<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、1週間を通して方向性が乏しい。終わってみればややドル高、週足チャートは辛うじて陽線となったものの、週間を通した値幅は1.3円ほどで、これは今年に入ってから週間ベースでは最小だった。
ここのところ週明け月曜日は早朝から荒っぽい展開が少なくないが、先週も前日の日曜日夕方に「北朝鮮がミサイル発射を行った」と報じられたことを受けて、円買い優勢でスタート。前週末のNYクローズが111.30円前後であったのに対し、週明けの22日はオープン直後に111円台を割り込む局面が観測されている。
しかし、北朝鮮情勢という地政学リスクに対する免疫も高まっているようで、ドルの下値も堅く、1週間を通しても安値は110.88円まで。もっとも、それに対するドル上値も重く、24日の欧米時間などに112円台を一時回復したものの、滞空時間は短く、週末にかけては111円前半まで押し戻され、1週間の取引を終了した。
一方、材料的には前述した「北朝鮮情勢」のほか、「ロシアゲート」事件に絡みフリン氏を議会召喚する、と報じられるなどトランプ米大統領を取り巻く疑惑に進展が見られたほか、有利格付け機関ムーディーズによる「中国の格下げ」、「OPEC総会、9ヵ月の減産延長で合意」−−など、様々な要因があったものの、大きな市場変動にはつながらず、いずれも影響は限られている。
なお、それとは別に23日に「英マンチェスターで、自爆テロとみられる爆発事件」との報道を受け、ポンドが大荒れ。対円では1週間で3円を超す変動、かつ週間の最安値圏で大引け、越週するなど引け味の悪い展開だった。
<< 今週の見通し >>
よくいえば「安定している相場」で、悪く言うなら「完全に方向性を喪失している」と言ってよい。実際、先でも指摘したように、先週の価格変動は1週間を通して1.3円にも満たず、これは今年に入ってから週間ベースでは最小だ。まずは、先週の形成レンジ、110.88-112.13円を上下どちらにブレークするのか、その方向性に注視してみたいが、マーケットの関心がドルや円よりも、ユーロやポンドなどに移行している感もある。そのため、先週よりは、やや広いにせよ、今週も基本的にはレンジ取引が続くとの指摘も少なくない。
テクニカルには、先週の変動を時間足ベースなどで見た場合、ほぼ111円台での値動きで、それ以下(110円台)、それ以上(112円台)とも取引時間が極めて短いことが見て取れる。つまり、111円台から如何に遠ざかれるか、それもザラ場ベースだけでなく、NYクローズなどでしっかりと放れることが出来るのかがポイントとなろう。
なお、先週1週間を通してレンジ相場であり、エネルギーがジワリと蓄積されていることから、上放れた場合には113円台回復をうかがう反面、下放れた際には110円割れを試す局面があっても不思議はないかも知れない。
一方、材料的には、週末の5月雇用統計を中心に、重要な米経済指標も幾つか発表される予定となっているほか、先週に続き今週も米地区連銀総裁やFRB理事などによる講演が連日のように行われる。それらは波乱要因として、注意しておきたい。
しかし、別途気になるものが幾つかある。ひとつは、「ロシアゲート」問題を中心としたトランプ政権の動静で、またG7サミットは先日で終了したものの、貿易問題については各国の「きしみ」が露呈しただけに、こちらも予断は許さない。ちなみに、「トランプ氏は内政のゴタゴタを外交で挽回を図る」などといった読みをする向きも少なくなく、対独や対中とともに、対日圧力をジワリと強めてくる可能性も、一部で取り沙汰されている。また、本日早朝、またもや「北朝鮮がミサイル発射、排他的経済水域内に着水した公算」などと報じられており、北朝鮮ファクターも引き続き要注意。
そんな今週のドル/円予想レンジは、110.00-112.50円。ドル高・円安については、まずは先週高値の112.13円が最初のドルの抵抗。抜ければ、前回高値114.38円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しに当たる112.80円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、同様に先週安値の110.88円の攻防が注目だ。割り込めば、110.24円や心理サポート110円などが意識されそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.22
ドル円、下落後に反発するなど底堅い動き。上昇トレンドの継続を想定(11/22朝)
21日(木)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.21
東京市場のドルは154円台後半で推移、今晩も要人発言で上下に動く可能性アリ(24/11/21)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、時間外の米10年債利回りも上げ一服となったことでドルは一時154円台を付ける場面も見られた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.21
ドル円 地政学リスクくすぶるも再びレンジの様相に(11/21夕)
東京市場は一転してドルが弱含み。とくに終盤下げ足を速めている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:山中 康司
2017.05.29
G7サミットを経ても方向感出ず(週報5月第五週)
最近のドル円は材料自体、ロシアゲートに関するドル売り、日米通商交渉の行方や北朝鮮の地政学リスクから来る円買いと、明らかにドル円は下げ方向に動きやすい
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2017.05.29
ドル円週間見通し安値持合いから雇用統計へ(5月5週)
FOMC議事録公開後に下落したが、当初の下落を消化した後はやや戻していた。26日の日中から急落して111円割れまで進んだが、これは議事録内容からの円高というよりも、
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。