<<東京市場の動き>>
ドル安で始まるも1円近く切り返す
18日の東京市場は、前日から一転してドル高・円安。それも、「早朝安・大引け高」で、ドルの強さが際立つ展開だった。
4月25日以来となるドル安値110.80円でオープンしたのち、当初は前日NYの流れを継ぎドル売り・円買いが優勢。日経平均株価が前日比で300円以上値を下げたことなども嫌気されていたという。
一時110円半ばまで値を下げるも底堅く、反発に転じると夕方にかけては111.40円台まで、1円近い戻りをみせた。16時時点では111.30-35円と、一日を通したドルの最高値圏で推移し、欧米時間を迎えている。
弾劾は実現困難、本邦1-3GDPは好調
材料的には、これまで報じられたトランプ米大統領の疑惑に対し、時事通信が「米民主議員が大統領弾劾要求、共和党にも理解示す声」とするなど、引き続き米国の政権混乱懸念がドル売り・円買い要因となっていた面は否めない。しかし、米大統領の弾劾は法律上確かに可能ではあるものの、「下院で過半数、上院で開く弾劾裁判の3分の2以上の賛成が必要」とされるなど、ハードルが高く実現は難しいとの見方が有力で、こうした点から調整的なドルの買い戻しに動いた向きも少なくなかったようだ。
なお、そうしたなか発表された日本の1-3月期実質GDPは前期比年率プラス2.2%で、予想上回る好数字だった。
<<欧米市場の見通し >>
テクニカルには108.13まで全戻しも
目先のドル下値メドだった113円に続き、「攻防の本丸」である112円も、昨日NY市場でしっかりと割り込んできている。115円をトライするような動きが雲散霧消しただけでなく、ドルはさらなる下値トライの可能性を否定できなくなった。本日東京市場の安値でもあり、安値108.13円を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押しである110.50円を下回れば、全戻し(100%押し=108.13円)をたどる危険性も現実味を帯びてきそうだ。
テクニカルに見た場合、ドルの下値リスクが高まるなか、やや気になるのは週明けとなる4月24日に空け、そのままいまだに埋め切れていない109.10-60円レベルのギャップの存在だろう。
何度も報じているように、こうしたギャップは経験則的にも「いつか必ず埋める」もの。本日ではなく、若干長いスパンの話となるが、現在の流れのままドル安・円高が進行し、109円台のギャップ埋めにまで至ることも一部で取り沙汰されていた。
米指標、米司法副長官ブリーフィングに注意
一方、材料的に見た場合、先週末の4月小売売上高から発表される米経済指標は悪い内容となるものが多く、そうした意味では本日発表される5月のフィラデルフィア連銀景況指数や4月の景気先行指数も一応要注意。数字如何によっては、再びドルの売り材料となる可能性もある。
ただ、指標とは別に、引き続きトランプ政権を取り巻く政治リスクをめぐる動きなどにも注意を払いたい。前述したように、「大統領の弾劾」は難しい面があるものの、実際の進展度合いによっては再びドル売りがかさむ展開も否定できないだろう。なお、日本時間の19日午前3時半ごろ、ローゼンスタイン米司法副長官がすべての上院議員向けにコミー前FBI長官の解任についてのブリーフィングを行う予定とされており、リスク要因として頭の片隅にでも留めておきたい。
欧米時間のドル円予想レンジ110.50-112.00円
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.50-112.00円。ドル高・円安方向は、112円ならびに一目均衡表の先行帯の雲の上限などが位置する112.20円前後の攻防が注視されている。上抜けた場合には、113円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、111円前後などに弱いサポートは幾つか観測されるが、「最大のポイント」は本日東京安値の110.50円。フィボナッチの観点からも重要なレベルであり、しつかり下回ると心理抵抗の110円割れも見えてくる。(了)
オーダー/ポジション状況
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