) 21:30 米新規失業保険申請件数 (前週 24.1万件 予想24.0万件))

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