ドル円見通し 112円に届かず方向感探る動き(6/22)

FOMCからの上昇は一服している。改めてさらに一段高へ進むべきか、このあたりを限界として110円割れへと円高が再開してゆくのか、

ドル円見通し 112円に届かず方向感探る動き(6/22)

<概況>

6月15日未明のFOMCをきっかけとしたドル高が週明けも継続し、20日には111.78円まで上昇、6月2日の米雇用統計から急落する前の高値である111.70円をわずかに上回った。しかし更に112円超えへ一段高するには時期尚早として20日深夜から下落した。21日夕刻には111.06円まで下落したが、111円割れへと崩れるほどではなく、21日深夜には一旦111.74円まで戻す場面もあったが、この戻りも長続きしなかった。
FOMCからの上昇は一服している。改めてさらに一段高へ進むべきか、このあたりを限界として110円割れへと円高が再開してゆくのか、市場も決めあぐねているところという印象だ。

【FOMC前後のドル円反応】

2015年12月15-16日のFOMCで利上げ再開が決定された時、ドル円は12月18日に123.50円の高値まで上昇したが、その後は反落開始となり、2016年6月24日の英国国民投票ショックまで円高ドル安を継続した。
2016年12月13-14日のFOMCで1年振りの追加利上げが決定された時、政策発表当日の12月15日に118.65円の高値をつけて下落に転じ、2月6日まで続落した。
2017年3月14-15日のFOMCで利上げが決定された時、その前の3月10日高値115.50円まで戻していたが当日に急落、そのまま4月17日安値108.11円まで下落基調が続いた。
利上げ決定を事前に織り込み、材料消化として利上げ決定からは円高ドル安へ進むというのがこれまで繰り返されてきたパターンであった。しかし今回、6月13-14日のFOMC声明の発表された15日未明からドル高円安となり、6月20日まで継続した。21日も下げてはいるものの高値圏の維持であり、反転下落に転じたとまで言える状況に至っていない。

このことは、これまでの「FOMCによる金融引き締めステップアップ、利上げ=事前のドル高、決定からドル安」というパターンではなくなってきている可能性も示唆する。つまり、これまでのように、いったん利上げが決まれば次の利上げまではかなり時間があり、また2016年の経験から状況如何では追加利上げが大幅に先送りされる可能性もあるのだという市場心理が薄まってきていることを示しているのかもしれない。米連銀が着実な利上げを進め、バランスシート圧縮を開始してゆく流れは今年後半も、そして来年も続くのだという市場心理がドル高感の背景にあるのかもしれない。

ただし、ドル円にとっては、ドル・ストレートでのドル高とは別に、リスク回避によるクロス円での円高となる可能性にも注意が要る。特に株高の内はリスクオン心理が優勢となり、ドル高基調ならドル円はさらに円安ドル高で進みやすいが、株安発生の場合にはリスク回避的な円高となり、クロス円の円高とそれ以外でのドル高が併存する展開もあり得るからだ。
現状は、6月2日からの下落を解消する戻りを見せたが、それ以上へ円安ドル高で行くのか戻り一巡なのか、多少時間をかけて見定める必要がありそうだ。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、20日高値からの下落により遅行スパンが悪化した。21日夕刻に先行スパンからいったん転落、21日深夜に上抜きかけたが失速したために、再び先行スパンから転落しかけている状況にある。15日未明からの上昇も5日を経過したため、頭重さも出ていることから、先行スパン転落の場合は111円を中心に前後70銭程度のレンジで持ち合い相場に入るか、この間の上昇に対する調整安として半値押しレベルまで下げるか、いずれかの可能性が考えられる。もちろん、高値更新の場合は短期的な調整終了による新たな上昇局面入りとなる可能性もあるので、両スパンが好転し、20日の高値を上抜く場合はかなり強い姿になってゆくと思われる。

60分足の14本相対力指数は、16日から20日への上昇期に弱気逆行を示して21日夜への調整安を示唆していた。21日夜に60ポイントまで戻したが反落して50ポイントを割り込んでいるため、50ポイント以下での推移中は安値を試しやすいとみる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、15日未明安値から4日目となる21日夕安値でサイクルの安値をつけたと思われる。このため、21日安値を割り込まない内は23日から27日にかけての間へ上昇する可能性があるが、21日安値を割り込む場合は底割れによる下落局面入りとして次の安値形成期となる26日から28日にかけての下落局面へ進む可能性が考えられる。

以上を踏まえて、22日の日中から23日未明にかけてのポイントを示す。
(1)21日安値111.06円割れ回避の内は111.50円超えから上昇再開、111.74円超えからは112円台乗せへの上昇へ進む可能性を考える。その場合の上値目処は112.00円から112.25円にかけてと見ている。また111.74円超えの後、111.50円以上を維持する場合はさらに23日へ続伸しやすいとみる。
(2)111.50円以下での推移中は21日安値111.06円試しの可能性に注意し、底割れの場合は下落局面入りとして110.60円から110.30円台にかけての下落を想定する。110.50円以下は突っ込み警戒、反騰注意とみるが、111.25円以下での推移が続く場合は23日へ続落しやすいとみる。(了)<10:00執筆>

【当面の主な予定】

6月22日
(米) 21:30 米新規失業保険申請件数
(米) 23:00 パウエルFRB理事、上院銀行委員会公聴会で証言
(米) 23:00 米5月景気先行指数
6月23日
(米) 23:00 米5月新築住宅販売件数
6月24日
(米) 0:15 ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
(米) 1:40 メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
(米) 3:15 パウエルFRB理事、講演

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