ドル円週報(5月第五週)「目先は方向性喪失」

先週のドル/円相場は、1週間を通して方向性が乏しい。終わってみればややドル高、週足チャートは辛うじて陽線となったものの、週間を通した値幅は1.3円ほどで、

ドル円週報(5月第五週)「目先は方向性喪失」

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、1週間を通して方向性が乏しい。終わってみればややドル高、週足チャートは辛うじて陽線となったものの、週間を通した値幅は1.3円ほどで、これは今年に入ってから週間ベースでは最小だった。

ここのところ週明け月曜日は早朝から荒っぽい展開が少なくないが、先週も前日の日曜日夕方に「北朝鮮がミサイル発射を行った」と報じられたことを受けて、円買い優勢でスタート。前週末のNYクローズが111.30円前後であったのに対し、週明けの22日はオープン直後に111円台を割り込む局面が観測されている。
しかし、北朝鮮情勢という地政学リスクに対する免疫も高まっているようで、ドルの下値も堅く、1週間を通しても安値は110.88円まで。もっとも、それに対するドル上値も重く、24日の欧米時間などに112円台を一時回復したものの、滞空時間は短く、週末にかけては111円前半まで押し戻され、1週間の取引を終了した。

一方、材料的には前述した「北朝鮮情勢」のほか、「ロシアゲート」事件に絡みフリン氏を議会召喚する、と報じられるなどトランプ米大統領を取り巻く疑惑に進展が見られたほか、有利格付け機関ムーディーズによる「中国の格下げ」、「OPEC総会、9ヵ月の減産延長で合意」−−など、様々な要因があったものの、大きな市場変動にはつながらず、いずれも影響は限られている。

なお、それとは別に23日に「英マンチェスターで、自爆テロとみられる爆発事件」との報道を受け、ポンドが大荒れ。対円では1週間で3円を超す変動、かつ週間の最安値圏で大引け、越週するなど引け味の悪い展開だった。

<< 今週の見通し >>

よくいえば「安定している相場」で、悪く言うなら「完全に方向性を喪失している」と言ってよい。実際、先でも指摘したように、先週の価格変動は1週間を通して1.3円にも満たず、これは今年に入ってから週間ベースでは最小だ。まずは、先週の形成レンジ、110.88-112.13円を上下どちらにブレークするのか、その方向性に注視してみたいが、マーケットの関心がドルや円よりも、ユーロやポンドなどに移行している感もある。そのため、先週よりは、やや広いにせよ、今週も基本的にはレンジ取引が続くとの指摘も少なくない。

テクニカルには、先週の変動を時間足ベースなどで見た場合、ほぼ111円台での値動きで、それ以下(110円台)、それ以上(112円台)とも取引時間が極めて短いことが見て取れる。つまり、111円台から如何に遠ざかれるか、それもザラ場ベースだけでなく、NYクローズなどでしっかりと放れることが出来るのかがポイントとなろう。
なお、先週1週間を通してレンジ相場であり、エネルギーがジワリと蓄積されていることから、上放れた場合には113円台回復をうかがう反面、下放れた際には110円割れを試す局面があっても不思議はないかも知れない。

一方、材料的には、週末の5月雇用統計を中心に、重要な米経済指標も幾つか発表される予定となっているほか、先週に続き今週も米地区連銀総裁やFRB理事などによる講演が連日のように行われる。それらは波乱要因として、注意しておきたい。
しかし、別途気になるものが幾つかある。ひとつは、「ロシアゲート」問題を中心としたトランプ政権の動静で、またG7サミットは先日で終了したものの、貿易問題については各国の「きしみ」が露呈しただけに、こちらも予断は許さない。ちなみに、「トランプ氏は内政のゴタゴタを外交で挽回を図る」などといった読みをする向きも少なくなく、対独や対中とともに、対日圧力をジワリと強めてくる可能性も、一部で取り沙汰されている。また、本日早朝、またもや「北朝鮮がミサイル発射、排他的経済水域内に着水した公算」などと報じられており、北朝鮮ファクターも引き続き要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、110.00-112.50円。ドル高・円安については、まずは先週高値の112.13円が最初のドルの抵抗。抜ければ、前回高値114.38円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しに当たる112.80円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、同様に先週安値の110.88円の攻防が注目だ。割り込めば、110.24円や心理サポート110円などが意識されそうだ。(了)

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