<概況>
6月2日夜の米雇用統計から急落した。31日深夜安値で110.48円まで下げたものの5月18日安値110.23円割れを回避、雇用統計前ということで111.71円まで戻していた。しかし雇用統計からはドル全面安となって急落、110.33円まで1.38円の下げ幅であった。雇用統計等のイベントから急落しても早々に切り返すなら材料消化により強気転換へと進むケースもあるが、急落後、下げ渋りの持合い程度に留まる場合はあくまでも下げ一服に過ぎず、時間経過から持ち合い下放れ、一段安へと進みやすい傾向がある。今回も6月5日に戻しきれずに終わっているため、持ち合い下放れからの一段安入りが警戒される。
【6月利上げ云々よりも各種リスク】
米雇用統計により、6月の利上げはほぼ確実視されている状況は変わらず。9月の利上げ確率は低下、たぶんないだろうという市場の受け止め方となっている。6月利上げの後に追加利上げへ進むのではなく、バランスシート圧縮計画を示し、まず追加利上げを先送りしながら圧縮を静かに開始するというのが米連銀の金融政策イメージかと思われる。6月利上げについては材料的に消化されているため、FOMC声明、議長会見で9月利上げの確率が上がるような内容にならなければ、事前のポジション調整や、発表後の一時的な反応はあるだろうが、流れが変わってドル全面高へ進むというイメージは、今のところは持ち難い。
今週は6月8日の英総選挙、ECB理事会とドラギ総裁会見、コミー前FBI長官の米上院情報特別委員会証言がある。
英総選挙は現政権側が勝利するとは思われるが、世論調査は中々あてにならないので、まず結果をみる必要がある。
ECBは金融政策を現状維持と予想されているが、最近はドラギ総裁が金融緩和姿勢の継続性を主張しているのに対して、出口戦略を意識させるような理事発言等もあるため、声明、会見でユーロ高ドル安がさらに進むか、いったんユーロ急落となるのか注目される。ユーロ高ドル安の場合、ユーロ円も上昇するだろうが、ドル安円高のきっかけにもなりうる。
コミー前長官は下院においても決定的なことを話していないので、今回も同様と思われるが、ロシアゲート問題に対するリスク感が増すような状況のきっかけになる可能性があるので注意したい。5月17日にドル円は2円以上の急落となったが、最近の動きではこの5月17日の急落がドル円にとっては一番印象深い下落であり、米金融政策云々以上に各種リスク、特にロシアゲート問題、トランプ大統領弾劾訴追リスクによるドル安感が解消されないと、これまでのドル安円高基調が継続し易いと思われる。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では6月2日夜の急落で先行スパンから転落、遅行スパンも悪化した。週末からは110.50円を挟んだ持ち合いのため遅行スパンは実線と交錯しているが、週末安値を割り込んでくる場合は悪化してくる。先行スパンから転落した状況は、スパンまでの距離もあり、また向う1日間は110.50円から111.00円にかけてやや分厚いスパン帯を形成しているため、その下側部分が大きな抵抗となり、仮に潜り込む上昇の場合も突破にはかりのエネルギーがいると思われる。
持ち合い下放れ=週末安値割れからさらに5月18日安値割れへ進む場合、心理的には110.00円、109.50円等が当初の下値支持線と考えられるが、それらを割り込む場合は6月2日への戻り幅の倍返しで109.28円、5月18日安値から5月24日深夜高値への戻り幅の倍返しで108.35円等、108円台の下値計算値が意識される。また108円台へ下落の場合は4月17日安値108.13円試しの可能性も意識されるだろう。これら計算値を踏まえれば、110円割れの場合は108円台へ突っ込む可能性も十分警戒すべきということになろうか。4月中旬、108円台を8度付けているだけに注目される価格帯だ。
強気転換には先行スパン突破=111円超えへの反騰が必要だ。それでも6月2日夜の急落に対する半値戻し強のレベルに留まるので、111円台回復、維持から続伸して111.50円に迫るような上昇がないと、戻り売りから再び崩されやすいものと注意する。(了)<9:40執筆>
【6月6-7日の予定】
6月6日
(豪) 13:30 豪準備銀行(RBA)政策金利発表 (現状 1.5%、予想 据え置き)
6月7日
(豪) 10:30 豪1-3月期GDP前期比 (前期 +1.1%、予想 +0.3%) 前年比 (前期 +2.4%、予想 +1.6%)
6月8日
(中) 中国5月貿易収支 (4月 +380.5億ドル、予想 +478.0億ドル)
(英) 英総選挙
(米) コミー前FBI長官、米上院情報特別委員会証言
(欧) 20:45 欧州中央銀行(ECB)理事会、政策金利発表 (現状 0.00% 予想 据え置き)
(欧) 21:30 ドラギECB総裁記者会見
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.12.25
東京市場のドルは157円台で推移、植田日銀総裁の余波は弱く一段の円安は回避か(24/12/25)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、植田日銀総裁の発言を受けて、やや円安ドル高に振れ一時157円50銭台まで上昇した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.12.25
ドル円157円台前半、主要市場のクリスマス休暇入りで市場閑散 (12/25午前)
25日午前の東京市場でドル円は小動きに終始。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.12.25
ドル円見通し 第一次トランプ政権における円高の教訓(24/12/25)
ドル円は、157円割れを買われつつ25日未明に157.37円まで高値を若干切り上げて確りしている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2017.06.06
ドル円 材料乏しいなかドルの下余地が拡大(6/6夕)
6日の東京市場は、ドル安・円高。それも、「早朝高・大引け安」と言っても良い値動きで、終日を通した値幅も1円近い。久しぶりの大商いとなった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2017.06.06
ドル円海外時間も動意薄(17年6月6日早朝)
週明けの為替市場は海外に入っても動意薄、ドル円は110円台半ばで110.37-69の狭い範囲での取引に終始しました。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。