<概況・ポイント>
5月30日午前の下落で26日安値110.87円を割り込んだ。夜間にいったん111.23円まで戻したものの深夜に一段安、110.66円まで安値を切り下げた。
トランプ大統領に対する弾劾訴追の動きが強まったとして米国リスクを嫌気した円高で、17日に112円割れ、さらに18日に110.23円まで大幅下落した。短期的な下げ過ぎに対する反動でいったん戻しに入り、24日深夜には112.12円まで一時的に回復したが、112円台を維持できずに失速し始める。25日午前、26日夜、30日午前、30日深夜と安値が切り下がり、戻り高値も切り下がってきている。
現状はまだ5月18日安値を割り込んでいない為、18日から24日への緩やかな上昇に対する揺れ返しで元の水準近くへ押し戻されている状況と言える。しかし4月17日安値108.13円から5月11日高値114.36円まで戻し、その戻りが一巡して17日に前日比で2円安を超える大陰線により下落、下げ渋り的なジリ高で戻したがその戻りも一巡して再び下げ始めているという印象であり、フォーメーション上の売り変化、5月18日安値を割り込んでもう一段安へ進む可能性が危惧される。
【米連銀の利上げ迫るがドル安基調】
米連銀の6月FOMCにおける追加利上げの可能性がかなり高い状況であり、本来ならそれを先取りして長期金利上昇、日米10年債利回り拡大で円安ドル高へと展開しやすい環境と思われるのだが、金融市場全般としてはすでに6月利上げについては織り込み済とし、9月に追加利上げが早まらなければドル高要因にならないという状況で推移しているようだ。
5月30日には米連銀のブレイナード理事がニューヨークで講演し、「近くフェデラルファンド金利を調整し、バランスシートの縮小を開始するのが適切となる可能性が高いというのが自身のベースラインだ」と述べた。市場の想定イメージは、6月2日の米雇用統計がさほど悪くなければ6月の利上げはほぼ確実、あとはトランプ政治への不確実性を踏まえれば9月利上げは確率がまだ低く、次の利上げは年後半へとずれこむのではないかというところだろう。
6月2日の米雇用統計が予想を大幅に上回る場合は9月利上げ確率上昇によりドル高円安がぶり返す可能性があるが、想定に近い数字なら、一時的なドル高反応はあっても早々に材料消化となってドル安円高基調を継続する可能性がある。
米商務省が発表した4月の個人消費は前月比0.4%増となり市場予想通り、前月の0.3%増を上回った。4月の個人所得は0.4%増となり市場予想と一致し、前月の0.2%増を上回った。PCE価格指数は前月比0.2%上昇となり市場予想と一致し、前年比も1.7%上昇で予想通りだった。食品とエネルギーを除くコア価格指数は前月比0.2%上昇となり市場予想の0.1%上昇を上回った。前年比は1.5%上昇で予想通りだった。予想の範囲の数字だったためにこれらに対する市場の反応は限定的だった。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では5月26日の下落で遅行スパンが悪化(実線を下回る)、先行スパンからも転落し、両スパンが悪化した状況が継続している。29日の戻り、30日夜の戻りは先行スパン下限が抵抗となっている。
5月24日深夜高値とその後の戻り高値を結ぶ抵抗線はほぼ先行スパンと一致しており、先行スパン突破へと反騰できない内は一段安が警戒される。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、5月23日安値から3日後となる5月26日夜安値でいったん底をつけたが、既に底割れにより新たな弱気サイクル入りとなっている。今回の安値形成期は31日夜から6月2日にかけての間と想定されるため、31日夜にかけてはまだ安値を試しやすいとみる。
5月31日の日中は、先行スパンの範疇であり、前日ロンドン市場で揉み合ったレベル111.00円から111.10円台までを戻り抵抗とし、111円以下での推移中は安値更新へ進みやすいとみる。
5月30日深夜安値110.66円割れからは5月18日安値110.23円試し、さらにレート節目となる110円前後試しへの下落が警戒される。
ただし、31日夜からはサイクルの安値をつけて反騰入りする可能性が出てくる時間帯に入るので、110円台序盤へ突っ込む場合はその後の反発にも注意し、安値から0.50円を超える反発がある場合は目先の底をつけてリバウンドに入る可能性を考える。(了)<9:40執筆>
【31日から1日の予定】
5月31日
(中) 10:00 5月製造業PMI (4月 51.2、予想 51.0)
(中) 10:00 5月非製造業PMI (4月 54.0)
(米) 21:00 カプラン米ダラス連銀総裁、講演
(米) 22:45 5月シカゴ購買部協会景気指数 (4月 58.3、予想 57.0)
(米) 23:00 4月中古住宅販売保留件数指数前月比 (3月 -0.8%、予想 +1.0%)
6月1日
(米) 3:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
(中) 習中国国家主席、トゥスクEU大統領、ユンケル欧州委員長と会談
(日) 8:50 1-3月期法人企業統計・設備投資前年比 (前期 +3.8%、予想 +3.8)
(日) 8:50 対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)
(米) 9:10 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
(中) 10:45 5月財新製造業PMI (4月50.3、予想 50.2)
(米) 21:00 パウエルFRB理事、講演
(米) 21:15 5月ADP全国雇用者数 (4月 +17.7万人、予想 +18.0万人)
(米) 21:30 新規失業保険申請件数 (前週 23.4万件)
(米) 21:30 1-3月期労働生産性・労働コスト確報値
(米) 23:00 5月ISM製造業景況指数 (4月 54.8、予想 54.6)
(米) 23:00 4月建設支出 (3月 -0.2%、予想 +0.5%)
オーダー/ポジション状況
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