ドルは下値攻めしにくい雰囲気FOMC注目(6月第二週)

チャート的にはドルの下値トライは失敗したように見えることに加え、やや不格好だが4月安値と先週安値でダブルボトムを形成している感もうかがえる。

ドルは下値攻めしにくい雰囲気FOMC注目(6月第二週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、一時ドル安に振れるも終わってみれば「行って来い」。ドルが弱かったのは週初5日から週半ば7日の東京時間までで、以降は週末にかけて買い戻しの動きが優勢だった。

「荒れやすい週初月曜日の早朝相場」−−は先週も顕在。週末に報じられた「英ロンドンで再びテロ発生、7人が死亡」とのニュースが材料視され、リスク回避志向の動きからやや円買い優勢でスタートしている。先週末のNYが110.40円台で大引けるなか、110.30円台とわずかながら、上方向にギャップを空けて寄り付いた。
そのまましばらくは、110.30円前後を下値に底堅く推移したが、6日に割り込むとそのまま一気に109円前半までドルは下落している。同日、日経平均株価が終値ベースでも2万円の大台を割り込むなど大幅安をたどったことが嫌気され、為替も円買いが先行したが、週間安値の109.12円を記録後はドルが急回復。週末にかけては110.81円まで値を上げ、週間高値をつけたあとは、さすがに緩むも110円台を維持、110.30-35円で1週間の取引を終えている。

なお、それとは別に8日に実施された「英国総選挙」の結果を受けて、ポンドが大荒れ。対円や対ドルでは、8日から9日にかけて上方向に大きなギャップを空けて寄り付いた格好とあり、しかもそれを埋めきれないままでの越週となった。

一方、英国情勢以外の材料的としては、週初に「バーレーン、サウジなど7ヵ国がカタールとの国交断絶を発表」したほか、8日には「北朝鮮が飛翔体を発射した」とのニュースも聞かれたが、ともにマーケットへの影響は限定的。
また、同じく8日には注目の「米コミー前FBI長官の議会証言」が実施され、「トランプ氏は忠誠を要求、フリン氏捜査終了希望を述べた」などと発言したものの、むしろ悪材料出尽くしの思惑などが強く、市場としてはドル買いの材料になっていた感がある。

<< 今週の見通し >>

チャート的にはドルの下値トライは失敗したように見えることに加え、やや不格好だが4月安値と先週安値でダブルボトムを形成している感もうかがえる。下値を積極的には攻めにくいのかも知れない。
材料的には、13-14日に実施されるFOMCでの米利上げが確実視されており、日米の金利差の注目度が高まるなら、リスクはむしろドル高・円安方向にバイアスか。複数のチャート分析でテクニカルポイントが集中している111円台前半を超えれば、112円台回復も視界内に捉えられそうだ。

テクニカルには、前述したように111円台前半に複数のテクニカルポイントが集中している。実際に幾つか例を挙げると、ドル高値114.38円を起点とした下げ幅の半値(50.0%)戻しは111.10-15円であり、また移動平均の13週線は111.10円レベル、週足・一目均衡表の転換線は111.25円レベル−−に位置していた。それらをしっかりと抜ければ、112円台が現果的なターゲットとして意識されることになりそう。111円台前半、大雑把に言って111.10-30円程度のゾーンをめぐる攻防にまずは注意を払いたい。

一方、材料的には、週明け12-13日に実施される米国債の入札や、豪中の経済指標発表、日銀の政策金利発表などのイベントも要注意だが、なんといっても、最大の要因は13-14日の米FOMCだろう。ちなみに、すでに6月利上げは織り込まれており、実施されても影響は軽微か。焦点はむしろ、次回の利上げ時期や今後の利上げペースといったもので、過去のジンクスから考え、「利上げ実施の材料出尽くし」ということでドル安・円高の進行リスクを警戒する声も一部で聞かれていた。
また、それとは別に、ここのところ毎週のようにミサイル発射が確認されている北朝鮮情勢や、13日に「セッションズ米司法長官が露疑惑で証言実施を行う」ことなどにも一応の注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.20-111.70円。ドル高・円安については、まずは先週高値110.80円レベルの攻防が注視されるが、抜けると111円台前半がターゲットに。そのレベルもクリアすれば、いよいよ112円台回復が現実のものとして意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、110円前後が最初のサポートで、下回ると週初は110.40円前後に位置し、緩やかな上昇をたどる移動平均の200日線をめぐる攻防が注視されよう。なお、200日線はザラ場ベースの動きだけでなく、NYクローズで上回ったまま推移し続けるかどうかも注目されている。(了)

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