ドル円見通しFOMC後の反応鈍く、材料待ち(5/26)

6月の利上げについては、6月2日の米雇用統計が良好かどうかによるだろう。米経済指標は1−3月期のGDPが冴えなかったようにやや低調、その後は概ね持ち直しているが、

ドル円見通しFOMC後の反応鈍く、材料待ち(5/26)

<概況・ポイント>

5月25日未明に米連銀(FRB)のFOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合)の5月会合分の議事録公開があった。米連銀は昨年12月に2015年12月以来の追加利上げを行い、今年の追加利上げ回数予想を3回とし、3月会合において早くも1回目の追加利上げを行った。このため6月会合においても追加利上げされるであろうと予想してきた。その上で、問題となるのはあと1回の追加利上げが9月に行われるのかどうか、年内に開始されると思われるFRBのバランスシート圧縮開始がどうなるのか、という点に焦点は移ってきた。
公開された議事録からは、6月2日の米雇用統計がよほど悪くなければ、6月会合での追加利上げが決まるであろうという印象を受けた。複数のメンバーが米経済指標の改善状況を見定める必要性を主張する慎重姿勢だったこともあり、9月の利上げ確率についてはさほど高くないかもしれないという印象も与えた。バランスシート圧縮については6月会合で時期や方法等についての概要が示される可能性が高まった。

議事録は総じて市場の想定内と受け止められ、米短期金利市場から逆算される6月利上げの市場予想確率は8割程度、9月の追加利上げに対しては5割を切る程度となってる。公開当初は材料消化、9月利上げ確率が上がらなかったことによりドル安反応となり、ドル円は24日夜高値112.11円から25日早朝安値111.44円まで下落したが、当初の売り物を消化した後はややジリ高で推移、25日夕、夜には112円を試すところまで戻した。しかし、112円乗せ、さらに上昇というような積極的な円安感には至らず、112円乗せできずに26日早朝にかけてはややジリ安な小レンジ持合いに止まっている。

【議事録公開を通過、次は6月2日の米雇用統計】

6月の利上げについては、6月2日の米雇用統計が良好かどうかによるだろう。米経済指標は1−3月期のGDPが冴えなかったようにやや低調、その後は概ね持ち直しているが、まだ盤石という状況ではない。現状における米5月雇用統計に対する市場の事前予想は、非農業部門雇用者数は17万7000人増で4月の21万1000人増からは減速するが良好な水準を維持するとみられている。失業率は4.4%で前月から横ばいと予想されている。
良好な数字の場合、6月会合での利上げ、さらにFOMC声明によっては9月の追加利上げ確率の上昇、バランスシート圧縮プロセスの開示内容によっては金融政策正常化=引き締めの強化感が強まり、ドル高へ進む可能性がある。しかし6月利上げとなっても9月の追加利上げ確率が現状より低下する場合等は逆にドル安要因となる可能性がある。そのあたりを今後の米経済指標や当局者発言等で探ってゆくことになるだろう。

【OPECの協調減産継続内容を不服としての原油急落】

5月25日にはOPEC総会があった。またロシア等非加盟国との共同会合もあり、現在実施されている協調減産がさらに9か月間延長されることが決まった。逆オイルショックで大暴落した原油相場は昨年1月に1バレル20ドル台の安値まで下げたが、その後はOPECの減産姿勢等を期待して上昇し、50ドル台を回復してきた。しかし原油相場が上昇すれば、そもそもの逆オイルショック発生の主要因であった米国シェールオイル勢の増産姿勢が強まり、OPECの減産では強気のバランスを維持することが難しくなる。今回の協調減産継続はそうした市場の懸念に対するOPEC側の回答であったわけだが、減産量の深堀が無かったため、かえって失望を買う結果となった。

原油相場動向そのものはドル円動向の決定要因ではないが、原油暴落が資源通貨安を招き、ドル高要因となればドル円にとってもプレッシャーとなってくる。昨晩は原油相場の暴落によりエネルギー関連株も下げたが、ダウ、SP500の指数自体は連騰しており、株暴落への波及には至ってない。しかし原油相場下落がさらに深刻化するような場合は資源通貨安によるドル高感に加え、株安によるリスク回避感も加わって円高要因となってくる可能性もある点には注意しておきたい。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

5月25日未明のFOMC議事録公開直後に円高ドル安となり、60分足の一目均衡表では遅行スパンが悪化したが、先行スパンの上限帯が支持線となり、先行スパンからの転落は回避している。
25日夕、夜と112円を試したが乗せきれずに横ばいに止まっている。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルで見れば19日の戻り高値から4日目となる24日深夜高値でサイクルのピークをつけ、下落期に入っている可能性がある。25日早朝安値111.47円割れの場合は23日安値を基準とした次の安値形成期と想定される26日の日中から30日への下落を想定し、23日安値110.85円、18日安値110.23円を試す可能性も考えられる。
25日早朝安値割れに至らないうちは現状の111円台後半における持合いから上放れ=24日深夜高値超えにより次の上昇期に入り、29日夜から31日にかけて一段高する可能性が考えられる。その場合は112.50円から113円手前への上昇が考えられる。
先行スパンに潜り込む下落中は下向きとし、先行スパン転落なら25日早朝安値割れへと続き、下落基調が強まる可能性が考えられる。(了)<9:40執筆>

【26日の予定】

5月26日
G7主要7カ国首脳会議(伊タオルミーナ、27日まで)

11:00 米 ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
21:30 米 1-3月期GDP・改定値
21:30 米 米4月耐久財受注
23:00 米 米5月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値

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