ドル円見通し拡張型三角持ち合いで攻めぎ合い(6/23)

米労働省が発表した週間新規失業保険申請は24万1000件となり、前週比3000件増加、市場予想の24万件を僅かに上回ったが良好な数字だった。

ドル円見通し拡張型三角持ち合いで攻めぎ合い(6/23)

<概況>

6月15日未明のFOMCをきっかけとしたドル高円安は20日高値111.78円からの反落でひとまず一巡。21日深夜に111.74円まで戻したものの新たな高値更新には至らず22日は一時111円割れまで下げたため、20日高値からの下落が二段目となった。22日夜への戻りでは111.50円に届かずにいる。このため、現状は111円台での持合い圏形成ではあるが、戻り高値、安値が切り下がり気味と言う状況だ。

米労働省が発表した週間新規失業保険申請は24万1000件となり、前週比3000件増加、市場予想の24万件を僅かに上回ったが良好な数字だった。前週は当初の23万7000件から23万8000件に僅かに上方修正された。
 米コンファレンス・ボード社が発表した5月の景気先行指数は127.0となり前月比0.3%上昇、市場予想と一致した。4月の改定値は0.2%上昇の126.6だった。米経済指標はさほど影響せず、ドル円相場は停滞の動きとなっている。

【日米長期金利差の縮小】

6月2日の米雇用統計が予想より悪かったことで6月15日のFOMCへ向けて下落した。FOMCでの利上げ決定、年後半への追加利上げスタンスも維持となったことで反騰、雇用統計前高値111.70円をわずかに超えるところまで戻したが、そこで「イッテコイ」となり、112円超えから更に一段高してゆくのは時期尚早との市場心理で上値が重くなった。

従来のFOMCによる利上げ決定等では、それまでのドル高円安で材料を消化し、「知ったら終い」でドル安円高のきっかけに転じてきた。3月の利上げ時もそのパターンだった。しかし今回はFOMCからの上昇が4日間継続する等、従来とは異なる反応になっている。このため、20日への上昇で今回のFOMC反応を材料消化して円高再開となるのか、先行きの利上げ継続、金融引き締め感からドル高円安が継続してゆくべきなのか、市場も考えあぐねていると言える。

しかし、22日の日中へ111円割れした時の下落要因は日米長期金利格差縮小による円高圧力であった。米長期金利は依然よりは高い水準にあるが、徐々に切り下がり傾向にあるため、日米長期金利格差から見れば円高がもっと進んでも不思議ない力関係にある。金利差から見ればドル円は割高な状況と言えるので、米長期金利低下傾向がより鮮明になる場合はFOMCからの上昇一巡、円高がぶり返して行く可能性も考えられる。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、20日高値からの下落により遅行スパンが悪化した。その後は相場がジグザグ推移しているため、遅行スパンは実線と交錯しつつ方向感を示せずにいる。
22日の下落で先行スパンから転落、22日夜に上抜きかけたが失速し、23日午前は先行スパンから転落した状況にある。両スパンが揃って好転した状況を維持し始めれば20日高値試しへ向かう可能性ありとし、20日高値超えからは遅行スパン好転中の高値試しが優先されるとみるが、先行スパンから転落したままの状況では一段安リスクが残る。

60分足の14本相対力指数は22日の30ポイント台から戻したが、23日午前は51ポイント近辺で中立。50ポイントをわずかに超えても維持できずに下落する場合は弱気優勢のパターンとして一段安警戒とし、強気へ進むには60ポイントを超えてさらに続伸することが必要と思われる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、20日高値と21日深夜高値によりダブルトップを形成し、その中間にある21日安値を割り込んだために弱気サイクル入りしており、21日夜高値を超えられない内は次の安値形成期となる26日から28日にかけての下落継続となりやすい。ただし、21日高値超えの場合はダブルトップ破りによる一段高入りとなり、次の高値形成期となる26日深夜から28日深夜にかけての上昇継続となりやすい。

60分足に見られるチャートパターンでは、20日高値と21日深夜高値のダブルトップラインがフラットな抵抗線。21日安値と22日安値画切り下がっているため安値を結ぶ支持線は右肩下がりである。このため、「抵抗線フラットで支持線切り下がり」の拡張型三角持合いを形成していると思われる。111.50円超えへ進めば抵抗線試しだが、進めない内は切り下がりの支持線を試す下落へ向かい易いとみる。
もう一つの可能性としては、現状から111.70円台まで戻し、その後に111円台序盤まで反落しても新たな安値更新を回避して反騰、20日高値を超える場合、60分足レベルの逆三尊を形成するかもしれない。そのためには今晩にかけて111.70円台へ戻す必要があるが、111円割れへと下落してしまう場合は逆三尊の可能性はなくなると思う。

以上を踏まえて、22日の日中から23日未明にかけてのポイントを示す。
(1)22日深夜の戻り高値111.44円から111.50円までを戻り抵抗とし、111.50円を超えられない内は22日安値110.94円試し、底割れの場合は110.64円(6月16日深夜安値)試しを想定する。その場合は週明けへさらに続落しやすいとみる。
(2)111.50円超えへ上昇の場合、111.70円台を試すとみる。そこはダブルトップライン、拡張型三角持合いの抵抗でもあるので、いったんは売られ易いと注意。特に深夜高値形成後は反落を入れやすいとみる。ただしこの場合はその後に111.40前後まで押しても切り返して一段高なら抵抗線突破、ダブルトップ破りとして112円試し、さらに112円台前半へと向かう可能性が出てくると考える。(了)<9:30執筆>

【本日の主な予定】

6月23日
(米) 23:00 米5月新築住宅販売件数

6月24日
(米) 0:15 ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
(米) 1:40 メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
(米) 3:15 パウエルFRB理事、講演

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る