ドル円見通し 米雇用統計前の高値を上抜く(6/20)

FOMC後も市場の9月利上げ確率予想はまだ低い。12月の利上げについてもまだ確率は高くない。

ドル円見通し 米雇用統計前の高値を上抜く(6/20)

<概況>

6月15日未明のFOMCを目前とした14日夜、米小売売上高、消費者物価が予想外に悪かったことでFOMC政策決定へハト派的な影響を与えるのではないかという思惑が先行し、やや過剰反応的にドル円は急落、109円割れに至った。しかしFOMCは従前の予想通りに利上げを決定、年内残り1回の利上げ予想も堅持されたことから、14日夜の急落を過剰反応だったとして反騰、さらに16日へ大幅続伸、111.41円をつけた後は深夜に110.64円まで小反落したが、高値圏を維持して週を終えていた。

週明けの19日はジリ高推移でしっかりし、米国市場時間のNY連銀ダドリー総裁講演での発言をきっかけとしてドル高、米長期債下落(利回り上昇)、株高となりドル円も上昇して16日高値を超えた。20日午前はさらに続伸、6月2日の米雇用統計から急落する前の高値である111.71円も超えてきている。

【連銀当局者の講演・発言続く】

NY連銀のダドリー総裁はニューヨーク州プラッツバーグの講演において「景気拡大局面がやや長期化しているが、実際のところまだ長く継続すると強く確信している」「景気拡大を止めるのではなく、長期間維持できるよう金融政策を非常に賢明なやり方で引き締める」等と発言した。市場は同総裁発言を金融引き締め姿勢の継続、年後半あと一回の利上げも着実に行われると受け止め、米長期債下落(長期金利上昇)、ドル高に反応した。

FOMC後も市場の9月利上げ確率予想はまだ低い。12月の利上げについてもまだ確率は高くない。しかし、それなら6月利上げを以て材料消化、ドル安反応へ進んでもよいところだが、FOMC後のドル高が継続して4日目に入っている。
2015年12月利上げ、2016年12月利上げ、2017年3月利上げはいずれも利上げ決定後に米長期債は上昇(利回り低下)でドル安となってきた。しかし今回はそうなっていない。まだFOMCから数日のため、今週中に流れが変わってドル安、米長期債上昇となるならば、従来のパターンを踏襲し、材料消化としてのドル安再開となる可能性が考えられるが、今週中に流れが変わらないようなら、これまでのパターンとは異なった展開になってくる可能性が考えられる。その場合は年後半の追加利上げ、バランスシート圧縮開始、さらに2018年の利上げ継続という着実な金融引き締め感が利上げ毎の材料消化という事では済まなくなってくる可能性を示唆するかもしれない。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

6月15日夜の上昇で遅行スパンが好転(実線を上抜く)、先行スパンを突破した。16日深夜の反落で遅行スパンはいったん悪化したが、先行スパンを上回った状況を維持し、19日夜の上昇により遅行スパンは再び好転している。この結果、26本基準線上昇、遅行スパン好転、先行スパンを上回る強い状況となっており、この状況が続く内は高値試しを継続しやすくなっている。

ただし、60分足の14本相対力指数は70ポイントを超えてきているが、15日夜から16日にかけて上昇した時の水準を超えておらず、相場が16日高値から20日高値へと高値更新したのとは逆行気味となってきているので、高値警戒感も出やすくなってきている印象だ。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、15日未明安値を直近の底として上昇している。今回の高値形成期は14日夜高値を基準として19日夜から21日夜にかけての間と想定される。既に14日夜高値から3日を経過しているのでサイクルの高値をつけて下落に転じやすい時間帯に入っているが、まだ20日夜へ上昇継続する時間的余地も残っているところだ。

6月7日安値と15日未明安値が60分足レベルのダブル底となって上昇してきている。6月2日高値111.71円を突破してきているので、フォーメーション上、上値抵抗は112.00円から112.50円のゾーンまで切り上がる可能性が出てきている。

以上を踏まえると、高値警戒感を抱きつつ高値を試す状況にあり、急変的に反落する可能性についても注意が要る状況と考える。
(1)111.50円を上回る内は上昇継続とし、112.00円試しを想定する。日中は112円がかなりの抵抗となると思われるが、欧米市場で続伸する場合は112.50円前後試しまで上値目処を引き上げる。
(足許は日足の先行スパン雲入り攻防の111.82円辺りが最初の抵抗。)
(2)111.50円割れの場合または上昇中の26本基準線割れからは弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは弱気サイクル入りとして20日夜から21日にかけての下落を想定する。その場合の下値目処は当初、111.00円前後試しと想定するが、21日へ続落の場合は16日深夜安値110.64円試しまで下値目処が切り下がる可能性を考える。(了)<10:10執筆>

【明日に掛けての主な予定】

6月20日
(米) 16:15 フィッシャーFRB副議長、講演
(米) 20:45 ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
(米) 21:30 米1-3月期経常収支

6月21日
(米) 4:00 カプラン米ダラス連銀総裁、講演
(日) 8:50 日銀政策決定会合議事要旨(4月26-27日分)
(日) 15:36 黒田日銀総裁、全国信用金庫大会であいさつ
(米) 23:00 米5月中古住宅販売件数

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